鹿男あをによし
ストーリー
《6/7》
小川は、一緒に来て欲しいと藤原に声をかけ、ふたりは美しい月夜を歩きながら、鹿が儀式の場所に指定した平城宮跡の朱雀門前にやってくる。そこには、すでに小治田の姿もあった。緊張しながら鹿を待っていると、小川たちの頭上から女の声がする。鼠だ。鼠は小川に、自分は何度も小治田をせっついたが、小治田は私欲に負け鏡を自分のものにしていたのだと話す。小川と藤原が、そんな声の主の姿をとらえようとした一瞬の隙を突き、小治田が小川の手元から"目"を奪い取る。一生かかっても見つけ出すことができないほどのものを、むざむざ捨てることはできないと往生際の悪いことを言う小治田。そして、自分のものにならないのなら、壊してやると言うと、"目"を持って疾走する。その先には、線路があり、今まさに暗闇の向こうから電車がこちらへ向かっている。小治田を追っていた小川は、枯れ草に足を取られ転倒してしまう。その間に、グングン電車に近づく小治田。そしてあろうことか、夜空に向かい高々と鏡を放り投げる――。絶望の表情で鏡を見送る小川。藤原は思わず頭を抱え、しゃがみ込んでしまう。
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