第2回 フジテレビジュツ博

開催レポート #4

第2回:2024年10月18日(木)・19日(金)
11時~17時

第2回 フジテレビジュツ博

展示会場レポート

第2会場・V1スタジオ

『第2回 フジテレビジュツ博』第2会場・V1スタジオ

第一会場・フォーラムのある22階からエレベーターで一気に3階へ。大きなスタジオが並ぶこのフロアにあるV1スタジオが『フジテレビジュツ博』の第二会場です。
V1スタジオには、クロマキー合成用のグリーンカーテンが常設されています。今回はその特性を生かして、CG合成が体験できる展示を集めました。さらにIT技術などを駆使した体験ブースも加えて、第一会場とは一味違う“テレビ美術”の面白さを体感してもらいました。

『第2回 フジテレビジュツ博』第2会場・V1スタジオ
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン

<コマデンブース>担当:平野寛、小林賢次(コマデン)

美術セットを搬入する通称“大扉”から入ってすぐのところには、キラキラと光る展示が並びます。テレビ番組はもちろん、コンサートやイベントなどのエンターテインメント空間を光の力で華やかに彩る(株)コマデンのブースです。
今回、コマデンは4つの展示を行いました。

『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン

<コマデンブース>担当:平野寛、小林賢次(コマデン)

① 光るリストバンド(PIXMOB)
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン 光るリストバンド(PIXMOB)
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン 光るリストバンド(PIXMOB)
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン 光るリストバンド(PIXMOB)

テーブルにズラリと並ぶのは、光るリストバンド。コントロール装置から発する赤外線に反応して光の色が変わります。
2024年パリ五輪の閉会式では、選手たちがこのリストバンドをつけて登場して、会場を錦の光で彩りました。コマデンは、PIXMOBというこのリストバンドの開発にも携わったそうです。
モニターには、コンサートの客席で使用された時の様子が映し出されていました。大きな装置で会場を彩ってきた電飾も、今では観客が身につける時代に変わってきているんです。

『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン 光るリストバンド(PIXMOB)
② 『めざまし8』“くらもん”操作体験
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン “くらもん”操作体験
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン “くらもん”操作体験

リストバンド展示の隣には黄緑色の大きな物体が。これは2025年3月まで、朝の情報番組『めざまし8』に登場していた人気キャラクター“くらもん”の着ぐるみです。
この着ぐるみは両目に最新技術が使われています。PCを操作して目の形を選ぶと、その形が目のLEDディスプレイに表示されます。動作だけでなく、目の表情で笑ったり、怒ったり、泣いたりと、“くらもん”の感情を表現できるんです。
会場では、来場者自らPCを操作して、ハート目の“くらもん”と記念撮影するなど、あれこれと体験していただきました。

③ リアルとバーチャルの融合体験
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン リアルとバーチャルの融合体験
『第2回 フジテレビジュツ博』コマデン リアルとバーチャルの融合体験

“くらもん”の奥のスペースには、大型ディスプレイとPCが置かれたテーブルが・・・。
一見何てことのない展示ですが、実はこれ大型ライブでの光の演出を、PC1台でコントロールしている仕組みを体験できるブースなんです。楽曲に合わせて変わる照明や電飾、ビジョン映像などを制御するプログラムをつくるのは、まさにハイスペックなプロの仕事。サザンオールスターズをはじめとする大物アーティストのライブ会場で電飾などを手掛けてきた、コマデンならではの展示でした。ちょっとレベルの高い展示でしたが、照明を学ぶ学生さんたちは興味津々。担当者への鋭い質問も飛んでいました。

『第2回 フジテレビジュツ博』(株)テルミック「バーチャル水族館」

そのお隣には、魚たちが泳ぐ海底が映し出された大型 LED ビジョンが。テレビ番組・イベントなどの演出装置の制作を手掛ける(株)テルミックが作り出した「バーチャル水族館」です。

『第2回 フジテレビジュツ博』(株)テルミック「バーチャル水族館」
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)テルミック「バーチャル水族館」
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)テルミック「バーチャル水族館」

<テルミックブース バーチャル水族館でアート体験>
担当:須藤希、日下信二、島田孝太、浅野辰也(テルミック)

ビジョンに映し出される海底を優雅に泳ぐ魚たち。タコやカメもいるようです。とにかくみんな超カラフル、おまけに中には文字が描かれている海の生き物も。その仕組みはというと・・・。
まず、手前に置かれたタッチパネル式のタブレットで生き物を選択します。次に、生き物の体を好きな色で塗ったり、模様をつけたり、文字を書いたりしてオリジナルのデザインに。それを海中に解き放つと、その生き物がビジョンに登場して泳ぎまくるんです。リアルタイムに描画されるCG映像と、プログラミングなどIT技術を使ったエンターテインメント。こうした技術を使ってバラエティ番組のスタジオ演出を盛り上げることもできますね。
3つのタブレットはいつも稼働中、子供たちはもちろん大人にも大人気でした!

「バーチャル水族館」の隣には、朝の情報番組『めざましテレビ』の世界が広がりました。手前のコーナーでは“めざましくん”の実況が響く中、ひたすら押しボタンを連打する人たちが!夏のイベント『お台場冒険王』で大人気だった参加型ゲーム「めざましくんダッシュ」です。

『第2回 フジテレビジュツ博』バーチャルめざましくん
『第2回 フジテレビジュツ博』バーチャルめざましくん

<『めざましテレビ』ブース>①バーチャルめざましくん
担当:落合信人(テレサイト) 濱口利行、平野寛(コマデン)

『第2回 フジテレビジュツ博』「めざましくんダッシュ」

パリ五輪が盛り上がりを見せたころ、『お台場冒険王』のステージ用に開発された来場者参加型のゲーム「めざましくんダッシュ」。登場するのは『めざましテレビ』の人気キャラクター“めざましくん”。スタジアムのトラックに設置された障害物満載のコースで、4タイプの“めざましくん”たちが競うゲームです。操作はダッシュとジャンプの押しボタン2つだけ。ゲームを動かしているのはiPadのアプリで、仕組みもiPadをモニターに接続しているだけ。最近の美術制作現場ではCGとプログラミング技術を駆使して、一般で使われている端末でもこんなエンターテインメントが作れるようになりました。ちなみに“めざましくん”の声はAIで生成されています(くわしくは次に紹介する展示で)。
『お台場冒険王』では主に子供が参加しましたが、『フジテレビジュツ博』では大人も真剣にボタンを連打する姿が多く見られました。

『第2回 フジテレビジュツ博』「めざましくんダッシュ」

「めざましくんダッシュ」の隣、グリーンカーテンを背景にしたスペースには、『めざましテレビ』のスタジオセットが設置されました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『めざましテレビ』スタジオセット
『第2回 フジテレビジュツ博』『めざましテレビ』スタジオセット

<『めざましテレビ』ブース>
②テレサイト・デジデリック「バーチャルめざましくん」操作体験&AI音声体験 『めざましテレビ』スタジオ合成体験
担当:岡本英士、草﨑祐一郎(CGプロデュース部) 秋里直樹(ブラスカ合同会社) 当銀優季(デジデリック) 落合信人(テレサイト) 相馬楊介(フェローズ) 前田佑太(デジタル技術運用部)

来場者はグリーンカーテンの前に立っていますが、モニターには『めざましテレビ』のスタジオセットにいる姿が映し出されます。これは最新技術を使ったフルバーチャルのスタジオで、CG合成は2024年10月から実際の番組で使用しているものと同じ仕組みを使っています。CGは「フォートナイト」などのゲームで使われているソフト“アンリアルエンジン”を使って、リアルタイムで描画されています。
そして、モニター内のスタジオには来場者と一緒に“めざましくん”が映っています。2023年4月から番組で活躍している「バーチャルめざましくん」で、来場者には番組で動かしているのと同じ仕組みで操作体験をしてもらいました。操作は手前にあるテーブルに置かれたiPadとゲームコントローラーで行います。動きはすべて独自に開発されたiPadのアプリで制御。顔をiPadのカメラに向けて目や口を動かすと、“めざましくん”の表情も同じように動きます。顔を左右に動かすと“めざましくん”も左右に。さらにゲームコントローラーのボタンを操作すれば、腕を動かしたり、ジャンプしたり、じゃんけんしたり・・・。番組内で生き生きと表情豊かに動く“めざましくん”は、制作スタッフがこのシステムを使って動かしているのです。

『第2回 フジテレビジュツ博』『めざましテレビ』スタジオ
『第2回 フジテレビジュツ博』『めざましテレビ』

さらにテーブルに設置されたマイクに向かってしゃべると、その声が“めざましくん”の声に!
実はこれ、番組でも使われているAI音声システムを使って生成されたもの。“めざましくん”の声は、以前はナレーターの声を収録して使っていましたが、その声をAIに学習させて音声を生成するシステムを開発。2024年4月からは実際の放送にも導入しました。
『めざましテレビ』の出演者やスタッフになった気分を、味わっていただけたのではないでしょうか?

『めざましテレビ』の隣にもクロマキー合成のセットを設置しました。『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』のスタジオセットです。ここから先は、『ドッキリGP』の世界に浸っていただきます。

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』

<『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』ブース>
①スタジオ合成体験
担当:岡本英士(CGプロデュース部) 加藤徳格、岡元佳規(ナカムラ綜美) 棈木陽次(美術制作センター) 槌谷聡(制作技術統括部)

番組でもたまに緑の背景が登場しますが、『ドッキリGP』のスタジオはクロマキー合成です。背景は番組で使われているのと同じCGを用意。テーブルと椅子も実際に使われているものを設置しました。東野幸治さんや小池栄子さん、向井康二さん(Snow Man)ら出演者が座る同じ場所に座って記念撮影をする来場者で行列ができるほどの盛況でした。

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)ナカムラ綜美

スタジオ合成の横に広がるブースでは、『ドッキリGP』で使われている「とある技」の展示が。
それは「隠しカメラ」!アクリル装飾を手掛ける(株)ナカムラ綜美のブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)ナカムラ綜美
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)ナカムラ綜美
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)ナカムラ綜美

<『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』ブース>
②ナカムラ綜美 隠しカメラ部屋
担当:加藤徳格、岡元佳規(ナカムラ綜美)

小さな部屋に見立てたこちらのブースには、4カ所に「隠しカメラ」が仕掛けられています。特殊なアクリルを使っているため、カメラ側からは撮影ができますが、こちらからカメラは見えません。モニターに映し出された映像を頼りに、どこにカメラがあるか探してもらいました。子供たちが結構簡単に見つけるのに、大人はなかなか見つけられない・・・。芸能人たちがドッキリにはまってしまうのを納得いただけたようです。
ナカムラ綜美はアクリル全般を扱う会社。クロマキー合成スタジオの床面に敷きつめた緑のシートも担当です。加工もしますので、部屋にはドラマやバラエティで使われるオブジェも展示されました。

『第2回 フジテレビジュツ博』ナカムラ綜美
『第2回 フジテレビジュツ博』ナカムラ綜美
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行

「隠しカメラ」ブースの隣には、『ドッキリGP』で使用される美術道具の数々が。バラエティ・ドラマ・映画などの特殊小道具制作を手掛ける(株)千葉洋行のブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行「マッサマン」衣裳
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行

<『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』ブース>
③千葉洋行ブース 「マッサマン」衣裳・ドッキリ着ぐるみ
担当:横山公一(千葉洋行)

一番人気は「マッサマン」の衣裳。ヘルメット、ボディースーツ、手袋、ベルト、ブーツなどの素材や腹筋が生地に描かれている様子を間近で確認できます。他にも「焼肉マン」の衣裳や、壁には「フィリピンオオコウモリ」の着ぐるみ、ソファには「森のくまさん完全ドッキリ」で使われたクマの着ぐるみ、机の上には東野さんのマスク、隣にはストリートファイターの必殺技完全再現で使われた「波動拳」や「竜巻旋風脚」などなど。所狭しと飾られた造形物、小道具の一つ一つを写真に収める来場者もいました。

『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行
『第2回 フジテレビジュツ博』(株)千葉洋行
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」

『ドッキリGP』最後の展示は「ビリビリ椅子」。電流のほか水や火、風、銀テープや紙吹雪を打ち出すキャノン砲はじめ、特殊効果を担当する(株)東京特殊効果のブースです。

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」
『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」

<『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』ブース>
④東京特殊効果ブース 「ボムマジ爆発」ビリビリ椅子体験
担当:仁井田真希、久保田奏海(東京特殊効果)

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」

「ボムマジ爆発」の真っ赤な世界観の中に置かれた椅子。そこに座って右手にあるボタンを押すと、お尻にビリッと激痛が走ります。これが「ビリビリ椅子」です。テストの時に、あまりの衝撃にのけぞって後ろに倒れそうになったスタッフもいたので、奥にはマットを設置、担当者が浅めに座るようお願いすることにしました。浅く座っても痛さは変わりません。しかし・・・これでも番組で使っている強さの5分の1なんだそうです。番組出演者の方々には頭が下がります。
会場で危険があってはいけないので、高校生以下と60歳以上の方、心臓の弱い方などの利用は制限させていただきました。スタッフが手書きで書いた「本当に痛いです」の文字に恐れながら、多くの方が挑戦しました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『芸能人が本気で考えた!ドッキリGP』(株)東京特殊効果「ビリビリ椅子」
『第2回 フジテレビジュツ博』

第2会場の見学を終えた皆さんは、エレベーターを降りて1階の受付へ。
そこに並べられた数々の台は、様々な番組で使われたMC台です。来場者の皆さんにはこちらでアンケートにご記入いただきました。

『第2回 フジテレビジュツ博』

約2000人が来場した『第2回フジテレビジュツ博』。アンケート回収率は8割を超えました。ご協力ありがとうございました。
第3回の開催がいつになるかは未定ですが、いただいた声を生かしていきたいと思います!

『第2回 フジテレビジュツ博』

ご来場ありがとうございました!

『第2回 フジテレビジュツ博』