あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「はつ恋」
 省吾(東根作寿英)と千鶴(内山理名)が打ち合わせに「スウィートブライダル」にやって来た。省吾は、指輪に二人が出会った日付を彫ることと写真撮影を柊平(妻夫木聡)にすることを頼む。が、千鶴の様子が不安定なのを皆は見逃さなかった。その中で、くるみ(伊藤歩)だけは、その理由を知っていた。千鶴と柊平が熱い仲なのを目撃していたのだ。トオル(ユースケ・サンタマリア)や加奈子(飯島直子)らから追及されるが、白を切り通す。
 それを知らないトオルが柊平にその仕事を頼む席に、くるみは同席した。トオルを無視して、テーブルの下で携帯メールを送りあう柊平とくるみ。くるみは、柊平をなじるが、柊平は意に介さず「君が省吾を奪え」とそそのかす。
 暗示に弱いくるみは、預かった二人の指輪のうち千鶴用の指輪をはめ、省吾の花嫁になった気分でうれし泣き。が、その指輪が抜けなくなってしまう。
 省吾、千鶴の仲が式までに壊れないようにケアしようと、くるみが千鶴とコンタクトを取る。だが、柊平の暗示にかかったまんまのくるみは、はずれない指輪を包帯で隠し、「ホントに省吾さんでいいの? カメラマンのような人がタイプでしょう?」と結婚崩壊を目指して煽りまくる。
 美咲(木村佳乃)は、そろそろつとむ(温水洋一)と別れる時期だと判断し、純(阿部寛)に婚約者役を頼んで、つとむに別れ話を切り出す。呆気ないほどあっさりと、別れを了解し去って行くつとむ。そのくせ美咲は、どこかわだかまりが口に苦く残るのを感じた。その晩、加奈子、美咲は、部屋にくるみを招いてワインを飲んだ。千鶴のことがあって荒れるくるみ。美咲もつとむのことがあって「結婚肯定論」の加奈子に当たる。
 翌日、千鶴の指輪がないことが発覚した。自分の指についていると白状するくるみ。くるみは、自分が省吾を好きになり、千鶴にも柊平がいると、皆に説明、一同パニックになる。
 そんなころ、千鶴は、「ちゃんと話がしたかった」と言って、柊平に会っていた。千鶴は自分が結婚することを確認したかったのだが、柊平は千鶴を自分のものにしたいという気持ちが膨らんでいた。それは、写真が思うように撮れないという、挫折感からの代替行動、逃避行動でもあった。千鶴を送って家に着いた時、柊平は「君が必要だ」と告白した。が、その時、省吾が現れた。柊平は千鶴の気持ちを無視し「今でも千鶴が好きだ。だから結婚はさせない」と省吾に言い放つのだった。
 千鶴は翌日、ス社に行き、加奈子に善後策を相談する。加奈子は「ちゃんと話しをして」とアドバイスするのが精一杯だった。そしてくるみを見つけ、糸を使って指輪をはずしてやる。「あなたにもぴったりの指輪をくれる人が現れるわ。だから最後まで二人の担当を続けるのよ」と諭すのだった。
 千鶴はアドバイスに従って省吾の会社を訪ねたが、省吾は「分かってるよ、忙しいから、式の教会で会おうね」とあっさりしたもの。千鶴は逆にそれが心配になる。ブーケ選びの時、つい、「何を考えているか分からない。どうして怒らないのか・・・・・・」と、純と美咲に愚痴る。純は「花を選んだ時に理屈がなかったように、好きだから結婚したい、それでいいじゃないか」と喝破する。千鶴はブーケを見つめた。が、同時に美咲もつとむのことを考え動揺した。
 トオルは柊平を呼び出した。トオルは、千鶴の話はせず、写真の話を切り出した。「俺の写真は、今、つまらない。撮りたいものがない」と告白する柊平。トオルは「好きなこと仕事に出来ていいなあ。撮りたいもの探せばいいじゃないか」としれっと諭すのだった。
 式の日が来た。くるみは省吾に言った。「千鶴さんにちゃんとプロポーズしてください。いい男って、肝心なときに女を不安にさせないものです」
 その時、千鶴の控え室には柊平が現れた。千鶴の手を連れ出そうとする柊平。だが、千鶴は手を払って言った。
 「あなたのこと嫌いじゃない。でも、私には省吾さんが一番大切なの」。
 そこへ、省吾も現れた。「千鶴はあなたには譲れない。千鶴、結婚してください」。皆、微笑んだが、柊平だけは去って行った。
 式が始まった。カメラマンはトオルである。と、後ろに柊平が立っている。トオルのカメラを取り上げて、柊平は千鶴と省吾の写真を撮り始めた。式が終わって、柊平は、「専属になってくれ」と言うトオルに切り出した。「専属は嫌だ。見習いにしてくれ。一からやり直したい」
 また、披露宴会場へ向かう省吾と千鶴を見つめる美咲は、純に「あの人と結婚する」と呟くのだった。

<第5回> 「女の嘘」
 美咲(木村佳乃)が自分の結婚式プロジェクトを立ち上げた。「スウィートブライダル」のオフィスにトオル(ユースケ・サンタマリア)、加奈子(飯島直子)らを召集して、好き勝手なイメージを膨らませ、圧倒的な迫力で皆に指示を与える。相手は、和菓子屋の主人・つとむ(温水洋一)である。静々と現れたつとむの、美咲と釣り合わない容姿を見て、スタッフはおののくのであった。
 そんな騒ぎの中、客の歯科医師・門松次郎(川崎麻世)が現れた。披露宴の会場が婚約者の由香里の名でキャンセルされていたと言うのである。門松は、犯人を、以前自分の医院にいた歯科衛生士の女性ではないか、と推測する。問題のある女で、1年前、結婚式の最中に男と逃げ出したという。トオルは、自分が経験したあの悲惨な事件を思い出してしまった。忘れられない名前・葉子(西田尚美)・・・・・・。
 「その女の名は、葉子、沢田葉子です」
 めまいでぐらつくトオルであった。
 トオル、加奈子、柊平(妻夫木聡)は、葉子に談判するため、葉子が働いている歯科医院に出向いた。トオルは、いささか葉子に未練がある風である。「ダイニングカフェ」に連れ出し、葉子の話を聞くと、あっさり、キャンセルの電話を認めた。「だって私から乗り換えちゃうんですもの。最悪。トオルなら分かってくれるでしょ」と悪びれた様子もない。柊平と加奈子が「逃げ出した時の男はどうしたの」と尋ねると「つまんない奴だから、すぐ別れた」。呆れ返る二人。トオルは何も言えない。
 トオルは、柊平、純(阿部寛)を交え、ヤケ酒をあおるはめに。「あんなヤツに負けたのか。俺の苦悩の1年を返せ」。荒れ狂うトオル。一方、加奈子は、葉子を問い詰められないトオルが不甲斐ないと苛立つのであった。
 翌日、「ダイニングカフェ」でトオルと加奈子が偶然同席した。「優柔不断な未練たらたら男」と罵る加奈子。「そんなことない」と言い張るトオル。二人はいつものように、じゃれ合うごとく喧嘩を始めるのだった。
 美咲が希望した高級レストランが、披露宴なぞお断り、と回答してきた。その担当を指名したくるみ(伊藤歩)を無能呼ばわりする美咲。くるみは怒って出て行くが、美咲の興奮は収まらない。そんな美咲に、純は「つとむさん、何か悩んでるぞ」と注意を促す。
 柊平は落ち込んでるくるみを誘い、件の高級レストランへ足を運ぶ。まず、料理を食べてオーナーを口説き落とすことにしたのだ。
 そんな晩、トオルが家に戻ると、なんと葉子が先回り、トオルの家族と食事をしている。
 「私、間違っていた。昨日会って分かった。私にはトオルが一番」といけしゃあしゃあと言い放つ葉子。家族は、「良かった良かった」と大喜び。何とも答えようのないトオルはその場の雰囲気に流されるままである。
 毒気に当てられたトオルは葉子と二人で公園に行くが、葉子は「あなたが好き」と抱きついてくる。その時、加奈子が拓(神木隆之介)を連れて通りすがる。加奈子と葉子は唐突に心理バトルを始め、青ざめるトオルだった。
 柊平、くるみは、毎晩件のレストランに通いつめ、破産寸前でとうとう、料理長の披露宴使用の許可を取り付けた。喜び勇んで社に戻る二人。衣装もブーケも教会もOK。素晴らしい結婚式が・・・・・・と思われた。が、美咲がすべてキャンセルしてくれと言い出した。つとむの家は宮内庁御用達。なんと神前結婚式でないとだめなのだ。つとむはそのことが言い出せずに悩んでいたのだ。がっくりと肩を落とし、皆に謝る美咲は寂しげである。
 トオルは葉子にちゃんと別れ話を始めた。「今度もうまくいかないよ・・・・・・」「そんなことどうして分かるのよ。私が好きって言ってるじゃない。意気地なし。あなたの事なんか好きでもなんでもない。暇だから相手しただけよ」。怒り狂って立ち去る葉子だった。
 門松と由香里の結婚式の日がやって来た。ライスシャワーの中歩く門松の背中に小さな米俵を何度も当てる者がいる。葉子だった。トオルは葉子を外へ連れ出し、石を与えた。「結婚なんて、縁やタイミングやいろんなものが重なるんだ。俺の相手が葉子じゃなかったし、葉子の相手があいつじゃなかったということだけなんだ。石でも投げろ」と諭すトオル。二人は壁に向かって石を投げつけ始めた。それを感心して見つめるスタッフたち。
 「いい男になったね、トオル」と葉子はすっきりした顔をして言う。そして加奈子を見て言った。「トオルをよろしくね」。一体どんな意味なのか・・・・・・。

<第6回> 「母の日」
 美咲(木村佳乃)はつとむ(温水洋一)との神前結婚式を間近に控え、舞い上がっている。そんな折、「スウィートブライダル」に石森和也(吉田晃太郎)と吉木真由子(大路恵美)のカップルが相談にやって来た。和也は代議士の次男坊。真由子も裕福そうで品のいい女性で似合いの婚約者同士である。相談が終わって真由子は加奈子(飯島直子)とトオル(ユースケ・サンタマリア)を呼び止めた。「中川静江」という女性を探して、結婚式に出席させてくれと言う。静江は、真由子の産みの母で、真由子が10歳の時、家を出たのだった。それっきり会っていない真由子は、ぜひ静江に晴れ姿を見てもらいたいと言うのだ。
 トオルと加奈子は、拓(神木隆之介)を連れて静江(いしだあゆみ)のもとへ向かった。車の中で加奈子親子はまるでピクニックへでも行こうかという楽しげな表情。トオルは加奈子に相手にされず、複雑な思いだ。
 目指す静江は、広がる畑の中で野良仕事の最中だった。二人が呼びかけて、真由子の結婚の話をするが、「真由子って誰?」と、受け答えがおかしい。どうも、記憶がなくなりボケが入っているようだ。絶句してしまうトオルと加奈子だった。
 二人は社に戻り、真由子にそのことを報告した。
 「私だけ、幸せになっちゃって・・・・・・」と顔を曇らせる真由子は、静江の出席を諦め、肩を落として帰っていった。
 が、その時、窓の外に不審な人影が・・・・・・。なんと静江だった。静江は、別れて15年もたつ娘に対面するのが気後れして、ボケた振りをしていたのだが、やはり実の親子、外からでも娘の姿を一目見に来たのだった。といっても、「偶然通りかかった」「いい男なんて裏がある」と憎まれ口を叩き続ける変な性格。スタッフ全員呆気に取られるのであった。
 そんな頃、拓は、バレエスタジオを外から覗いていた。三島はるか(塚本璃子)という4年生の女の子が気になってならないのだ。
 また、美咲はつとむと披露宴や新婚旅行について打ち合わせの真っ最中。舞い上がったまんまの美咲は、無理難題を提案し、つとむは戸惑いながらも、それを「ハイハイ」と引き受けていく。その様子を美咲から聞いた純(阿部寛)は、自分の加奈子への思いが伝わらないことに比べて、すね始める。と、美咲が「協力してあげる」と言い出した。
 美咲の「手引き」で、純は花束を抱え、加奈子と美咲が住むマンションを訪れた。が、そこにはすでに先客トオルが・・・・・・。拓のサッカー練習に付き合い、そのまま腰を落ち着かせていたのだ。美咲のアドバイスに従い、一生懸命加奈子の料理を褒める純だったが、加奈子はトオルと「仲良く喧嘩」している。思いの伝わらない純は悲しげである。
 トオルが出勤した時、異臭が鼻を突いた。糠漬けである。静江が持って来たのだ。「家で漬けたんだ。日本人なら米を食え」とうるさい。さらに「ドレスを縫うのを手伝わせろ。真由子には絶対言うな」と迫る。娘・真由子の晴れ姿を陰から支えたいのだ。が、客に説教したり、くるみ(伊藤歩)と柊平(妻夫木聡)の仲を取り持とうとするなど、なかなか剛毅な人物である。ただ、真由子と別れる前の思い出の写真を取り出し、柊平に複写が出来ないか尋ねる殊勝なところも垣間見せるのであった。
 拓はまたバレエスタジオを覗き見に行った。お目当てのはるかがいない。と、チュチュ姿のはるかが横に立っている。「私のことが好きなの?」とはるかは微笑む。拓は圧倒されるのだった。
 加奈子、美咲の部屋にくるみが来て、だべっているところへ、はるかから電話が入った。それまで「拓に彼女が出来るのは大歓迎」と言っていた加奈子は一変、気が気でない。
 拓とはるかのデートの日。街を歩く二人の後を、加奈子とトオルがつけている。「そこまでやんなくても・・・・・・」と言うトオルを無視し、「色気づいてる」「あばずれだ」と加奈子は手厳しい。公園のベンチに腰掛け、楽しそうに話す二人を見て、じりじりと居ても立ってもいられない様子である。正面のベンチに座っているカップルがいちゃつくのを見つけるや、加奈子はとうとう物陰から飛び出し、そのカップルを罵倒する。驚いた拓は、はるかの手を引いて逃げ出してしまった。もちろん、家に帰った拓は、加奈子と口もきかない。美咲のとりなしでようやく機嫌を直す拓だった。
 真由子が、「式の時、このネックレスを着けたい」と、真珠の首飾りを持って来た。静江が別れる時「お嫁に行く時着けて」と、くれたものだ。「お母さん、このネックレスも忘れたのかな」と寂しげな顔を見せる真由子にほだされた加奈子は、つい、「お母さんはボケてなんかいない」と白状してしまう。
 真由子は、スウィートブライダルで働く静江の前に現れた。「お母さん」。が、静江は「今更捨てた娘の顔なんか見たくない」と、心と裏腹に真由子を突き放す。真由子はショックでその場を飛び出してしまう。
 しかし、静江は真由子のウエディングドレスを完成させて言った。「夫の家は男の子を望んだ。でも私は子供の産めない体になった。真由子のことを考えて、裕福なあの家に置いていった方が幸せだと思った。体が引き裂かれる思いだった。立派に育ってくれて本当に良かった」と言い残し、スウィートブライダルを後にした。
 トオルたちは、静江の後を追った。「僕たちが無理にでも連れて行く」「来て、お願い」。明日に控えた結婚式への静江の出席を懇願するのだった。
 式の当日。陰で見守る静江。ネックレスは着けていない。真由子に近寄った加奈子は、「お母さんはあなたを捨てていない。このドレスはお母さんが縫ったのよ」とささやく。真由子は加奈子から渡されたネックレスを着け、スピーチに立った。
 「ここでもう一人お礼を述べたい方がいる。このネックレスをくれた人です・・・・・・。誰よりもこの姿をあなたに見て欲しかった」
 抱き合う二人。感動的な式が進んでいった。
 翌日は、美咲の結婚式。白無垢に包まれた美咲がいる。だが、つとむが現れない。何が起こったのか・・・・・・。


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