不毛地帯
- 第八話 -
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資本自由化の波を受け、国内では自動車産業の再編成が行われようとしていた。そんな折、米自動車産業ビッグ3の一角、フォーク社のフォーク二世会長(アレキサンダー・バリ)が突然来日する。その歓迎レセプションを仕切っていたのは東京商事だった。壹岐正(唐沢寿明)は、部下の兵頭信一良(竹野内豊)や海部要(梶原善)らにフォーク会長の来日目的を探らせようとした。だが、東京商事の鮫島辰三(遠藤憲一)に阻まれ、情報を得ることができなかった。

フォーク会長に会うことすらできなかった近畿商事社長の大門一三(原田芳雄)は、副社長の里井達也(岸部一徳)と壹岐に怒りをぶつける。その際、大門は、重要案件だった千代田自動車の経営立て直し問題にも言及した。そこで里井は、業界4位の千代田自動車を同5位の富国自動車を合併させるべく動いていると報告する。それに対して、密かに千代田自動車の自主独立の可能性を探っていた壹岐は、千代田自動車が富国自動車の赤字を抱え込み、株価が下落する可能性が高いこと、両社とも販売面が弱いために合併しても組織の弱点は補えないことを指摘し、里井と衝突する。

壹岐は、フォーク会長の来日目的を探るために、通産大臣に就任した久松清蔵(伊東四朗)を訪ねる。久松は、フォークの来日目的は資本の自由化要求であり、政府としては外資との合弁会社のみ認める方針だと壹岐に告げた。壹岐は、中小の国内自動車メーカーを外資から守るためには合併による企業体質の強化しかない、と考えている久松に、千代田自動車と富国自動車の合併話を切り出した。久松によれば、通産省ではすでに両社を合併させる青写真ができあがっているという。そこで壹岐は、久松の力添えで、両社の合併話を引きのばしてほしい、と頼み込む。

壹岐が帰宅すると、谷川正治(橋爪功)が訪ねて来ていた。谷川は、シベリア長期抑留者の会が機関紙を発行して10年になったのを記念して、湯呑を作ったのだという。壹岐は、その出来栄えに感心しながらも、まだ自分はこの湯呑を使う心境には至っていない、と答えた。谷川は、そんな壹岐の思いを受け止め、11年間家を守ってくれた佳子(和久井映見)にも感謝しなければならないな、と声をかけた。その言葉に、佳子は、最後の帰還船でも帰ってこられなかった抑留者の家族のことを思うと、いまの自分は幸せだと答えた。

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