<第4回> <第5回> <第6回>


<第4回>
 自分の胸のことを神宮寺(中井貴一)に打ち明けた美咲(稲森いずみ)。だが神宮寺の反応は「私には関係ない」というものだった。予想していた反応だったとは言え、美咲はショックを隠せない。
 それから一週間後、胸のことを打ち明けた夜の神宮寺と美咲の2ショットが「号外」という形で大学中に出回るという出来事が勃発。黒板には、2人の熱愛発覚という文字が…。無言でその落書きを消す美咲。そして同じく、さして動揺も見せず、「くだらない」と一蹴して講議を始める神宮寺。
 講議終了後、安東(川岡大次郎)が美咲に合コンをしないかと声をかけた。バイトがあるからと素っ気なく断る美咲。
 かたや神宮寺には慎太郎(つんく)が、美咲をどう思うかと詰め寄っていた。プライベートで他人と関わるつもりはないと答える神宮寺。そこに真子(大竹しのぶ)から声がかかった。本田学部長(鶴田忍)が神宮寺を呼んでいるという。
 本田の用件は、学内で噂になっている美咲とのことだった。土岡副部長(山田明郷)と共に神宮寺を追及する本田。だが神宮寺はそんな追及も一蹴。心証を悪くした本田は土岡と共に、美咲に事の真相を確かめようと企むのだった。
 その晩、美咲のバイトする中華料理店・東洋軒に安東が友達と共に訪れ、乳癌と闘う患者達のためにボランティアで講演をしてくれないかと頼んでいた。安東の申し出に心が揺れる美咲。
 数日後、美咲は本田に呼び出され、噂の真相について問いただされることに。強く否定する美咲。そんな美咲に本田は、大勢の人間の誤解を解くためには自分も美咲のことをもっと知る必要があると言い寄り、美咲の肩に手を回した。逃げる美咲…。
 同じ頃、神宮寺も呼び出され、本田の部屋に向かっていたのだった。美咲の悲鳴を聞きつけ、部屋に飛び込み、やめろと怒鳴って美咲を本田から引き離す神宮寺。
すると本田は言った。「やはり噂なんかじゃなかったようだな。君のその顔色の変わりようを見ると」すべては、神宮寺の存在を疎ましく思う本田による仕組まれた罠だった。  神宮寺の生い立ちをなじりながら、美咲とは似た者同士だと言い、さらに「このテの女は胸を触られるぐらいなんてことないんだよ」と、美咲の胸に手を伸ばそうとした本田。次の瞬間、神宮寺は本田の頬を拳で殴った…! 本田に駆け寄る土岡。美咲を促し、その場を立ち去る神宮寺。するとドアの閉まる音と共に、頬を押さえた本田は不敵に微笑んだ。「二幕目が楽しみだ。いい舞台になりそうだ」
 まだまだ罠にハメられそうな神宮寺と美咲…。

<第5回>
 教授達の前で自分の乳房のことを激白した美咲(稲森いずみ)により窮地を救われた神宮寺(中井貴一)だったが、神宮寺は美咲が好奇の目に晒されるのを恐れ、美咲に会議室から退室するよう命じる。これ以上神宮寺にかかわっては迷惑をかけるばかりだと落ち込む美咲…。
 数日後、噂は噂として済んだものの、同級生達は美咲を真剣に大学生をやりたいとは見えないとし、「噂になったのは自業自得だ」と罵る。思わずうつむく美咲は、講議終了後に声をかけてきた安東(川岡大次郎)に、先日の講演の件を正式に断ってしまう。自分自身も自分の生き方に自信がなくなったのだと…。
 同じ頃、姉の気持ちを知る弟・丈二(吉沢悠)は蘭蘭(ビビアン・スー)と共謀して、美咲と神宮寺をくっつけようと画策していた。
 そしてある日。美咲のバイトする中華料理店で出前をとり、神宮寺のマンションを訪ねて仮病を使って倒れた蘭蘭。そこにおかもちを持った美咲が現れた。一瞬驚く美咲だったが、意外にも美咲はあっさりとマンションを去ってしまうのだった。
 と、蘭蘭が再び痛みの声を上げた。今度は正真正銘の腹痛だった。そこに器をとりに来た美咲が偶然居合わせ、神宮寺と二人、蘭蘭を看病することに。うわ言を言う蘭蘭を介抱しながら、単身日本に来て仕事を頑張り、仕送りもしている蘭蘭を偉いとほめる美咲。君も蘭蘭と同じじゃないのかとの神宮寺の質問に、そんな美咲は自信を持って答える言葉を見つけられないまま、神宮寺のマンションを後にする。
 すっかり元気をなくした美咲。そんな美咲を、いろんな場所に連れまわし、なんとか元気づけようとするけなげな慎太郎(つんく)。
 ある日、慎太郎は、日曜日の大学に行ってみたらどうかと美咲に提案した。
「同じモノでもたまには違う方向から見るのもいいじゃん」
「いつもは見えないもん、みつかるかもしれないぜ」
 もし何もみつからなかったらと聞き返す美咲に慎太郎は答える。
「その時はもしかしたらいさぎよくやめた方がいいかもしれないな…惰性でやってたって意味ないから」
 慎太郎の言葉に突き動かされ、日曜日のキャンパスをひとりぼんやりと歩く美咲。誰もいないキャンパスで、蜃気楼のように闊歩する学生達の向こうから歩いてくる神宮寺の姿を幻影のように見つめる美咲。
「みつからなかったら、いさぎよくやめた方がいい…」
 慎太郎の言葉を反すうする美咲。
 …が、しかし。誰もいないキャンパスの芝生に腰をおろしていた美咲の視界に、蜃気楼のような光景の向こうから歩いてくる神宮寺の姿が入った。驚く美咲。そして神宮寺。咄嗟に立ち上がる美咲。
 失礼しますとだけ言って逃げるように立ち去る美咲。
「なんで…なんでいるのよ…」!

<第6回>
 美咲(稲森いずみ)の言葉につられ、窓から飛び下りた神宮寺(中井貴一)は、「君に伸びる手は必ずある」と美咲に言う。神宮寺の歪んだ愛情表現に戸惑い、その場を走り去る美咲。
 その晩、やけになった美咲は慎太郎(つんく)や丈二(吉沢悠)、蘭蘭(ビビアン・スー)らとカラオケへ。そこで美咲は、大学はもう辞めようと思うと告白。そんな美咲が心配でたまらない慎太郎や丈二。
 同じ頃、とあるバーで真子(大竹しのぶ)と飲んでいた神宮寺は、真子にひとつ、質問をした。「君はなんで私だったんだ? 17年前のあの時」。 その問いに、「後腐れなさそうで一晩限りの関係には理想的だと思った」と答える真子。
 それからというもの、2週連続で神宮寺の講議から姿を消した美咲。美咲は美咲で、勉強より労働だと自分に言い聞かせ、アルバイト情報誌をめくっていたが、その様子にはまるで元気がない…。
 そんなある日、美咲のバイトする中華料理店「東洋軒」に川田(新納敏正)と名乗る男が尋ねてきた。写真週刊誌の記者だという川田は、乳癌で乳房を失った元モデルである美咲を取材しにやってきたのだ。そこに居合わせた安東(川岡大次郎)や店主の白倉(遠山俊也)に追い返されながらも「あきらめませんよ」と言い残してその場を去る川田…。  一方、神宮寺のマンションには、丈二と蘭蘭が訪れ、またも美咲と神宮寺をくっつけようと画策していた。が、あっという間に二人の魂胆は神宮寺にバレてしまう。しかし丈二は尚も神宮寺に食い下がる。いつも笑っていた姉がボロボロになって幸せを全部諦めようとする姿は見ていられない、だから美咲を助けてやってくれと。そして去り際、「手術の傷跡より、心の傷跡の方が重症なんだ…」とも。
 丈二達が帰った後、ソファで物思いに耽る神宮寺。そこには蘭蘭が置いていった美咲の住所と電話番号を記したメモが残されていた。振り返れば、外には雨粒が。やがてどんどん雨足は強くなるばかり。
 たまらず、美咲に電話をする神宮寺…が、電話は話し中。するとついに神宮寺は矢もたてもたまらず、家を飛び出した。
 しかしその頃、雨の中、傘も差さずにアパートに戻ってきた美咲は、家の前で待ち伏せていた川田と遭遇。追い返す美咲だったが、川田は一歩も引かず、美咲にひどい言葉を投げ付ける。あまりの言葉にいたたまれず、雨の中、踵を返し走り出す美咲。
 と、そこに住所を書いたメモを片手にした神宮寺が。神宮寺から視線を逸らし、横を駆け抜けようとした美咲の前に立ちふさがる神宮寺。
 そして神宮寺のマンションに保護されるように連れていかれた美咲は…。


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