あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「再会」
 1999年 夏。夕暮れせまる海岸近くの丘に笑い声が響いた。成和大学の天体観測 サークル“サジテリアス”の夏合宿。メンバーは、狭山恭一(伊藤英明)、川村友也(坂口憲二)、木崎タケシ(オダギリジョー)、沢村美冬(小雪)、宮部聡美(田畑智子)、井田有里(小西真奈美)、長谷川健太(山崎樹範)の7人。集まれば遊んでばかりだったが、大学最後の夏、初めて本当の「天体観測」するため、集合したのだった。
 7人は自分達を夜空の北斗七星になぞらえ、そして流れ星に将来の夢と変わらぬ友情を誓い合った。
 3年の歳月が流れて、2002年 夏。聡美の結婚式。しかし、新婦友人席に座ったのは美冬、有里、健太の3人だけ。結局、恭一、友也、タケシの席は空いたままだった。
 その頃、恭一は時間を気にしながら、大会議室でプレゼンをしていた。
 仕事が終わり、雑踏の中を走る恭一。バスを待っているのに乗ろうとしない不思議な女性、有坂七重(長谷川京子)のおかげで恭一はバスに間に合った。恭一は、お礼を言うが、七重は、依然とバス停に立ちつくしたままだった。
 「ごめん。式に出れなくて」。二次会に恭一が姿を現わした。有里は訳アリ風の電話で帰り、家業の魚屋を継ぎ朝の早い健太は酔いつぶれ寝てしまった。聡美は気をきかせて、恭一と美冬を2人きりにした。この2人、学生時代につきあっていたが、いつしか離れ離れになっていた。恭一は経営コンサルタント会社に就職し、大きな仕事を任されつつある。
 かたや美冬は小学校教諭を目指しているが、東京都の教員採用試験は今年で浪人3年。
 恭一はさりげなく聞いた。「友也から連絡ある?」「ううん。全然」。学生時代、友也も美冬が好きだったが、恭一と美冬の交際が順調に進んでいることを知り、身をひいたいきさつがあったからだ。
 友也は卒業後、海外を転々としている。聡美の結婚式の連絡も本人に届いたのか、分からない。社会人となった仲間たちはそれぞれの道を歩きだしていた。
 美冬は予備校講師のバイトをしているが、生徒たちの反応はほとんどない。
 家業の魚屋を継いだ健太は毎朝早く、父親と築地の魚市場へ出かけている。サークルでは唯一の星オタクだったのに、朝早い仕事のため、夜空を見れない毎日だ。
 有里は食品メーカーのOL。上司と不倫のウワサをたてられたりして、同僚の女子社員とはしっくりいってない。
 聡美は老人ホームで介護福祉士として勤務。新婚旅行は当分お預けだ。
 一番の出世頭は恭一かもしれない。しかし、企業のエゴと自分の理想のはざ間にあって、内心は複雑だった。
 恭一の母親、てる美(大谷直子)が切り盛りするお好み焼き屋には、健太が新鮮な魚介類を配達していた。「好きな女の子ができたでしょ?」てる美のするどいカンに健太が照れた。ただし、メール相手なのでまだ好きな人には直接会っていないという。恭一はなんとなくひっかかるものを感じた。
 健太はタケシから紹介された出会い系サイトで恋人を見つけたという。「いくら使った?」「30万円くらいかな」。黙って見過ごせない恭一はタケシのマンションに向かったが、表札は見知らぬ有限会社に変わっていた。実はタケシは、サクラを使った出会い系サイトを運営していたのだ。タケシは帰っていく恭一の後ろ姿を室内から見ていた――。
 「ごめん。これ、お祝い」。聡美の結婚を知った友也が、突然帰国し、聡美の働く老人ホームにやって来た。友也が差し出したのは祝儀袋と、メキシコで買った木彫り人形。
 友也によると、ご利益満点の幸せを呼ぶ木彫り人形らしい。「ほんと悪いと思ってんだ。
 めでたい席に7人揃わなかったなんて……」「友也、私、これから美冬と約束してるんだ」聡美が告げたその時、昼食の約束をしていた美冬が現われた。思わぬ再会に、驚く美冬とドキッとなる友也。それぞれの近況を伝えあった。「恭一とはうまくいってんだろ」「アウト。卒業して半年で。むこうは忙しくて…」。美冬の言葉に、友也は真顔でなにか考えこむ表情になった。しばらくして聞いた。「恭一のこと、まだ好きか?」「わからないの。本当に」。美冬はそう答えた。
 美冬と別れた友也は健太の実家を訪ねた。もちろん健太は大喜びだ。
 「聡ブーの結婚式の三次会、やらねえか」。結婚式では7人全員そろわなかったからだ。
 場所は学生時代のたまり場の店、ジュピター。
 タケシと有里の学生時代からの関係は今も続いていた。通い同棲のような微妙な関係で。
 「三次会、どうしても行かない気?」「興味がないんだよ」。
 「嘘、皆に聞かれるの嫌なんでしょ。今の自分のこと。」
 タケシは男と出かけてしまった。その男は仕事関係の人物らしいが、有里には男がタケシを利用しているとしか思えない。けれどタケシは有里の忠告に耳を貸そうとはしなかった。
 「それでは聡ブーの結婚を祝って。乾杯!」。懐かしいジュピターにタケシをのぞく6人が顔をそろえた。「来たくないんだろ、アイツは」。恭一が顔をしかめると、友也が言った。
 「仲間は仲間だろ。こんな時くらい会いたいじゃないか。」「そんなふうに決めつけんな」。
 緊迫した状態のなか、健太がその場の空気を変えようと店員に声をかけた時だった。  タケシがゆっくりした足取りで店内に入って来た──。

<第2回> 「青い絆」
 恭一(伊藤英明)の心配をよそに、健太(山崎樹範)がメール相手と初デートする為、ネクタイを借りに来た。タケシ(オダギリジョー)に紹介されたサイトとあって、恭一はサクラだと考えていたが、健太はあくまで信じている様子だった。
 出社した恭一が仕事に没頭していると、友也(坂口憲二)が面会に来た。「悪いが5分しか話せない」「・・・・・・ならまた今度にするよ」。お互い、美冬(小雪)の事は口に出せずじまいだった。「仕事中にすまなかった」。友也は素直に帰っていった。
 健太がデートの事に悩んでいると、聡美(田畑智子)が顔を出した。「たまにはくつろぎたいんだろ。ダンナにいいところを見せようとしすぎなんじゃねえの」。健太の家に居候している友也が指摘した。「エクアドルのおばちゃんが言ってたぞ。ありのままを見せられないうちは、愛とは呼ばない。」
 有里(小西真奈美)のマンションを訪ねた友也は、有里がタケシと今もつきあっていることを知った。久々に会った有里は顔にケガをしていた。「まさか、タケシ?」「違うわよ、本当に」。しかし、有里がトラブルを抱えているのは間違いない。「悩みがあれば相談してくれよ」「あの頃とは違うの」。有里の口調はどこかなげやりだった。
 有里を心配した友也から、2人の事を聞いた美冬と聡美は早速タケシに会った。「有里とどうなってるの?」「ただの同居人だよ」。とても恋人同士とは思えない様子に、美冬は思わず言った。「そんなの変だよ・・・タケシ何か怖がってる。ちゃんと誰かと向き合う事怖がってる。」「そうやってベタベタつるむのが友情か?そういう事、真顔で言えるおまえが怖いね。」はき捨てるように言ったタケシに、美冬も聡美もどうする事もできかった。
 健太のメール相手のnanaこと有坂七重(長谷川京子)は待ち合わせ場所に現れた。
 しかし、有頂天の健太を残して、七重は地下鉄の駅まで来ると突然逃げだしてしまった。「だめなの。ごめんなさい。」訳がわからず健太は雑踏の中でぼう然と立ちつくした。
 恭一は商談のため上司と向かったホテルのラウンジで、偶然にも有里を見かけた。
 一緒にいた中年男が有里を怒鳴りつけると手を振りあげた。恭一は、思わず、その男を制止しようと間に入っていた――。
 「ごめんね。変なことに巻き込んじゃって」。警察で有里は、恭一に謝った。有里が不倫関係を清算しようとして、その上司は逆上したという訳だった。有里の顔にケガをおわせていたのも彼の仕業だった。「身元引受人、参上!聡美も来れたら来るって」。美冬も、笑顔で警察に来てくれた。
 恭一は、仕事があると言って会社に戻り、美冬と有里が“ジュピター”に顔を出すと、健太が友也相手にヤケ酒をあおっていた。聡美も姿を現わした。美冬は、思いきってタケシとの事を有里に聞いてみた。「話してもいいけど、美冬には分からないと思う。私は昔の彼氏を引きずったり、簡単に結婚を決めたりとか、できないのよ」。有里は面と向かって、美冬と聡美を非難した。自分の結婚、結婚相手まで非難され、ショックを受けた聡美は店を出ていった。続いて有里も店を後にした。
 有里が部屋に帰るとテーブルの上に万札の束が・・・。置き手紙には、たった一言“宿代”の文字。タケシのやり口だ。「なんでも金かよ、バカヤロウ!」。有里はやり場のない怒りにかられた。ふと目を上げるとドアの外に友也と健太が立っていた。心配して来てくれたのだ。「来ないで!なんでほっといてくれないのよ。こんなところ、みんなにだけは見せたくなかった」。有里は2人を外に押し出すと泣きくずれた。
 友也は美冬の紹介で、予備校で英語の臨時講師をつとめることになった。「オレはこれからみんなに生きた英語を教えていきたい」。熱く語る友也とは対照的に生徒たちは無反応。生徒の一人、松本アリス(上原美佐)が冷やかに言った。「死んだ英語の方がいいです。私たち受験生ですから」。けれど友也はひるまなかった。「よーし、始めるぞ」。美冬は講師を始めた3年前の自分を見ているようで少しうれしくなった。
 有里は憂うつな気分で帰宅した。今朝出社するなり、異動を命じられたのだ。不倫相手の上司が無関係とは思えない。何もする気になれなくてベッドに横たわっていると、窓越しに花火が見えた。有里はベランダへ飛び出した。「有里!花火しようぜ」。友也、健太、美冬が手を振っていた──。

<第3回> 「告白」
 恭一(伊藤英明)は上司から突然市場調査にまわるよう命じられた。プレゼンで確かな手応えを感じていた恭一は納得いかない。外出しようとした上司につめよったが、「組織には組織の考え方がある。いやなら辞めろ」と突き放された。ロビーで立ちつくしていた恭一の耳に女性の声が聞こえた。「長谷川健太さんをお願いしたいんですが」。健太(山崎樹範)のメール相手、有坂七重(長谷川京子)だった。「今日は戻って来ないんだ」。
 恭一はとっさに事情を察した。どうやら健太は家業の魚屋を恥じて、恭一の会社名を七重に伝えたらしい。七重は健太とのデートで突然帰ってしまったことを詫びた。
 「仕事、偽るんじゃねぇよ」「マジ?会社に来たのかよ!」。七重の行動に落ち込んでいた健太は喜んだ。「もう一度会って、ちゃんと魚屋だって言え」「・・イヤ・・わかってるんだ」。しかし、打ち明ける勇気はまだ健太にわいてこなかった。
 「仕事を辞めてほしい」。夫の真剣な口調に聡美(田畑智子)は思わず身構えた。
 夫の気持ちには以前から気づいていた。しかし聡美は老人介護の仕事をあっさり捨てる気持ちにはなれなかった。「もっとパワーあると思ってたのに」ジュピターで友也(坂口憲二)が美冬(小雪)相手に予備校の生徒の無気力ぶりをボヤいていると、恭一がふらりと現れた。「そっか、今は同じ職場なんだもんな」。恭一はつぶやいた。美冬は予備校の講義数を増やすよう打診されていた。引き受ければ小学校教員の夢はさらに遠のく。「夢なんだろ。頑張れよ」。友也は励ましてくれたが、恭一の反応は違っていた。「今の美冬がそんな狭き門通れる訳ないよ。本気じゃないなら、辞めたほうがいい」。恭一の言葉に美冬はショックを受けた。
 「会社に来てくれたんだろ」。健太は七重と再会した。健太が本当は、魚屋であることを言いだしかねていると、突然、七重が胸を押さえてうずくまった。健太は救急車で病院に向かい、聡美に来てくれるよう電話で頼んだ。旦那と仕事についてちゃんと話し合おうと思っていた聡美だが、健太を心配して、駆けつけてくれた。しかし、回復した七重の反応は冷やかだった。「帰ってください――」。


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