不毛地帯
- 第八話 -
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その晩、壹岐は、佳子に、来月アメリカに出張することと、大門が筆頭理事を務めている日豪経済委員会のパーティーに一緒に出席するよう伝える。壹岐は、戸惑っている佳子をいたわるように、これからはそういう機会も増えるだろうからいい着物を作ればいい、と言葉をかけた。

別の日、壹岐は、千代田自動車の技術担当常務・小牧(小野武彦)から相談を持ちかけられる。自主独立を主張する小牧ら技術部門は、里井と組んで合併を進める営業部門と対立していた。小牧は、ジャカルタで進めていたトラックの組み立て工場建設計画が合併推進派によって止められてしまったことを壹岐に打ち明け、力を貸してほしいと頼む。そこで壹岐は、ジャカルタ出張の予定があった兵頭に、極秘でトラック工場建設のための情報収集を命じる。

同じころ、毎朝新聞の記者・田原秀雄(阿部サダヲ)は、鮫島から情報を得るために、千代田自動車の経営立て直しをめぐって壹岐と里井が対立しているという情報を流した。

ほどなく、インドネシアの兵頭から連絡が入る。兵頭は、紅子(天海祐希)に連絡をとって彼女の夫・黄乾臣(石橋蓮司)に会い、そのつてでインドネシア陸軍にトラックを売り込める可能性があることを壹岐に報告した。

佳子の着付けを手伝っていた直子(多部未華子)は、ふいに、壹岐がシベリアに抑留されていたころの話を始める。やっと佳子の苦労が報われて、嬉しいのだという。佳子は、そんな直子に、自分の幸せを真剣に考えてほしいと話す。帰宅した誠(斎藤工)は、せっかくだから写真を撮ってあげる、といって、佳子の姿をカメラに収めた。

壹岐夫妻は、日豪経済委員会オーストラリア・ミッションの歓迎パーティーに出席した。大門は、佳子を笑顔で迎えると、その内助の功をほめたたえる。が、大門の妻・藤子(赤座美代子)や里井の妻・勝枝(江波杏子)は、佳子に冷ややかな視線を向けていた。

パーティーの最中、庭園にいた壹岐のもとにやってきた鮫島は、いきなり千代田自動車の話を切り出した。それを聞きつけ、ふたりに近づく里井。そこで鮫島は、壹岐が千代田自動車の件で久松に会ったことや、兵頭にジャカルタでの調査を命じたことなどを話し始める。その話を聞いた里井は、「私に隠れてそんなやり方をしていたのか、君は!」と壹岐を怒鳴りつけた。

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