嫉妬に身を焦がす感覚を味わった僕は、この事件でひとつ再認識したことがあった。
どうしようもなく彼女に惹かれている自分のこの想いを、もう隠す事は到底出来なかった。
― 生まれ変わろう。
やさしいだけじゃ男は駄目だ。もっと強気にならないと。
僕のココロの中で『ν(ニュー)ミヤザキ君』として再誕生した瞬間だった。
そんなある日A子が突然電話をしてきた。あの悪夢のような喧嘩から2週間たった昨日の出来事だ。そう、僕の危機感を宇宙の果てまで遠のかせ、ちょうど落ち着きを見せたこの街を一人で歩いていた時だった。
「この前はごめんね。本当になにもなかったんだよ。イケメンだらけっていうもんだから…つい」
「うん。僕もちょっときつく標準語で言い過ぎた。ごめんね。もっとA子を信じてれば…」
「ううん。ミヤザキくんのことは許すよ。そのお詫びとしてっていったら変だけど…」
「え?なに?」
「今度の火曜日って空いてる?私その日会社の設立記念日でお休みなの」
「今度の火曜?う〜ん、空いてるけど…」
― このところ予定はまったくない。
「私がお店決めてデートしたいなって思って…」
「え?本当!?すごくうれしい。じゃあ僕もたまった代休をつかおうかな…」
「じゃあその日11時に待ち合わせね!約束ね。時間厳守だぞ〜(笑)」
「遅れたら怖いな〜(笑)」
「ギロチンの刑だよっ」
「勘弁してよ〜(泣)ははは」
「じゃあ楽しみにしてるね」
「うん。僕も。じゃあまたね」
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