Dのゲキジョー
〜運命のジャッジ〜

上京して2年目、店の客と同伴で舞台を見に行く。それは帝国劇場で行われていた森繁久彌さん主演の『屋根の上のバイオリン弾き』だった。そこは誠が知る大衆演劇とは全く別の演劇が繰り広げられていた。誠にとって、演劇の世界は恨みの対象でしかなく芝居を見ることをずっと避けてきたのだったが、森繁さんの舞台に衝撃を受け、自らに宿る"役者の血"を感じた誠は一つの決断を下す。『自分の劇団を作り、舞台の上で死ぬ!』この時25歳。ホストでの成功を全て捨て、劇団・誠を旗揚げした。

『今までの大衆演劇とは全く違う劇団を作りたい…』何本ものビデオを見て勉強をし、自分流の芝居にこだわった。そのため劇団・誠は流派や協会にも属さず、後ろ盾なしのゼロの状態からスタートした。衣裳やカツラ、必要な物は全て借金をして購入した。その額2000万円。座員は新聞広告で募集した素人役者が4人。座員たちの衣裳の着付けから公演の営業までの全てを誠一人でこなした。

劇団・誠に来る仕事は健康ランドやヘルスセンターでの営業ばかりだった。『自分がやりたい演劇はこんなことじゃない』と劇場公演を決意し、自ら花魁姿で街頭に立ちビラを配る。

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