不毛地帯
- 第三話 -
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全日本遺族会の名誉会長でもあった久松は、毎朝新聞と全日本遺族会が護国寺の国有地払い下げで争っていることに目をつけ、ラッキード機の事故を記事にしないことを条件に土地を渡すと持ちかける。久松から、記事が止まりそうだという連絡を受けた壹岐は、さっそくそれを里井に報告した。

ところがその翌朝、毎朝新聞ではなく東都新聞に、ラッキードF104の欠陥を訴える記事が掲載されてしまう。田原が、東都の記者にスクープを譲ったのだ。壹岐のもとにやってきた田原は、ライバル紙であろうと記事を出すことが最優先だと言い放ち、元軍人でありながら遺族会を犠牲にした、と壹岐をなじった。

東都新聞の記事を受け、近畿商事には新聞各社からの電話が鳴り響いていた。そこで壹岐は、事態を鎮静化させるために、ラッキード社のブラウン社長を来日させ、記者会見を開こうと提案する。

緊急来日したブラウン社長は、記者会見の席上で、事故原因が操縦ミスであること、そして、致命的な欠陥だと報じられた機首反転時のキッカーの作動はパイロットの命を守るものであることを訴えた。ラッキードF104の性能に対する疑惑を逆手にとって、その安全性をアピールするという壹岐のシナリオ通りの展開だった。

あくる朝、貝塚の元を訪れた鮫島は、大門とブラウン社長が記者会見後に総理を訪ね、次期戦闘機がラッキードF104に決定すれば対米貿易に関する規制緩和などを考慮するという米大統領からの添書を手渡したことを教えられる。そこで鮫島は、ラッキードF104に決定という流れを覆すべく、力を貸してほしいと貝塚に相談を持ちかけた。

芦田をマークしていた鮫島は、彼が近畿商事の株を手にしたことをつかんでいた。芦田から防衛庁の機密情報を入手する際、住宅購入の頭金をせびられていた小出は、里井の指示を仰ぎ、株券を渡していたのだ。

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