第2回 フジテレビジュツ博

開催レポート #2

第2回:2024年10月18日(木)・19日(金)
11時~17時

第2回 フジテレビジュツ博

展示会場レポート

第1会場・フォーラム・続

『第2回 フジテレビジュツ博』『海のはじまり』月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセット

第1会場・フォーラムの入り口からすぐ、連日、黒山の人だかりとなっていたのがこちら。
7月期の月9ドラマ『海のはじまり』から主人公・月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセットが展示されました。
1カ月前まで撮影に使っていたものです。

『第2回 フジテレビジュツ博』『海のはじまり』月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセット
『第2回 フジテレビジュツ博』『海のはじまり』月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセット
『第2回 フジテレビジュツ博』『海のはじまり』月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセット
『第2回 フジテレビジュツ博』『海のはじまり』月岡夏(目黒 蓮)のアパートの部屋のセット

<『海のはじまり』月岡夏の部屋>
デザイン:宮川 卓也 大道具:内海 靖之(チトセアート) 装飾:氏家 智雄(テレフィット) 大道具操作:和田 幸政(ダダ)
建具:白岩 竹雄(マエヤマ) アクリル装飾:國母 淳一(ヤマモリ)

人は、いつどのように“父”になり、いつどのように“母”になるのか。さまざまな“親と子”のつながりを通して描く愛の物語。
月岡夏が学生時代から過ごす部屋には物があふれています。柿ピーとミックスナッツの大きな入れ物や「新田写真館」で現像した写真。ミニコンポが置かれた棚には山積みのCD、年季の入った本が並びます。デザイナーが「様々な小物」から夏の人間性がわかるようにとこだわりました。
夏と南雲海(泉谷星奈)の姿が浮かび上がってくるような小さなテーブルとクッション。
部屋の片隅には恋人の百瀬弥生(有村架純)の化粧台も見られました。
小奇麗に整理されたキッチン、逆さに置かれたビールの空き缶や使い込んだタオルなどに生活感が漂っていました。

『第2回 フジテレビジュツ博』テレフィット「スイーツ王国女王の部屋」

リアルに作り込まれた『海のはじまり』のセットの隣には、鮮やかなピンクが際立つファンタジーの世界が広がりました。
こちらはドラマやバラエティ番組で装飾を担当するテレフィットが手掛けたオリジナルセット、題して「スイーツ王国女王の部屋」です。

『第2回 フジテレビジュツ博』テレフィット「スイーツ王国女王の部屋」
『第2回 フジテレビジュツ博』テレフィット「スイーツ王国女王の部屋」
『第2回 フジテレビジュツ博』テレフィット「スイーツ王国女王の部屋」
『第2回 フジテレビジュツ博』テレフィット「スイーツ王国女王の部屋」

<オリジナルセット「スイーツ王国女王の部屋」>
担当:菊地 誠(テレフィット)

中央に置かれたふかふかのベッド、その脇には背もたれの高い女王様の椅子、ともにピンクに彩られています。
テーブルにはケーキ、アイスクリーム、ジュースなどのスイーツが所狭しと並びます。
反対側に置かれたソファには大きなクマのぬいぐるみが…。
こちらのブースは中に入って撮影がOKだったので、多くの来場者が思い思いの場所に座ったり、小物を手に取ったりして写真に収めていました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『新宿野戦病院』

ファンタジーの世界の隣には再びリアルに飾り込まれたセットが置かれました。
新宿区歌舞伎町の路地にひっそりと建つ、歴史あり、訳ありの「聖まごころ病院」が舞台となった7月期の水10ドラマ『新宿野戦病院』のセットです。

『第2回 フジテレビジュツ博』『新宿野戦病院』
『第2回 フジテレビジュツ博』『新宿野戦病院』
『第2回 フジテレビジュツ博』『新宿野戦病院』

<『新宿野戦病院』院長室>
デザイン:アベ木 陽次 装飾:安野喜宣、太田美玖、片岡若葉、若林 一也(テレフィット) 大道具:内海 靖之(チトセアート) 大道具操作:茂 進(ダダ) 建具:岸 久雄(マエヤマ) アクリル装飾:鈴木 竜(ヤマモリ)

『第2回 フジテレビジュツ博』『新宿野戦病院』

笑って泣ける新感覚・救急医療エンターテインメント、古い建物の中の人々の温かみと、場末のあやしさがポイントです。
歴代院長の写真が飾られた院長室には大きな木製の机と回りには調度品の数々が飾られ、歴史を感じさせます。
院長席の前に広がる会議スペースには、立派な大きなテーブルが置かれています。間口の狭いエレベータに乗せて、22階の会場に上げるのは一苦労でした。
テーブルの上には資料のファイルの山とともに、ドラマの中で出演者たちが口にしていた「ペヤングソース焼きそば」と魔法瓶がさりげなく置かれていました。天井にかかった白い幕が重厚さを醸し出していますが、こちらは大道具操作のダダがセットの装飾で培ってきた技術を生かして作成しました。

『第2回 フジテレビジュツ博』「トラスの櫓」

前半の展示スペース中央に位置したのが、鉄骨が組み合わさったブース。
こちら、「トラスの櫓」ではアートフレームの世界を体感していただきました。

『第2回 フジテレビジュツ博』「トラスの櫓」
『第2回 フジテレビジュツ博』「トラスの櫓」
『第2回 フジテレビジュツ博』「トラスの櫓」

<アートフレーム「トラスの櫓」>
担当:永濱 大作(エスケイシステム)

飾られている金属製のフレームは様々なセットの基礎となるもので、組み立てはエスケイシステムが手掛けています。
強度補助の為に鉄骨を入れ構造を支えたり、モーターを使ってセットを吊り上げたり、重量があるセットには不可欠となります。
直線だけでなく丸みを帯びたフレームもあります。
組み合わさった鉄骨は構造を支えるだけでなく、剥き出しの美しいフォルムでセットを飾ることもあります。
FNS歌謡祭』の巨大なセットでは、およそ600本の鉄骨トラスを繋ぎ合わせ、長さの合計は1000mにも及ぶこともありました。

『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」

第1会場前半の展示スペース最後に置かれたのが「フェイク小道具の世界」です。
珍しい展示品で人気を集めていました。

『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」
『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」
『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」

<「フェイク小道具の世界」>
担当:細井 純、池澤 明徳(ヤマモリ)

『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」

台の上に所狭しと置かれているのはドラマなどで使われた小道具。
雑誌、絵本、袋詰めのお菓子、缶ビールなどありますが、街で売られているものとちょっと違う、“フェイク小道具”なんです。
ドラマなどでは“大人の事情”から一般に売られているものをそのまま使うことが難しいことがあります。
そんな時、ヤマモリの印刷技術がものを言います。
本物そっくりに外見を仕立て、ドラマの世界を壊さずにセットの中に溶け込みます。
ヤマモリはアクリル装飾を手掛ける会社でブースや壁面には装飾品も展示されました。

第2回 フジテレビジュツ博
『第2回 フジテレビジュツ博』「フェイク小道具の世界」

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》
所蔵:山梨県立博物館 画像:アルステクネ

<高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」>担当:山田健介(フジアール) 鈴木 豊、鵜灘 博、太田和明(インターナショナルクリエイティブ)

第1会場・フォーラムはスライディングウォールで3つに区切られました。
前半の展示を終えスライディングウォールの入り口からつながる中央の狭いスペースでは照明を落とし、プロジェクター展示が行われました。

『第2回 フジテレビジュツ博』葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》
所蔵:山梨県立博物館 画像:アルステクネ

<高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」>担当:山田健介(フジアール) 鈴木 豊、鵜灘 博、太田和明(インターナショナルクリエイティブ)

『第2回 フジテレビジュツ博』高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」
高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」

葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
所蔵:山梨県立博物館 画像:アルステクネ

『第2回 フジテレビジュツ博』高精細デジタル画像で体感する浮世絵の世界「Ultra Super Zoom」

葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道金谷ノ不二》
所蔵:山梨県立博物館 画像:アルステクネ

スライディングウォールの壁面いっぱいに映し出されているのは葛飾北斎の浮世絵です。
著名な「冨嶽三十六景」の作品が、超短焦点のプロジェクターを使って4メートル弱先の壁面いっぱいに投影されました。
現物は縦24.4cm×横37.0cmの版画、これを20億画素のカメラで撮影しデータ化し、最大100倍の画像にまで引き伸ばして映写します。
包み込まれるかのような没入感とともに、精巧に描かれた北斎の絵画や彫師の技が、原画では確認しづらい部分まで体感できました。いつも見ている浮世絵が、まったく違う作品のように感じられる展示でした。

『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」

中央のプロジェクター展示を見終わると、第1会場後半の展示が始まります。
最初は人気バラエティ番組の名物企画で実際に使われた仕掛けが展示されました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」
『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」
『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」
『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」
『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」

<『新しいカギ』「学校かくれんぼ」>
担当:裏隠居 徹、森山 史(東宝舞台)

『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」

『新しいカギ』のヒット企画「学校かくれんぼ」。
“カギメンバー”たちが学校に仕掛けた隠れ場所に身をひそめ、生徒たちが時間内に発見できるかを競うコーナーです。
ソファや本棚、重ねられた畳、花壇、切り株などあらゆるものが隠れ場所になります。
学校のいつもの風景に溶け込むように作りこめるかが美術スタッフの腕の見せどころ。
番組では担当者が登場し、隠れ場所の仕掛けを説明していますが、こちらでは来場者に生で解説しました。時には手に取って素材の質感や重さなどを確認してもらったり、実際に隠れてもらったり、番組企画の醍醐味を体感してもらいました。

番外編 フジテレビモール

「学校かくれんぼ」の隠れ場所はフジテレビ1階のフジテレビモールにあるフジテレビジュツの常設の展示場所「フジテレビジュツのヒミツ ショウケース」にも同じ時期に展示されていました。

『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」
『第2回 フジテレビジュツ博』『新しいカギ』「学校かくれんぼ」

<『新しいカギ』「学校かくれんぼ」コピー機>
担当:後藤 徹也(テルミック)

東宝舞台とともに隠れ場所を製作しているのが特殊装置を扱うテルミック。
主に冷蔵庫や自動販売機など電気製品の中に隠れる仕掛けを作っています。
冷蔵庫などは物や商品を入れられるようになっているため、元々ある程度のスペースが確保されていますが、コピー機は中身がギチギチに詰まっています。
取り外すパーツの数も多く、これを外さないとこっちが取れない、さらにここを外してしまうと残したいパーツが取り付けられないなど複雑な構造で、もっとも製作が困難な隠れ場所だったということです。

『第2回 フジテレビジュツ博』チトセアート

『新しいカギ』の隣に設置された、見どころいっぱいの巨大オリジナルセットは次のレポートでご紹介します。