不毛地帯
- 第十六話 -
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入札まであと10日。近畿商事テヘラン事務所にも、日本石油公社グループが経済ミッションを送り込むとの情報が伝わった。焦りを隠せない兵頭。するとそこに、オリオン・オイル社からの封筒が届く。が、その中に入っていたのは、座席指定のある映画のチケット1枚だけだった。それを見た兵頭は、何かを感じ、映画館へと向かった。
兵頭が指定された席に座ると、そこに売り子がやってきた。仕方なく、新聞紙を折った袋に入っている向日葵の種を買う兵頭。ほどなく、映画が始まった。すると、突然後ろの席から「向日葵の種は嫌いか?」と男が話しかけてきた。フォルジの執事だった。執事は、フォルジが会ってもいいと言っているが条件がある、といって、兵頭が手にしている向日葵の種を指差した。
緊急帰国した兵頭は、フォルジが会ってくれることになった、と壹岐に伝えた。フォルジが出した条件とは、石油開発プロジェクトのトップである壹岐を連れてモスクワに来ることだった。向日葵の種が入っていた新聞紙には、イラン国王のモスクワ訪問日程が掲載されていたのだ。だが、モスクワという言葉を聞いた壹岐は顔をこわばらせた。壹岐の脳裏に、シベリア抑留の悪夢がよみがえった。
壹岐は、モスクワには行かない、というと、別の手段を考えようと兵頭に告げた。そんな壹岐の態度に納得がいかず、日ごろから口にしている国益とは随分ご都合主義だ、などとかみつく兵頭。激高した壹岐は、極北の流刑地で、囚人番号を押されて重労働を強いられた人間の気持ちがわかるのか、と叫んだ。
ひと晩考え込んでいた壹岐は、翌朝、谷川正治(橋爪功)のもとを訪ねる。そこで壹岐は、モスクワに行くことになったと谷川に告げた。谷川は、日本のためになると信じたのならどんな困難があってもやり抜くことだと壹岐に言葉をかけた。続けて谷川は、例えビザが発給されてもシベリア抑留者だった壹岐には監視がつくであろうとことを予見し、身辺には注意を払うよう助言した。
マンションに戻った壹岐は、直子にもモスクワ行きを打ち明ける。直子は、もしものことがあったらどうするのか、と猛反対した。壹岐は、そんな直子をなだめると、モスクワ行きのことは夫の倫敦(石田卓也)にも言わないよう念を押した。
鮫島たちが経済ミッションの一団を連れてイランを訪問しているころ、壹岐と兵頭は、モスクワに向かって旅立ち…。
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