バレンタイン期間限定の『ビストロ喜楽亭』のハート形カレーパン(リンゴとパインの入った甘口)、『Fish Dance』のハート形のピザ、『アンジェリク ヴィーナスフォート』のハート形のミルフィーユなど、食べるのがもったいないくらいの可愛らしいハートフルメニューでお腹を膨らませた。

「すごいね〜。こんなふうに作れるもんなんだね」
「かわいい〜!食べるのがもったいないけど、すごくおいしいね」

なんとか気分が戻ったA子にほっとする。

食事を終えヴィーナスフォートを出た僕らはパレットタウン大観覧車へと足を向けた。

「せっかくだから乗ってみようよ」
「うん、私、乗ったことないから乗ってみたかったんだ」

過去に一度男友達とお台場に来た時以来の乗車だった。宙に浮かんだ二人だけの夜のお台場観覧。約15分間の空中デート。

「すご〜い。周りの建物や車があんなに小さく見える。まるでお台場全体がイルミネーションみたいね」
「こんなに高い場所でお台場を眺めたことないよ。宙に浮いているみたいだね」

頂上に差しかかった頃・・・

「はい、これ」
「え、もしかして」

女の子らしくラッピングされたチョコレート。期待していたものの、いざ目の前に差し出されると、とても緊張してしまう。これだからたいがいの男は女につけこまれる。

「ありがとう。嬉しいよ」

僕の言葉が終るのを待つことなく、A子が静かに口を開いた。

「実は私、来週からロンドンに留学することになったの」
「えっ、そんな冗談でしょ・・・」
大観覧車

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