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[2009年5月12日更新分]
環境報告、消える流氷、北の異変、アザラシたちのSOS
1月、北海道・知床半島。オホーツク海に面した海岸は、一面の流氷で覆われます。そしてこの流氷は、様々な生き物を一緒に連れてきます。この冷たい氷の上こそが、アザラシたちの楽園なのです。実は、そのアザラシの世界に、異変が迫っているといいます。
去年と今年の流氷の違い、左が去年本来、2月のオホーツク海沿岸は、流氷で覆われてしまうのですが、流氷の世界に、大きな異変が起きているようです。
例年1月の終わりに来るはずの流氷が、今年は全然やってきません。現れたのは、2週間も遅い2月10日。これは、観測史上3番目という、記録的な遅さです。暖冬で減っているという流氷の世界に何が起きているのでしょうか?
水中を泳ぐアザラシの赤ちゃん動物カメラマンの小原さんは、流氷の減少と、アザラシの生態には、密接な関係があると、写真集で伝えています。
「流氷というものは、氷河とか北極の氷とは違って、より地球温暖化の影響を受けやすいものです。つまり、地球温暖化を診断するセンサーとして、最も敏感なものの一つです」
流氷の上のアザラシの親子
流氷の上のアザラシの赤ちゃん
流氷減少の原因の一つは、地球の温暖化にあると言われています。そして、その影響を、真っ先に受けているのが、アザラシだと言います。
流氷が訪れる2月頃は、アザラシの繁殖期でもあり、アザラシの母親は、氷の上で出産し、子育てをします。産まれた赤ちゃんは、およそ3週間しか、お母さんといられません。流氷が溶けてしまうからです。だから、赤ちゃんは、たった3週間ほどで、独り立ちしなければならないのです。アザラシも、赤ちゃんの時は、まだうまく泳げません。氷の間を、伝い歩きをするように、少しずつ覚えます。食べ物も、おっぱいを飲んでいますが、魚はまだまだ捕まえられません。つまりアザラシにとって、流氷は無くてはならないものなのです。
文:山崎亮介(フジテレビ 報道センター プロデューサー)
松尾知明(フジテレビ 報道センター ディレクター)