あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「秘密」
 行きつけのジュピターで友也(坂口憲二)、美冬(小雪)、聡美(田畑智子)、有里(小西真奈美)が集まっていると、スーツ姿の健太(山崎樹範)が七重(長谷川京子)を連れて現れた。健太は、皆に気づいて逃げようとしたが、友也につかまってしまった。遅れてやって来た恭一(伊藤英明)は健太のスーツ姿を見て、まだ仕事を偽っている事に気づく。何も知らない友也たちは、健太の家業の魚屋の事を口にするが、嘘をつかれていたことに気づいた七重は店を飛び出してしまった。
 ようやく借金を完済したタケシ(オダギリジョー)に憧れていたシステム開発会社からスカウト話が舞いこんだ。タケシのために3百万円の支度金まで用意してくれていた。タケシは回り道した3年を取り戻すつもりだった。借金の返済が完了した事を聞き、有里も喜んでくれた。タケシは出会い系サイトの仕事を辞めたいと願うが、逆に、健太に借金がある事を知らされる。サイトにハマった健太の借金がそこまでふくれあがっていたのだ。
 タケシは健太の借金3百万円の返済を迫られた。
 タケシのオフィスに友也がやって来た。「健太の彼女の居場所、調べられないかな?」。
 友也は健太が七重と連絡がとれなくなった事に責任を感じていた。もちろん友也は健太の借金を知らない。「彼女のことは忘れろと言ってやれよ」タケシは友也に向き直った。「オマエ、なんで他人のために走りまわっているわけ?自分自身が空っぽだから、他人のことばっか、首突っ込んでるんじゃねえのか?」。タケシのその言葉は友也の胸に深く突き刺さった。
 大型プロジェクトから外された恭一は上司から新しいクライアントを任された。すでに倒産間近の中小企業で、恭一にとって気の重い仕事となった。
 七重からの連絡が途絶えてしまった健太は家業に身が入らない。母親に八つアタリしているとタケシが現れた。「お前、世間知らずにもほどがあるぞ」。3百万円の借金という事実に健太は半泣きになった。「俺に任せろ。その代わりあの子のことは忘れろよ」。ぼう然となる健太に向かってタケシはクギを刺した。「お前は救いようのないバカだ。・・・言うなよ、誰にも」。
 タケシはさらにスカウトされた会社から思わぬ要求をつきつけられていた。出会い系サイト15万人程度のデータを渡せと言うのだ。「あの支度金はそのデータの値段のつもりでもあったんです」。タケシの能力や才能を評価されたのではなかったのだ。プライドを打ち砕かれたタケシは頭の中が真っ白になった――。

<第5回> 「キス」
 キャバクラで働く七重(長谷川京子)に偶然会った恭一(伊藤英明)は、健太(山崎樹範)の思いを伝えたが、七重は冷ややかだった。「もう一度連絡しても、お互いに傷つくだけです」。
 友也(坂口憲二)の部屋に予備校の生徒、松本アリス(上原美佐)が現れた。「今夜泊めてもらえませんか?」。仕方なく友也はアリスを泊めたが、翌朝になるとアリスは「今夜も泊めてください」と言い残すと、さっさと予備校に出かけてしまった。
 恭一はコンサルタントを依頼されたサカイ工業へ視察に出かけた。恭一は、販路拡大の再建案をまとめていた。ところが上司は、企画書を恭一に突き返した。「大事なのはわが社の利益だ」。だが、恭一はゆずらなかった。「やってみなければわかりません」。
 友也はアリスの一件を美冬(小雪)に打ち明けた。「表沙汰になったら問題よ」。アリスの家出は両親の浮気騒ぎが原因らしい。
 「気持ちは分かるけど・・・」。美冬はアリスと話をしようと試みたが、逆に言い返された。「先生って出来の悪い教科書みたい。正しいけど、つまらないことしか書いてない」。
 健太が実家で魚をさばいていると、妹が興奮して飛びこんできた。「すっごい美人のお姉さんだよ」。七重は、全て打ち明け、健太に詫びた。「こうして嘘がわかった後でも、私達、友達になれますか?」。健太は一瞬自分の耳を疑ったが、すぐにうれしさがこみ上げてきた。
 聡美(田畑智子)は連日の夜勤を頼まれて疲れきっていた。そんな折、姑にお茶を出そうとして熱湯をかけてしまったのだ。「バカヤロウ!」。夫の怒声に聡美は身をすくませた。
 タケシ(オダギリジョー)は求職活動を始めるが、どこも門前払い。大学中退、しかも3年間のブランクがある。そんなタケシを、有里(小西真奈美)は、励まし続けていた。
 恭一と美冬が実家のもんじゃ焼き屋で会っていると、七重が急に現れた。七重は2人に気がねしながら、健太に全てを打ち明けたことを告げた。恭一は、七重を追って店を出た。
 「今度電話してもいいですか?」七重に聞かれた恭一は、戸惑いながらも携帯番号を教えた。
 「家に帰れ。俺だって、いちおう男だぞ」。アリスはまた友也の部屋に泊まると言いだした。「私ね、誰も見つけられないほど小さくなりたい」。アリスが心の内を少しだけのぞかせた。友也はアリスを屋上に連れ出し、満天の夜空を指さした。「俺も小さくなりたいと思ったことがある。その時もこうやって夜空を見た。・・・・・・小さくなれたか?」。
 「会社、決まったよ。心配するな。普通の仕事だよ。」タケシは、不安そうな表情の有里には黙っていた。その仕事には、またあの男、松原(松重豊)がからんでいることを。
 美冬の恐れていた事が現実になってしまった。友也とアリスが同棲しているという匿名のFAXが予備校に届いたのだ。「最後にもう1時間だけ、授業やらせてください」。友也はそう言って、最後の教壇に立った――。

<第6回> 「裏切り」
 オフィスを出かけた恭一(伊藤英明)の携帯電話が鳴った。「え? 自殺未遂!」。七重(長谷川京子)が手首を切って自殺を図ったという。恭一が病院につくと、七重のカウンセラー佐知子(木野花)が待っていた。七重が自殺未遂直前に連絡したのが恭一だという。
 「今日のことは内密にお願いします」。恭一は、七重と会う約束をしていた健太(山崎樹範)に伝えるわけにいかなくなった。
 友也(坂口憲二)の部屋に聡美(田畑智子)が現れた。まもなく聡美の働く老人ホームで納涼会がおこなわれる。聡美の担当している柴崎(奥村公延)が大好きなお相手に自作のタイル画をプレゼントしたいらしい。ついては絵心のある友也に下絵を頼みたいという。
 「実は、まじめに絵をやってみようと考えていたんだ。頑張るよ。」友也は引き受けた。
 タケシ(オダギリジョー)は、松原(松重豊)から、秘書に引き合わされた。「私はお2人に会社を作ってもらいたい。社長はあなたです」。てっきり松原の下で働くものと思っていたタケシは驚いた。
 「nanaさん!」。七重から一方的にデートをすっぽかされた健太は落胆していたが、当の彼女からの電話に思わず声がはずんだ。「急にケガをして、まだ入院中なんです」。
 しかし、見舞いに駆けつけた健太に七重は言った。「ケガしたこと、狭山さんには言わないで」どうして恭一の名前が出てくるのか。健太の胸の中で恭一に対する小さな不信感が芽ばえた。
 その恭一は、佐知子から七重の心の病について説明を受けていた。最初の発作は高校生の時、バスの中。3カ月後には地下鉄でも起こった。めまいがして、手足が震える。乗り物に乗ることも他人に会うことも不安になった。そんな状態が18歳から25歳まで7年間、青春の一番輝かしい時間を苦しみだけで塗りつぶしてしまった。「七重さんから聞きました。色んな事を正直に話せそうな人に出会えたって。」それは、恭一の事だった。  美冬(小雪)の部屋に聡美と有里(小西真奈美)が集まった。そこで、聡美は打ち明けた。
 「納涼会の日を最後に介護士、辞めるんだ」。美冬も有里も聡美の気持ちが痛いほどわかった。
 だから聡美の出した結論を応援することにした。
 恭一が七重のお見舞いにやって来た。七重のことも逃げるわけにいかない。佐知子から聞いたことを七重本人にぶつけた。「・・・聞いたんですか、みんな。あの夜、私が何をしたかも知っていて、それなのに、どうして?」「俺たちはもう出会ったんだ」。恭一はその言葉に気持ちをこめた。「普通の人なら引きますよ。私だったら嫌です。私みないな・・・」。「自分の事そんな風に言うな。おれはここにいて、君がそこにいる。それだけだ――。」


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