あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「約束」
「スウィートブライダル」にベッタベタの甘いカップルが相談にやって来た。担当は美咲(木村佳乃)である。美咲は先日、結婚式に新郎のつとむ(温水洋一)が現れないという屈辱を味わったばかり。加奈子(飯島直子)やトオル(ユースケ・サンタマリア)は気が気でない。刺激的な二人の言動に美咲はくるみ(伊藤歩)に担当を変わってくれるように頼み、唐突に会社を辞めると言い出した。驚いたみんなは、とにかく引き止めようと決める。
 純(阿部寛)は、「落ち込むな」と元気付けようとするが、「私の恋愛遍歴に箔が付いた程度。落ち込む訳ない。笑わせないで」と美咲は強がる。辞めるのは、ロンドンの両親が一緒に住もうと言い出したからだと言う。
 トオルは、美咲に新しい恋をさせようと提案する。トオルが考えた相手は、響子(高橋ひとみ)のカウンセリングで一緒の黒沢(酒井敏也)である。つとむと同じタイプだから、というのが選んだ理由である。が、美咲は全く相手にしない。
 一方、拓(神木隆之介)は、大好きなはるか(塚本璃子)が元気がないことを気に病んでいる。その様子を見た美咲は、自分が子供の頃好きだった男の子と「秘密の花園」で結婚して永遠の愛を誓おうと思った話をして慰めてやる。拓は喜んで、その時はプランナーをやってくれと頼む。
 後日、スーパーで、加奈子親子は、はるか親子と偶然出会う。はるかの母・恵美子(山下容莉枝)は「お宅のお子さんをはるかに近づけないで。健全なご家庭のお子さんならまだしも」と言い放って無礼に去って行く。怒り心頭の加奈子であったが、拓は思いつめた様子である。しかも、友達からはるかが外国に行くと聞いて心配は募るばかり。
 そんな拓はトオルと柊平(妻夫木聡)に、はるかとの仲を取り持ってくれと相談する。二人がバレエ教室を覗いていると、教師(清水ミチコ)に発見され、トオルがレッスンさせられるはめに。しかし、そのどたばたの隙に、やっと拓とはるかは話が出来ることになる。はるかによると、はるかは両親と一緒にスイスで暮らし、もう会えないのだと言う。ショックを隠せない拓であった。
 その頃、美咲はつとむと会っていた。つとむは妻とよりを戻すと言う。「君ならいくらでも相手を見つけられる」というつとむの慰めに、強がりを見せながらも、嗚咽を止められない美咲だった。
 そんな美咲に拓は「はるかちゃんに、もう会えないの。『秘密の花園』の場所を教えて」と真剣だが無邪気に聞いてくる。いらだった美咲は「愛なんていい加減なもの。『秘密の花園』なんてどこにもない」と語気荒く拓を遠ざけてしまう。
 二人の様子を見たトオルは美咲に「拓の気持ちこそ本物だ。まっすぐで混じりけがなく。君はそんな気持ちをたくさん見てきたじゃないか」と諭し、資料の結婚式アルバムを渡す。それを見つめる美咲だった。
 はるかの出発の日がやって来た。タクシーに乗り込む恵美子とはるか。それを物陰から見送る拓や加奈子やトオルたち。だが走り出すタクシーの前に立ち塞がる人影があった。美咲である。拓を呼んだ美咲は言う。
 「私が間違ってたわ。本当に好きなら、いつかは結ばれる。『秘密の花園』はきっとあるわ」
 そう言って、美咲は、拓とはるかの仮の結婚式を挙げてやる。
 拓は、手を振り続けるはるかを乗せて走り去るタクシーを、いつまでも追い駆けるのだった。

<第8回> 「同級生」
 ウエディングプランニングの会社も熾烈な企業戦争の真っ只中。今日も「スウィートブライダル」の新しいライバルが登場し、トオル(ユースケ・サンタマリア)や加奈子(飯島直子)らは戦々恐々である。早速、ライバル社の偵察に出かけることにしたが、誰が行くかでもめてしまう。押し付け合いをする内、結局、トオルと加奈子がカップルで敵情視察に行くことになった。
 そんな夜、トオルの家では、母・敏子(銀粉蝶)が結婚相談所に行って、トオルの見合いを決めてきたと言う。トオルの写真はキリリと修整され、年収5000万円の会社社長というニセの身上だ。トオルは参ったが、相手の千恵理(高木りな)は超美人の社長令嬢でトオルの気持ちも揺れるのだった。
 ライバル社が提携する高級レストランで、トオルと加奈子は嘘っぱちの結婚式相談を開始した。ここでもトオルは一流商社の専務役。だが、相談員の友人もそこにいると言い出し、話は混乱する。加奈子も25歳モデルという触れ込みで話は大きくなり、二人は内金10万円を払い込まされる羽目に。
 そんなころ、柊平(妻夫木聡)は通りかかった大学病院に入るピアニストの麻生(矢島健一)を見かけ、あとをつける。ニューヨークから名声を捨て帰った理由が腑に落ちなかったのだ。麻生は、そこに入院している幼馴染の美江子(岡田奈々)の看病に帰って来ていた。麻生が言うには、美江子は骨髄移植のドナーを待つ急性白血病に罹っていた。
 日が替わって、柊平はくるみ(伊藤歩)を伴って、美江子の見舞いに出掛けた。美江子によると、麻生と小学校の同級生で、卒業式の時、美江子にプロポーズしたのだと言う。麻生が渡米して疎遠になったが、美江子が入院すると、突然帰って来て、看病してくれているらしい。美江子は離婚し一人身であった。その麻生は、美江子にドナーが見つかり、助かりそうだと教えてくれる。そんな話を聞いたスウィートブライダルのメンバーは美談に感動する。
 トオルと加奈子はライバル探訪を続けていた。カウンターでトオルの見合いのことを聞いていた加奈子は側のカップルの男性客を見て驚く。別れた・友之(原田龍ニ)だったのだ。気づいた友之が寄って来る。「婚約者ができた」と勘違いした加奈子は、見えも手伝って、トオルを「付き合っている人」と紹介する。友之はインターネットビジネスの小さな会社の社長に納まっており、女性は部下。部下の結婚プラニングの相談にきていたのだ。そこではあっさり別れたが、友之は、スウィートブライダルにすぐ電話してきた。加奈子に対し「さっきは動揺していた。食事でもしよう。拓(神木隆之介)の話も聞かせて欲しい」と言い出す。戸惑いつつも了解する加奈子だった。
 一方、美江子のドナーが見つかり、移植手術が10日後に行われることになった。高揚するくるみは「麻生さんと結婚しちゃえば」などと言い出す。「側にいてくれるだけで幸せよ」などと軽くいなす美江子だったが・・・・・・。
 トオルは響子(高橋ひとみ)のセラピーに出掛けた。響子に「見合いを勧められているが、気になっている人がいて・・・・・・」と相談を始めた。と、その時、「トオル!」と呼ばれる声が。なんと父・雄三(志賀廣太郎)である。興奮しトオルを問い詰める雄三。圧倒されて、トオルは見合いすることを承諾する。もちろん、雄三はお仕置き部屋に直行した。
 見合いの日がやって来た。敏子が付き添いだが、雄三も妹の亜紀(石橋けい)まで変装して隣の席に座っている。見合い相手の千恵理が派手な母親・睦美(鷲尾真知子)と現れた。見栄を張りあう敏子と睦美。トオルはたまらなくなって、「プロフィールはみんな嘘です」と白状してしまう。睦美は、千恵理の手を取って帰って行った。
 柊平とくるみが、美江子の見舞いに行くと騒ぎが起こっていた。美江子のドナーが土壇場で辞退したのだと言う。「あと半年待ったら彼女は死んでしまう」。絶叫する麻生だった。そして誰も美江子を慰めることは出来なかった。
 そんな頃、加奈子と友之は久しぶりの二人だけの食事を終わっていた。友之は拓に会わせてくれ、と言い出した。
 柊平たちは、夜再び美江子を訪ねた。麻生が悲しげに座っている。
 「俺たちがじたばたしたってしょうがない。寿命だ」と諦めきった表情の麻生。「逃げるんなら最初から帰ってくるな」と胸倉をつかんで言い募る柊平。麻生は意を決した。美江子に近づいて言った。「結婚しよう。俺は絶対に死なせない」。
 麻生と美江子の結婚式が行われた。会場は二人が通った小学校である。その様子を柊平は涙をこらえて写真に収めた。二人の幸せなその姿は翌週の雑誌のグラビアを飾った。「難病と闘う幼馴染とピアニストの結婚・・・・・・」
 なんと、その記事を読んで美江子のドナーが現れたのだ。喜びに絶句するスウィートブライダルの社員一同。もちろん美江子も麻生も・・・・・・。そんな中、受付にトオルを訪ねて千恵理が現れた。
 「よろしければ、私とお付き合いしてくださいませんか」
 絶句する一同。

<第9回> 「祝転職」
 トオル(ユースケ・サンタマリア)とお見合い相手・千恵理(高木りな)の仲は急速に接近した。千恵理の母・睦美(鷲尾真知子)は、結婚すれば三井家のホテルの婚礼部門に主任のポストを用意し、ゆくゆくは役員に、などと言う。「頑張ってね」と微笑む千恵理に、つい「はい」と、にやけて答えてしまうトオルである。もちろん、雄三(志賀廣太郎)、敏子(銀粉蝶)らトオルの家族は大喜びである。
 千恵理のプレゼントしてくれた派手なネクタイを締めてスウィートブライダルに出社したトオルは、スタッフから、この交際には「裏がある」「珍味に走った」などコケにされつつも、婚礼部門主任の話を持ち出した。
 「行きたいなら行け」と加奈子(飯島直子)は冷たいが、なな(木内晶子)などは「困ります」とかわいい。だが、何が「困るのか」皆で話したところ、結局、開かない引き出しを開けることくらいだと判り、また馬鹿にされる。柊平(妻夫木聡)が「大事なムードメーカー」とフォローするも、加奈子が「要はペット」と断じ、とどのつまりは馬鹿にされる。
 また、トオルと千恵理のデートの日が来た。が、突然、睦美に呼び出された。場所は三井家のホテルである。睦美は気も早み、婚礼担当のマネジャー安田(徳井優)を伴いトオルに紹介する。安田は歯の浮くようなヨイショ感覚抜群で「うちを背負って立つ相をお持ちだ」と持ち上げ、トオルもたじたじである。そこへ、克典、みゆきのカップルがやって来た。簡単な相談に答えてしまったトオルは、つい、「うちのホテルをよろしく」など、まるで三井家の人間気取りである。とは言え、家に戻って我に返ると、突然降って湧いた「超ラッキー」に不安になってしまうのだった。
 翌日、トオルは、出社してスタッフに「ここに残るつもりだ」と言おうとすると、相談コーナーに克典とみゆきがいる。安価でユニークなオリジナル婚を調べにきたのだ。ホテルで応対したことがばれ、トオルは加奈子や美咲(木村佳乃)に「置いて下さい。お願い」と懇願する羽目になる。
 そんな騒ぎの中、柊平が撮影してグラビアを飾った麻生(矢島健一)と美江子(岡田奈々)の写真について高級ブランドの「ロメオ」がコンタクトを取ってきた。あの写真を広告に使いたいのだという。柊平はあっさり断ってしまう。
 一方、加奈子の前夫で拓(神木隆之介)の父親・友之(原田龍二)は、加奈子に拓に会わせるよう求めてきた。加奈子は2時間だけの出会いを約束する。
 トオルはいつものように響子(高橋ひとみ)のクリニックに出かけた。「結婚話が進んでいるが踏み切れない。もう一人気になる女性が・・・・・・」と加奈子らしい女性像を示唆する。だが、響子は、自分の恋愛が取り込み中。混乱してトオルに襲いかかるのであった。
 くるみ(伊藤歩)は、柊平がロメオの申し出を断ったのが納得できない。柊平は「二人の結婚写真を撮ったのであって広告写真を撮ったわけではない。二人を裏切ることになる」ときっぱり言い放つ。
 拓と友之の「逢瀬」の日が来た。指定場所の公園に現れる3人。加奈子が拓を気遣うが、拓はうれしそう。とりあえず加奈子もホッとする。
 丁度、その公園ではトオルと千恵理がデートの真っ最中。口づけを交わそうというその矢先、3人が通りかかってしまう。加奈子と千恵理は、熱く静かな火花を飛ばす。やっとのことで3人を見送ったトオルに千恵理は自分がバツ一であることを告白する。「むしろ、好きだ」と言うトオルは喜びで一杯のようである。
 加奈子は純(阿部寛)とカップルを装って三井家のホテルに現れた。敵情視察である。が、偶然、千恵理に発見される。千恵理は、加奈子がトオルに気があることを見抜いている。「トオルさんを心配されていい人なんですね。でも、男の人は大きな仕事をするべきです。転職すべきです」とぴしゃりと加奈子を封じる。
 加奈子のトオルに対する気持ちを薄々感づいている純は、スウィートブライダルで自棄酒をあおる。相手をしている美咲が徐々に純に近づく。同情なのか、共感なのか・・・・・・二人は結ばれた!?
 ホテルを取るかスウィートブライダルを取るか迷うトオルに、加奈子は「いい話なんだから、行くなら行けば」と後押しする。トオルはその言に従い、ホテルへ見習い研修に出かける。トオルは余りにかけ離れた二つの婚礼の印象に驚きを隠せない。規模、衣装、システム、金額、どれをとってもホテルは桁違いである。しかし、心のこもらない、式の形骸化と儲け主義に唖然としたトオルは、スウィートブライダルの誠実なやり方とスタッフの心遣いを選択することに決めたのだった。「あいつらを裏切れない」
 千恵理は、理解したかのようにしかし、切なく言った。「失望したわ。あなたは好きな人がいることを隠している」。トオルは理解者・千恵理の背中を見送るのであった。
 スウィートブライダルに戻って来たトオルは、転進失敗と破談にも関わらず元気。克典とみゆきのカップルも、スウィートブライダルで式を挙げるといってやって来た。
 と、また、ロメオ社から柊平に連絡が入った。ミラノでスーパーカメラマンのパートナーをやらないか、と言うのである。さすがに揺れる柊平。
 さらに、加奈子にも友之から電話が入った。
 「ヨリを戻す気はないわ」と先手を打つ加奈子に対し、友之は言った。
 「実は再婚する。ついては拓を引き取らせてくれ」
 加奈子は絶句した。


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