あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「彼女が寝てる間に」
 アカデミー賞受賞会場。そのきらびやかで晴れやかな場所で、女優・桐島ヒカル子(藤原紀香)は、一際鮮やかに輝きを放ち壇上へと上がった。「本年度、主演女優賞受賞、桐島ヒカル子」の声に応えて。
 そして、プレゼンテーターとして彼女を待ち受けていた受賞作の共演者土方翔(伊原剛志)は、撮影でサポートしてくれたことに対して礼を言うと、「お祝いのキス、してもいいかな」といきなりヒカル子に口づけしたのだ!!“恋愛の戦士”“恋愛のリセットマシン”と異名を取るヒカル子が瞬間にして恋に落ち、婚約者・駒田志郎(小木茂光)をあっさり捨て去るのにさほど時間はかからなかった。
 以後、スキャンダルを者ともしない二人の交際は公然の秘密となり、ヒカル子の所属事務所『オフィス・クラウディア』の女社長・翠(戸田恵子)は、マネージャーの三枝(宇梶剛士)とヒカル子のスケジュール調整に四苦八苦させられるのだった。土方と一時でも一緒にいたいと「海外ロケなし、ロケ地は日帰り限定」とヒカル子が要望してきたためだった。
 「いつものサイクルだと三か月・・・?今度は本気っぽいから半年・・・?」。
 「長く見積もって、十二か月でリセットでしょう」翠と三枝は、溜め息まじりでヒカル子の恋が冷める月日を算段した。
 
 「こんな貧乏人と結婚したって、一生苦労するだけだ」。
 「ド田舎にだって、もうちょっとマシな男いるだろ?」。
 上京して、恋人の勤める会社『サンマルコハム』を見たいと連れられてきた美奈(佐藤仁美)は、口々にそう説得された。
 恋人である中田草介(草なぎ剛)は、真面目でいい人で、今時珍しいほどの実直な男。しかし、会社ではそれをいいことに上司の小金井(勝村政信)同僚の次屋(筧利夫)、牛山(古田新太)などはいつも草介に仕事を押しつけ、理不尽なことを言ったりしていたのだ。
 あの時の初対面の美奈に対するやっかみ半分!?のもの言いもそうだったし、そう、こ
の日もそうだった。
 映画の撮影が近所であると知り、全員仕事そっちのけ、草介一人だけを留守番に残して事務所を出ていってしまった。
 「あの大スター桐島ヒカル子がくるんだよ!」といさんで・・・「あ、それから本社の島田さんが帳簿取りにきますからお願いしますっ」と言い残し・・・。それから草介は電話の応対にFAX確認に追われまくっていた、と、そこに誰かが事務所に入ってくる気配がした。本社の島田さんと思った・・・
 しかし、電話応対も一段落した草介がその人のもとに行くと、そこには何と、桐島ヒカル子が眠っている!「なぜ?」唖然としながらも草介は、その肩にジャケットを掛け、コールが鳴らないようすべての回線を引き抜きヒカル子に安らかなひとときを作ってやった。
 ・・・そんな夢のような出来事の直後、草介は目覚めたヒカル子がそのままジャケットを持っていってしまったことを思い出した。ジャケットのポケットには美奈へのプレゼントが入ったままなのだ。
 ヒカル子の事務所に電話をいれ、ヒカル子の行く先々に現れジャケットを取りもどそうとする草介。そして、そんな草介に思いもしないヒカル子との遭遇の機会が与えられることになった。草介の元に近く行われるヒカル子のバースデーパーティーへの招待状が届いたのだ。
 だが・・・「やっとプレゼントを取り戻すことができる!」草介が意気揚々とパーティー会場へと向かおうとしたところに美奈から別れを告げる電話が入る・・・。また一方では、その日の主役ヒカル子もある出来事のため傷心の中にあった。

<第2回> 「夢のようなデート」
 「その男性は中田草介さんです。私たち真剣なお付き合いをしています」。
 ヒカル子(藤原紀香)が突然言った交際宣言で、草介の周辺は大変な騒動になってしまった。通勤の駅で、車内で、いたる所で草介は新聞に載ったヒカル子と草介のキスしている写真を見比べる人たちの好奇の目にさらされることになったのだ。だが『サンマルコハム』の人々は、草介をなるべく普通に迎えようと決めていた。それは・・・こんなことが本当に起こるはずがないという半信半疑の思いの現れでもあり、超ヒカル子ファンの小金井(勝村政信)の嫉妬心の現れでもあった。
 しかし・・・結局その日、次屋(筧利夫)や牛山(古田新太)らは一日中、テレビ、新聞、週刊誌などの取材電話に追われることになってしまった。
 その頃、ヒカル子はロケ先で麗子(安西ひろこ)から土方(伊原剛志)のことを打ち明けられていた。しかし、それに平然と「気にすることはないわ、捨てたモノなんだから」と言ってのけるヒカル子。だが翠(戸田恵子)だけは、麗子とのやり取りや、取り乱す土方の様子を見てほほ笑むヒカル子の様子を見ていて、今回の一件は土方を振り向かせたいためにヒカル子が仕組んだことと見抜くのだった。
 その日の夕方、外回りから会社に戻った草介は、皆から「お前のせいで一日大変だった」とさんざん責められた。しかし草介自身、ヒカル子の発言はパーティーのでの余興だったと思っていたのだが・・・その夜、そんな思いを吹き飛ばす出来事が起こった。なんと、草介のアパートにヒカル子がやってきて、唖然とする草介に「明日の夜7時に・・・」とデートの約束をして去っていったのだった。
 翌日、小金井、次屋らが、またも信じられないことが起こった! と半狂乱する中、草介は指定されたレストランへと向かった。そして草介は、その店で偶然にも映画監督・金田中(森本レオ)と再会。あのパーティーで草介と意気投合していた金田中は、ヒカル子も誘い、どこか別の店でじっくり飲もうと提案してきたのだ。
 そこで草介は、いつも行く飲み屋にヒカル子らと金田中を連れていき、丁度飲んでいた『サンマルコハム』の人達も交え、楽しいひとときを過ごしたのだった。その後、草介とヒカル子は二人きりになり、缶ビール片手に土手に座りおしゃべりを始めた。ヒカル子は、この素朴なひとときが『最高の贅沢』と思えた。そして、草介に思わず尋ねていた。
 「男の人ってどういう時に結婚したいと思うの?」。草介は、「僕は・・・気が付いたら美奈ちゃんのこと好きになってて、好きだから結婚したくなって、プロポーズしたときは体中が心臓になった見たいで・・・ドックンドックンって・・・」と自らの体験を思い出し、正直に答えたのだった。
 ・・・だがその翌日、ヒカル子は土方からエンゲージリングを贈られたのだ。ヒカル子の思惑は成功! 結婚は秒読みに入ったと誰もが思ったのだが・・・。

<第3回> 「ホテルで二人きり」
 「すみません、好きな人を振り向かせたかったので、あなたを利用していたんです」。ヒカル子(藤原紀香)から、交際宣言の真相を告白されて草介(草なぎ剛)の夢は瞬間にして醒めてしまった。
 だが、『サンマルコハム』のヒカル子信者、小金井(勝村政信)や次屋(筧利夫)、牛山(古田新太)らは、そんなことだろうと思ったと一様に安堵の表情を見せ、傷心の草介をねぎらうのだった。
 だが、ヒカル子の事務所の社長・翠(戸田恵子)と三枝(宇梶剛士)は、穏やかではなかった。いくら恋多き女で通ってるとはいえ、一週間そこそこでの破局はまずい、しかも相手は一般であることを思えば、ヒカル子のイメージダウンは必至・・・・・・と考えたのだ。そこで二人は、『サンマルコハム』に草介を訪ねると、いましばらく交際は本当のことだと芝居をしてほしいと頼むのだった。嘘をつくのは上手くない・・・・・・だけど草介は翠の頼みを了解したのだった。
 ヒカル子は、主演映画の舞台挨拶にのぞもうとしていた直前、そのことを聞かされた。「こんなフェイク、何度もやってきたじゃない」。翠の行動をヒカル子は納得した。だが三枝は、「あの人は?」と、この時ヒカル子が何気なく言った一言が気に掛かった。これまでヒカル子が、捨てた相手のことをそんな言葉で気にしたことはなかったのだ。
 それからも草介は、マスコミやファンたちに追いかけ回される日々を送ることになった。だが、草介の存在を疑うパパラッチも現れ、相変わらずヒカル子の周りは賑やかで騒々しかった。
 しかし、そんな中で一番賑わい、盛り上がって欲しい肝心のところは沈黙するという由々しき現象が起こってしまった。つい先日封切りされた主演映画『ラブシュープリーム』が記録的!? 大コケをしてしまっていたのだ。この事実を何とかヒカル子の耳にいれまいと友子(唐木恵子)や付き人の妙子(北川弘美)も必死で取り繕っていた。だが、そんな努力も麗子(安西ひろこ)の、「映画の大コケしたぐらいでへこんでいられないですよねっ!」の一言で台無しになってしまったのだ。
 数日後、ヒカル子は誰にも内緒で一人映画館へと足を運んで見た。そして、そこで麗子が言っていた大コケの実態を目の当たりにしたのだ。
 だが、その映画館には偶然にも草介も来ていた。「面白かったですか?」「・・・あ、ハイ・・・」。だがすぐにファンに発見された二人は、感想を交わし合うことも十分にできないままその場から逃げ出すことになってしまった。 二人、一緒に。ボーリング場からお好み焼き屋・・・・・・そして、ついにはホテルへと・・・・・・。


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