第2回 フジテレビジュツ博

開催レポート #3

第2回:2024年10月18日(木)・19日(金)
11時~17時

『第2回 フジテレビジュツ博』
『第2回 フジテレビジュツ博』

展示会場レポート

第1会場・フォーラム・続々

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート

第一会場・フォーラムを奥に進むと、『新しいカギ』の隠れ場所展示の前に、ひと際大きな展示コーナーが目に飛び込んできます。
今回最大のスペースを使って建てられたのは、大道具を手掛けるチトセアートによるオリジナルセットで、数々の“技”がちりばめられたものでした。

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」

<オリジナルセット 「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」>
デザイン:坂田結花・田中舞夢 製作:杉本穏香・泉 里咲 操作:渡辺桃加(チトセアート)

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」

チトセアートは前回の「フジテレビジュツ博」でもオリジナルセットを展示していました。前回は手練れの中堅・ベテラン社員がその技を披露しましたが、今回は若手が中心となって企画・製作を進めました。テーマは「年月の変化と素材の変化」。塗装 経師 造形 エイジングなどの技術を駆使して、道具が仕上がっていく工程をセットの中に入れ込みました。
舞台は香港・九龍城。実際の写真などを見ながら、写真店や精肉店、工具店などを階段の両脇に配置、建物の外装もそれぞれ違った素材で作りました。最大の特徴はセットの左右で年月の差が感じられること。エイジング(汚し)と言われる手法で、向かって左側は15年程度(汚し控えめ)、右手は60年程度(大汚し)が経過した状況に仕立てました。店の床にはネズミが走り、肉にはハエが止まる…リアルな演出も来場者をひきつけました。

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」

九龍城の街並みを抜けると奥には一軒のバーが。向かって左側(下手)の半分は、仕上げを何も施していない生地のままの状態。それらを反転させた右側(上手)に塗装・汚しなどを施し、装飾品を配置すると…。何年も通うお客さんがいるような落ち着いた居心地のいい店内に。
装飾品の中にはノーマン・ロックウェル風の絵が。実はこの絵に描かれている人物は、チトセアートで背景を担当しているスタッフと、大工スタッフの2人。この作品は、チトセアート・川本さんの手によるものです。

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート「チトセトランスフォーム~年月の変化と素材の変化~」
『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら

年季の入ったバーを出て狭い通路を進むと、左手にたくさんのかつらが見えてきました。多くの来場者でにぎわいを見せていた山田かつらの展示ブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら
『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら
『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら

<「バカ殿様」・時代劇のかつら>
担当:矢津田一寛、松浦 央、小島百合子、佐々木精一(山田かつら)

山田かつらには映画・ドラマ・バラエティ・情報番組などで出演者へのヘアメイク全般を担当する「メイク部」と、時代劇からコント番組まで幅広いジャンルのかつらをスタイリングする「かつら部」があります。今回はかつら部門(床山)が誇るかつらの数々を展示しました。時代ごとのかつらが並ぶ中、人気だったのが『志村けんのバカ殿様』のかつら。志村けんさんや優香さんらが実際に使っていたもので、希望者はかつらをかぶることもでき、多くの人が体験しました。東京衣裳が提供した着物を羽織れば「バカ殿様」の出演者になった気分。ブースの隣に設けられた「なりきりフォトステージ」では連獅子とともに記念撮影が行われていました。
ちなみに壁に飾られたポスターのモデルは山田かつらの久間康司社長が務めています。

『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら
『第2回 フジテレビジュツ博』山田かつら

かつらの試着が行われる後ろには太い柱に囲まれたスペース。中は淡い光で照らされ、美しい花々で彩られています。こちらは生花装飾を手掛ける京花園のブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』京花園
『第2回 フジテレビジュツ博』京花園
『第2回 フジテレビジュツ博』京花園
『第2回 フジテレビジュツ博』京花園

<造花アート>担当:佐伯慎介(京花園)

京花園は生花を扱うことが多いのですが、今回柱に囲まれたスペースを利用してあえて造花による展示を行いました。根に水をやる必要がある生花に対して、造花は上から吊るして飾ることができ、その特性を生かしたのです。柱の上から飾られた花木に下から照明を当てることで幻想的な空間が出来上がりました。ゆったりと時間が流れる空間で、ドラマなどでの装飾のエピソードなど担当者の話に耳を傾ける来場者の姿が見受けられました。

京花園のブースと壁を隔てて設置されたのは12体のマネキン。マネキンがまとっているのは東京衣裳が用意した衣裳です。こちらでは、テレビ番組を彩る衣裳の展示が行われました。

『第2回 フジテレビジュツ博』東京衣裳
『第2回 フジテレビジュツ博』東京衣裳『オレたちひょうきん族』

<制服とバラエティ衣裳に見る昭和・平成・令和>
担当:中川博次、幸松里奈、酒見紗佳、平野真悠(東京衣裳)

昭和・平成・令和と書かれた壁の前に、それぞれ4着ずつ衣裳が並びます。後方に置かれた6体のマネキンにはスケバンスタイルやルーズソックスなどそれぞれの時代の制服が着せられました。前方に置かれた6体は時代を彩ったバラエティの衣裳です。
昭和は『オレたちひょうきん族』でビートたけしさんと明石家さんまさんが扮したタケちゃんマンとパーデンネン。平成は『めちゃ×2イケてるッ!』の色とり忍者から白佐衛門(ナインティナイン・矢部浩之)と青助(同・岡村隆史)。令和からは『新しいカギ』の力見力(チョコレートプラネット・長田庄平)と粗悪社長(霜降り明星・粗品)。長年テレビ番組などの役やシーンに合わせた衣裳のコーディネートや製作をしてきた東京衣裳ならではの展示です。3時代の人気キャラクターがずらりと並びました。

『第2回 フジテレビジュツ博』東京衣裳『めちゃ×2イケてるッ!』
『第2回 フジテレビジュツ博』東京衣裳『新しいカギ』
『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会

第一会場・フォーラムの一番奥に配置されたのは持道具の展示。持道具とは「役者が身に着ける、衣裳やウィッグ以外のもの」。京阪商会が所蔵する珍しい道具類の数々が飾られました。

『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会
『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会
『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会

<リアル持道具の世界>
担当:柳下晃一、赤松慶人、網野高久、早坂真心(京阪商会)

持道具はリアルなものばかりです。マネキンがまとう陸軍や警察官、消防の衣装、これらは本物を忠実に再現したものです。さらに帽子、眼鏡、アクセサリーなどバラエティ豊かな装身具が所狭しと展示されました。勲章のレプリカや古い時代のカメラなどに見入る来場者の姿も多く見られました。気に入った帽子や眼鏡をつけての記念撮影も行われていました。

『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会
『第2回 フジテレビジュツ博』京阪商会
『第2回 フジテレビジュツ博』サンフォニックス

持道具の世界の隣には珍しい楽器が置かれました。楽器・音響(PA)・音声業務を担当するサンフォニックスのブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』サンフォニックス
『第2回 フジテレビジュツ博』サンフォニックス
『第2回 フジテレビジュツ博』サンフォニックス

<プラチナバイオリン、グランドハープ>
担当:岩崎 滋(サンフォニックス)

音楽番組では珍しい楽器を使うこともあり、サンフォニックスはいろんな楽器を所有しています。今回、展示した一つはお値段ン千万円というグランドハープ、来場者には椅子に座って音を出してもらいました。しっかりと指で弾かないといい音が出ませんが、値段を聞いてしり込みする方も・・・。もう一つの展示品はプラチナバイオリン、こちらはサンフォニックスが以前、展示会用に加工したものです。プラチナで装飾されていますが、ちゃんと弾くことができます。ただし今回は、ガラスケースに入ったものを見学してもらうだけとさせていただきました。

プラチナバイオリンの隣には『ENGEIグランドスラム』の舞台が、フォトスペースとして設置されました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『ENGEIグランドスラム』
『第2回 フジテレビジュツ博』『ENGEIグランドスラム』

<『ENGEIグランドスラム』>

舞台の中央に置かれたのは漫才ではおなじみのマイク。SONYから1970年に発売されたコンデンサーマイク「C38B」で、この型番から通称「サンパチマイク」と呼ばれています。マイクの前面にはフジテレビの「8」の字があしらわれていて、その前に立つと漫才師になった気分です。下手に置かれたMC台も番組で実際に使われているものです。山田かつらのブースで「バカ殿様」のかつらをつけてもらい、仲間とステージでパシャリというのがおススメの記念撮影でした。

ENGEIグランドスラムのコーナーで折り返すと衣裳の数々が展示されています。こちらは映画やドラマの衣裳を手掛ける松竹衣裳のブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』松竹衣裳
『第2回 フジテレビジュツ博』松竹衣裳

<『室井慎次』『ブルーモーメント』衣裳、光るドレス、錯覚ドレス>
担当:高津勝仁、 牧 亜矢美 、寺崎柚香 、今野早紀 (松竹衣裳)

下手に置かれたのは、開催期間中に上映されていた映画『室井慎次』で室井慎次役の柳葉敏郎さんが身に着けた衣裳です。黒のコートを見て『踊る大捜査線』の名シーンを思い出した人も多かったのではないでしょうか?その隣には2024年4月期のドラマ『ブルーモーメント』で使用されたSDM(特別災害対策本部)の制服が並べられました。ジャケットの肩口には晴原柑九朗(山下智久さん)の写真入りIDが。
その隣は光るドレス、さらにその隣のドレスの脇にあるひもを引っ張ると・・・中から鳥かごが登場する錯覚ドレスが飾られました。ドレスはすべて松竹衣裳デザイン室の制作です。

『第2回 フジテレビジュツ博』松竹衣裳
『第2回 フジテレビジュツ博』松竹衣裳
『第2回 フジテレビジュツ博』野沢園

<木のアーチ ~REAL&FAKE~>
担当:広田 明、渡辺 篤、津山 洋(野沢園)

松竹衣裳のブースを過ぎると会場の出口に向かいます。木のアーチをくぐって通る出口、実はこれが創業150年、ドラマやバラエティで植木装飾を担当する野沢園のブースでした。

『第2回 フジテレビジュツ博』野沢園
『第2回 フジテレビジュツ博』野沢園

エスケイシステムが組んだトラスに木の枝を飾り付け、宮崎駿監督のアニメ映画に出て来そうな木のアーチに仕立てました。この木々にはリアルなものとフェイクのものが混ざっています。一目見ただけでは見分けがつきません。すると木の陰から鈴虫の音色が聞こえてきます。野沢園のスタッフが「鈴虫を放しました」と来場者に説明していましたが、果たして本当だったのでしょうか?

『第2回 フジテレビジュツ博』野沢園
『第2回 フジテレビジュツ博』野沢園

木のアーチを抜けた来場者はエレベータに3階に向かいます。体験モノがいっぱいの第2会場の展示は次のレポートでご紹介します。

第2回 フジテレビジュツ博