不毛地帯
- 第八話 -
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大門は、大事な席で内輪もめし、醜態をさらした壹岐と里井を非難した。しかし里井の怒りは収まらない。千代田自動車と富国自動車の合併は、里井が担当している機械部門の決定事項だというのだ。それに対して壹岐は、千代田自動車に関して会社の方針はまだ決定されておらず、経営会議で討議すべきだと主張した。そのやり取りを黙って聞いていた大門は、千代田自動車の件は経営会議で議論してから決めればいい、と告げる。

帰宅した佳子は、谷川からの手紙で、元陸軍将校の竹村勝(中丸新将)が高血圧で入院したことを知る。佳子が病院に連絡を入れると、電話に出たのは秋津千里(小雪)だった。

あくる日、壹岐と佳子は、病院で待ち合わせをして竹村を見舞った。約束の時間より1時間も前に壹岐がやってきたことに驚く佳子。その際、佳子は、千里が婚約したことを竹村から教えられる。
病室を出た後、佳子は、家に電話をしにいく、といってその場を離れた。その間、壹岐と千里は、ロビーのソファーに座って話をしていた。壹岐は、アメリカ出張の際、仕事の参考になるものを買ってきましょうか、と千里に話した。「では、ひとつだけ。メトロポリタン美術館の絵葉書がほしいです。それでお便りを…」と返す千里。電話をかけられずに戻ってきた佳子は、そんなふたりの姿を見つめていた。

帰り道、壹岐は、黙りこんでいる佳子のことを気にして、何か冷たいものでも飲んでいくか、と声をかけた。そんな壹岐に、千里がいることがわかっていたのか、と問いかける佳子。壹岐は、病院に早く着いたのも千里に会ったのも偶然だ、と返す。
壹岐と佳子は、気まずいまま別れた。それでも佳子のことが気になった壹岐は、横断歩道を渡ろうとしていた彼女を呼び止めた。が、佳子が足を止めて振り返った次の瞬間、横断歩道に侵入してきた車が、彼女をはねてしまう。

佳子は、救急車で病院に収容された。が、すでに手遅れの状態だった。知らせを受け、直子と誠が病院に駆け付けた。誠は、壹岐につかみかかり、どうしてこんなことになったのか、と責めた。

事故から1週間後。誠は、下宿生活を送っている仙台に戻る。家を出る前、佳子の遺影を見つめていた誠は、「お母さん、幸せだったのかな?」とポツリとつぶやいた。

工房で作業していた千里は、アメリカ公演から戻った婚約者・丹阿弥泰夫(加藤虎ノ介)に会う。そこで泰夫は、佳子が亡くなったことを千里に告げた。

壹岐は、佳子を失った悲しみから逃れるように、早々に仕事に復帰する。大門は、そんな壹岐に、ニューヨークに赴任し、アメリカ近畿商事の社長をやってみてはどうか、と持ちかけるが…。

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