「ずっとおうえん。プロジェクト」で在日インド大使館とのコラボイベント!
[2012年10月29日更新分]
10月6日、宮城県東松島市で「ずっとおうえん。プロジェクト」を開催しました。
会場となった矢本武道館今年2012年は、日印友好60周年の記念すべき年ということもあり、日本各地でインド関連のイベントが開催されています。今回、大使館関係者が「ずっとおうえん。プロジェクト」に大変興味を持ち、「是非一緒に何かしたい。インド文化をより多くの人に紹介したい。」とお申し出て下さって、コラボして被災地支援イベントを開催する運びとなりました。
インドと言えば、震災直後、宮城県女川町の避難所でインド人青年がカレーの炊き出しを始めたことから、のちに「女川カレープロジェクト」が立ち上がり「女川カレー」が誕生しました。老若男女問わず親しみやすく体の芯から温まるよう調味されたカレーを女川の特性ブランドとして売り出し、事業として継続させることで雇用を生み出すことを目標にしたのが、「女川カレープロジェクト」です。また、インド政府は震災直後、初の海外派遣として国家災害対応部隊の支援隊46名を宮城県に送り出しました。
今回のイベントのメインは、インドの古典舞踊「プルリア・チョウ」と東松島の大曲浜獅子舞がジョイントパフォーマンスするというもの!
「プルリア・チョウ」とは、仮面と武術を取り入れた、力強さに溢れるインドの民族舞踊。古くは豊作を願い、感謝や喜びの表現として踊られたのが始まりで、今でも婚礼やお祭りには欠かせない舞踊としてインド各地で受け継がれています。
一方、大曲浜獅子舞も、漁師まちの男性によって豪快に舞うのが特徴で、現在は市の無形民俗文化財に指定されています。この二つの伝統芸能の競演が今回の目玉企画です。
本番での競演の息は抜群でした。観客の皆さんも一緒になって盛り上がり、会場全体がまさにひとつになった瞬間でした。
その他、本場インドのヨガを体験して頂こうと、世界60カ国に支部を持つシヴァナンダヨーガ・東京支部の皆さんを講師としてお迎えして、初めての方でも無理なくできるポーズをご指導頂きました。
また、インド絵画を紹介し、インドのアーティストと一緒に絵を描くワークショップも実施。言葉は通じなくても子どもたちと一緒に楽しそうに絵を描いていました。
今回のイベントには、200名以上のお客様が参加。大盛況でした!
また、この企画実現にあたり、在日インド大使館の皆様、ナマステインディア事務局長・長谷川時夫様、シヴァナンダヨーガの皆様、大曲浜獅子舞保存会の皆様、仙台放送・ジュニくん、そして、東松島復興協議会の皆様には多大なるご尽力を賜り、心より感謝申し上げます。
文:寺田朋代(フジテレビ 国際部)
フジテレビ 梅津弥英子アナウンサーからのメッセージ
300年以上の歴史を誇る大曲浜獅子舞を、今回、私は初めて見せて頂きました。
震災の津波により、多くの会員や家族が亡くなり、獅子頭や太鼓もほとんどが流失。復活までには、幾重にも困難があったと思います。
冒頭に、会長が地元への感謝の言葉を述べ、勇壮に獅子が舞った時、会場にいた多くの方が、涙を流していました。集った地元の皆さんの想いが、天に昇っていくのが見えるような瞬間でした。
毎年、お正月には地区内を巡り、豊作や大漁、家族の健康を祈願してきた獅子舞。
震災後、残された会員が奮起し、改めて家族の健康を祈るその舞いには、どんなに強い祈りが込められているか。
「何があっても、ここで生きる。深い悲しみを、しっかり受け止めて生きていく。」
そんな強いメッセージを感じました。
インドのプルリア・チョウとのコラボは、さすが!プロとプロとのぶつかり合い!!圧巻でした。本番前、両者はほとんど言葉を交わさず、若干ぎこちない雰囲気すら漂っていただけに、司会者として(正直に言うと)、どうなるんだろう…?と心配していました。
しかし、お互いのパフォーマンスに刺激されたのか、会場のリアクションも相まってぐんぐん盛り上がり―――最後は両者笑顔で、パフォーマンスを炸裂!!
本当に楽しかった。素晴らしいものを見せて頂きました。
帰り際にお話を伺った地元自治会の会長さんは、「物資の支援は、実はもうお断りしているんです。」とおっしゃいました。
震災後1年足らずの時期は、着るものなどの支援が有り難かった。けれど、今は違う。
"自分で働いてお金を得て、そのお金を使って楽しむ"。やはりそれが健全だと感じているそうです。
『無償で娯楽を提供したい』と企業から申し出があった時は、"100円でもいいからお金を取って、そのお金を東松島で使って欲しい"と相談したそうです。
「寄付するお金を、お土産屋さんで使って帰ってもらえたら、東松島の復興にとって、こんなに有難いことはないんです。」(会長談)
1年半という時が経ち、物質的な支援だけではなく、生活を取り戻していくための支援。
東松島に伺ったことで、その事に気付くことができました。
また、ぜひ伺いたいです。
文:梅津弥英子(フジテレビ アナウンサー)
フジテレビ 渡辺和洋アナウンサーからのメッセージ
大曲浜海岸に建つ
津波犠牲者の慰霊碑 今回、初めて「ずっとおうえん。プロジェクト」に参加させて頂きました。震災直後に石巻を中心に取材をしていた自分にとって、このような形で東松島を訪れ、地元のみなさんに安らぎのひとときを過ごすお手伝いが出来ることを嬉しく思うと同時に、あれから時間が経つ中で、みなさんの生活がどう変化しているのかを知る重要な機会だとも考えていました。
会場となった矢本武道館。ここも、当時津波でかなりの浸水被害があった場所。しかし、今はみなさんの手でしっかり復旧し、この日のために舞台も設営してくださっていて、気持ちも昂ります。
最初は不安でしたが、会場いっぱいに席が埋まるのを見て、ほっと安心しつつ、気合が入りました。
そんな大盛況の中で、いよいよイベントがスタート。
被災地復興のため、はるばるインドから来てくれたプルリア・チョウの皆さんは、本当に心のこもった最高のパフォーマンスをしてくれました。言葉や人種の壁を、音楽、そして心・気持ちは簡単に超えて伝わることを目の当たりにしました。それに刺激を受けるように、地元で永く愛される伝統の「大曲浜獅子舞」の舞う様は、あの大震災から一歩づつ立ち上がり、しっかりと今を生きる被災者のみなさんのように、力強く、また逞しく感じるものでした。
無邪気に一緒になって踊るお子さんの姿にみんなが笑顔になりました。
このお子さんたちが未来の被災地を必ずや復興させてくれると確信しました。
最後にみんなで記念撮影この日、会場に足を運んでくださった多くのみなさんは、未だに仮設住宅での生活を余儀なくされています。
今年の厳しい寒さもこの環境でみなさん過ごさなくてはなりません。たった一日のイベントでしたが、自分に何ができるのか、みなさんにとって役立つその形はどんどん変化している中で、改めて「ずっと」応援していく重要性を感じました。
文:渡辺和洋(フジテレビ アナウンサー)