神話の国として名高い出雲を駆け抜ける「出雲全日本大学選抜駅伝」が20回の記念大会を迎えます。これまで大学三大駅伝開幕戦として様々な名選手、名シーンを生み出してきましたが、今年もまた熱い戦いが期待できそうです。
まず注目は、大学生ながら5000m、10000mで北京オリンピックに出場した竹澤健介選手(4年)率いる早稲田大学です。竹澤選手は、07年の箱根駅伝では花の2区で区間賞、07年夏の大阪世界選手権に10000mの日本代表として出場、更に今夏、日本選手権5000mで2位に入り北京への出場権を手に入れるなど、この4年間、日本長距離界のホープとして期待を大いに上回る実績を挙げてきました。またチームとしても、5000mを13分台、10000mを28分台で走るスーパールーキー八木勇樹選手(1年)やソウル、バルセロナオリンピックマラソン日本代表・中山竹通氏の息子・中山卓也選手(1年)らスピードある新入生も加入しており、戦力は非常に充実しています。ちなみに優勝すれば96年以来12年ぶりとなりますが、その前年95年や94年は現監督の渡辺康幸氏らが活躍し秋の出雲路を大いに賑わせたシーズンでした。今年はそれ以来の伝統の『えんじのW』の復活が期待されています。
昨年まで出雲3連覇を達成している東海大学も要注意です。4年連続出雲で区間賞を獲った伊達秀晃選手(08年卒業)ら主力の4年生が多数抜け、危機的な状況でのスタートとなりましたが、やはり絶対エース佐藤悠基選手(4年)の存在はチームに力を与えます。佐藤悠基選手は箱根駅伝で3年連続区間新記録を樹立、また5000mでは日本歴代9位の記録を持つなど学生界にとどまらぬ日本長距離界のエースです。そんな佐藤選手に憧れて東海大学の門を叩いた1年生も多く、そんな1年生達も佐藤選手の集大成のシーズンを支える力強いメンバーとなりそうです。佐藤選手は入学してからこの出雲では負けたことがありません。このまま負け知らずで卒業するために、夏合宿も率先してチームを引っ張ってきました。そんな夏を乗り越えた東海大学。4連覇を狙う力は十分にあります。
その2校の強力なライバルとなるのは、08年の箱根王者・駒澤大学。伝統的な「総合力」は毎年ハイレベルで、箱根駅伝、全日本駅伝には過去5年で6回も勝っていますが、距離が短くスピード勝負となる出雲駅伝では98年以来実に10年もの間、優勝から遠ざかっています。しかし、伝統の安定感、層の厚さは健在な上に、今年は宇賀地強選手(3年)、高林祐介選手(3年)、深津卓也選手(3年)といった3年生トリオを中心に5000mを13分台で走れるスピードランナーがずらりと揃い、出雲王者にぐっと近づきました。チームを率いる大八木監督も「スピードを加えた新しい駒澤をお見せしたい」と意気込んでおり、またチーム全体でも出雲、全日本、箱根の「3冠」を獲るんだという高い意識を持ち、練習も活気に満ちています。
更に山梨学院大学は10000m27分27秒という日本記録さえ上回る脅威的な自己記録を持つケニアからの留学生モグス選手(4年)が日本インカレ5000mを制するなど元気です。距離が短い出雲ではこの「大砲」が爆発すれば終盤での大逆転も可能なだけにこちらも目が離せません。
全日本、箱根と続いていく大学三大駅伝の開幕戦「出雲駅伝」。秋の王者は誰なのか??例年以上の大激戦が予想される出雲駅伝は10月13日13時5分号砲です。
|