あらすじ
<第10回> <第11回> <第12回>

<第10回> 『ダメOLが辞める時』
 満帆商事にも「能力主義」の波が押し寄せてきた。人事部の寺崎部長(高橋克実)と野々村課長(伊藤俊人)が社員の能力適性試験を始めたのだ。もちろん、試験結果によって「不適格者」というレッテルを貼って体のいいリストラを敢行しようというハラである。
 千夏(江角マキコ)をはじめとするショムニメンバーはもちろん、右京(石黒賢)、美園(戸田菜穂)らも、神妙にあるいは大胆に面接試験を受けていく。その中で佐和子(京野ことみ)だけは、おどおどと受け答えしている。「この会社で、何をしたいのか」という質問にも、「何だろう、分かりません ・・・」と情けない答しかできないのだった。
 そんな折、ショムニの仕事は、会社が保有する熱川保養所の夏休み利用の予約を受け付け、抽選会を開くことだった。会社の厚生施設としては、アジア最大豪華ホテル規模という触れ込みである。それが、1500円で利用できるとあって、毎年人気沸騰し、予約会は大騒動となって、ショムニ仕切りで抽選会が開かれるのだ。
 また、余興の「そうめん流し」の準備にも余念がない。竹を切り、梅(宝生舞)がコンピューターで流体力学を計算し着々と完成させていく。だが、仕切り上手のあずさ(戸田恵子)は熱川の現地に飛んで、いない。雑用は、佐和子の肩にかかってくる。だが、あずさがいないためか、何かとドジ、粗相、失敗ばかりが続き、ぐっと落ち込む佐和子だった。
 そんなころ、社長室では、接待のために熱川の保養所を、希望がピークのお盆時期に一週間とるようにと、人事部の寺崎、野々村の二人に命令が下っていた。二人は、適性検査によるリストラで浮かした人件費をそれに当て、さらに、ショムニの持つ抽選執行権を人事部のものにして、専横しようと狙ったのだ。
 一方、佐和子の落ち込みは続いた。同期入社の仲間からは、お荷物、邪魔物、いらん子扱いの言葉が投げつけられ、更に寺崎たちが持ってきた「不適格」の認定にガックリとどん底に落ち込んでしまったのだ。もちろん、ショムニ全員不適格なのだが、それぞれ、「一芸」が認められた。佐和子だけ「ポイント無し。典型的な不適格者」と判を押されたのだった。まさに、「お荷物」となったのだ。美園だって「不適格」だったのに……。もちろん、右京は100点。
 その折も折、海外事業部に居合わせた佐和子は、右京あての電話を取り、大事な打ち合わせ日程の時間を聞き間違えてしまった。その情報は、人事部にも届き、寺崎たちの「ショムニ潰し」の格好のネタを与える結果となってしまった。さらに落ち込む佐和子。
 とうとう、佐和子は辞める決意をした。だが、千夏は言った。
「他人の物差しに振り回されてるんじゃないよ!自分の価値は自分で決めな」
 佐和子は、意を決して、交渉相手の会社社長室に飛び込んだ……。

<第11回> 『休日出勤は命がけ!?』
 お中元の季節になってショムニは大忙し。会社宛てに届くお中元の管理はショムニの仕事なのだ。そんな折、ショムニいちの“切れ者”梅(宝生舞)が、海外社員派遣制度の最終試験に臨むことになった。残る受験者は3人で、合格すればエリートコースが待っている。だが、梅はショムニメンバーには、黙っての受験だった。壁に張りされた最終試験告知を見て、佐和子(京野ことみ)は感心したが、千夏(江角マキコ)は、その狭い了見に憮然とする。
 人事部に呼び出された井上ショムニ課長(森本レオ)は、毎年発生する「お中元泥棒」の防止策を練るように指示された。次の日は日曜日。妻子にまたまた逃げられ、ちょうど一人身の井上課長が「私が日曜出勤すればいい」と課員に提案すると、ショムニメンバーは「暇なら私たちも来よう」と明るく答えるのだったが、梅だけは、相変わらず、そんな輪に加わろうとしない。その日は最終試験の面接の当日だったのだ。
 その日曜日。梅を除く課員は、いつものように和気あいあいと「お中元の見張り」にいそしんでいた。プリンを買いに行くのに、ロシアン・ルーレットを楽しむくらいである。ちなみに「当たり」は言い出しっぺのあずさ(戸田恵子)であった。佐和子は梅の心配をするが、千夏は「ほっときな、羨ましいくせに、溶け込まない奴なんか」とつれなく言い放つ。
 だが、最終選考のある梅は、なぜか会社に来ていた。ショムニのドアの前に立ち、ちょうど、千夏の言葉を聞いた梅は、そのままきびすを返し、ロビーへ向かった。そこで、不思議な少女(山口このみ)に出会う。無断で社内に侵入し、警備員の神谷(沢村一樹)が追いかけ、捕まえたところだった。梅が話を聞くと、名前は「桜」。が、その他の質問には答えず、生意気で我が強くすねてひがんで、どうも、梅にそっくりの性格のようである。梅は、神谷に桜を見張ると言い、桜の後を付けることにした。
 ショムニのメンバーはジュースを飲み飲み、見張りである。そこへ、何と社長(久保 晶)が登場。佳奈(櫻井淳子)がデートに誘ったのである。また、すぐに美園(戸田菜穂)を筆頭とする秘書課の面々がやって来た。社長夫人の意向で、お中元の松坂牛を取りに来たと言う。ショムニメンバーは「ドロボウ」と認定し、ショムニルームで正座させて様子を見ることにした。社長は井上課長と将棋差しである。
 そこにまた男が入ってきた。右京(石黒賢)であった。仕事の書類を捜しに来たのだと言う。その時、千夏は、梅の受験票が置き忘れているのに気づいた。
 事実、右京の海外事業部は、三田村(相島一之)をはじめ、課員みんな出勤であった。そこへ、先ほどの桜が現れた。桜は、かわい気なく三田村をあしらい、外に飛び出す。「誰だ」と問い詰められた梅は、三田村に「私の友達です」と答えるのだった。その言葉を、桜はドアの外で聞いていた。
 後を追った梅は桜の持ってきた絵を見た。そこには「お父さん頑張って」と書いてある。「お父さんに会いに来たんだ」と尋ねても桜は答えなかった。
 そこへ、人事部の二人組、寺崎(高橋克実)と野々村(伊藤俊人)が、常務・専務と共にやって来る。ゴルフ帰りである。二人は梅と桜を見つけ、怒鳴り散らす。怖がって帰ろうとする桜に、梅は一緒にいようと促すのだった。
 その足で寺崎たちは、庶務二課へ向かった。ビールや酒などを飲もうという魂胆だった。「君らがやっとったのかね」と役員。「ええ、もう10年来。どうせショムニの責任ですから」と平然と言い放つ寺崎と野々村。それを聞いていたショムニたちは呆れて声も出ない。もちろん、社長、美園、右京さらにショムニ全員が登場である。
 その時、大地震が……。
 そこにいた全員が地下のショムニ課に閉じ込められてしまった。内線で助けに呼んだ三田村たちも、入って来るなり、再び閉じ込められる。神谷がやって来るが、余震でまたまた、閉じ込められる始末。あとは、上階にいるはずの梅が頼りである。
 だが、そこに再び地震が……。

<第12回> 『サヨナラ仲間達!?』
 満帆商事が倒産した。社長室では、冷たい目をした黒川(風間トオル)が社長たちを前にニヒルな笑いを浮かべていた。「騙したな」と言い捨て、すごすごと社を去る社長たち。それを唖然と見送る美園(戸田菜穂)ら秘書たち。資料を持ち出され、無念そうな右京(石黒賢)たち。猫を抱きしめ、捨てられていく備品を眺める井上ショム二課長(森本レオ)・・・。
 千夏(江角マキコ)たちショムニメンバーは、ボーナスどころか給料も出ないことに、玄関前で呆然としていた。リエ(高橋由美子)が、「黒川光は、キングスタービジネス社社長で、満帆は乗っ取られた」と説明する。その名に、ぼんやりと記憶のある千夏だった。ちょうど、そこへ、黒川がやってきた。黒川は、千夏を見つめる。だが、千夏は気づかない。
 その3ヶ月後。千夏は、クラブホステスをしながら競馬場通いの日々。ある日クラブへ、黒川がやって来た。なんと梅(宝生舞)も一緒である。梅はアラビア語通訳として活躍。黒川が千夏を探しているので、連れてきたと言う。黒川は、千夏の幼なじみで、当時は千夏の子分。社員に迎えたい、と提案してきたのだった。千夏は子分の下で働けるか、と断るが、その実、偉くなった「子分」を見て晴れがましくもあった。
 金のない千夏は、交通整理員をしている佐和子(京野ことみ)の部屋へ転がり込んでいた。そんな折、タクシー運転手をやっているあずさ(戸田恵子)から、千夏に「満帆は黒川に潰されたらしい」という情報が入る。さらに佳奈(櫻井淳子)が「黒川光自伝」発売延期の噂を仕入れてきた。その本の編集長は「黒川は、満帆に枯れた油田を売りつけ倒産に追い込んだらしい」と明かす。
 千夏は、黒川に面会した。「騙したのね」と問い詰める千夏。しかし、黒川は「俺のこと知っているだろう。正直者で小心者の俺が騙せるわけがない。それより、社に来いよ」と言いつつ、「けんかをしても今なら勝つ」と不敵に言い放つのだった。
 路上占いをしているリエの前で、ショムニメンバーが集まっていると、リエが「十年に一度の万馬券が出る」と突然ひらめく。そこを飛び出す千夏。しかし、その予想はG1レース「ミレニアムカップ」の話。案の定千夏は大負けし、ふてくされていたら、目の前にじゃまな浮浪者がいる。それは、満帆商事社長(久保晶)の、その後の姿だった。社長の段ボール製自宅に招かれると、そこには常務も専務もいた。千夏は、キングスター社に騙されて倒産したこと、満帆の金庫には社員旅行積立金2000万円がまだ残っていることを3人から聞かされる。ショムニメンバーは、黒川に意趣返しをすることを決心するが・・・。


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