2月14日
[10:50]
僕は待ち合わせの時間より10分前にりんかい線の東京ﾃﾚﾎﾟｰﾄ駅についた｡半年ぶりのお台場は冷たい風が肌を1枚ずつめくり取ってくるような寒さだ｡懐かしい｡｢来た｣というよりは｢戻ったきた｣というほうが正しい表現だろう｡
それから30分後､A子がようやく到着した｡
｢待った?｣
｢ううん…｣
｢どうしたの?｣
｢いや､なんでもないよ…｣
｢じゃいこっか｣
ﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝﾃﾞｰと言えば昨年A子が僕に突然ﾛﾝﾄﾞﾝ留学を宣告した日だ｡否が応でもあの時の不安が脳裏をつついてくる｡
今日はA子がﾌﾟﾗﾝﾆﾝｸﾞしてくれたﾊﾞﾚﾝﾀｲﾝﾃﾞｰﾄ｡今回は何事もなく楽しく夢のような時間がすごせる､その時の僕は迂闊にもそう思っていた…｡
まず僕達が向かった先はﾒﾃﾞｨｱｰｼﾞｭだ｡ﾒﾃﾞｨｱｰｼﾞｭでは今､世界でも数少ない『ｸﾘｽﾀﾙ･ｶﾘﾖﾝ』の演奏会やﾒﾃﾞｨｱｰｼﾞｭのﾂﾘｰをﾌﾟﾛﾃﾞｭｰｽしたDEPAPEPE(ﾃﾞﾊﾟﾍﾟﾍﾟ)のｵﾘｼﾞﾅﾙｱｸｾｻﾘｰを限定販売しているｲﾍﾞﾝﾄ『DEPAPEPE&THE KISS ｺﾗﾎﾞﾚｰｼｮﾝ』が実施されている｡
まずA子に先導されてたどり着いたのは､6階にあるﾜｰﾙﾄﾞ ｵﾌﾞ ｺｶ･ｺｰﾗ東京だ｡そこでは『Sweet Heart Valentine』というｷｬﾝﾍﾟｰﾝが開催中で､なんと特賞なら1万円の食事券がその場で当たるらしい｡
｢私実はこの前買い物してここの抽選券もらってたんだ｡えへ｣
｢へぇ〜､面白そうだね｡特賞1万円だってよ!｣
世の中そううまくはいかない｡とはいえ､A子はなんとSWEET賞の｢箱入りﾁｮｺﾚｰﾄ｣を手に入れた｡A子は多少残念な表情をしながらも自然と笑みがこぼれた｡
少し前､大喧嘩してどうなることか心配してたし､本当に楽しく過ごせるのか不安だった｡だけどA子のかわいい笑顔は一眼ﾚﾌの写真として僕の脳裏に焼きつき､蟠るｺｺﾛの不安がﾋﾞｯｸﾊﾞﾝのように消し飛んだ｡今日は幸先の良いｽﾀｰﾄだ｡そしてやっぱり僕はA子のことが大好きなようだ｡
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