<第10回> <第11回> <第12回>


<第10回>
 再び大学に行こうと決意を固めた美咲(稲森いずみ)は、慎太郎(つんく)に、「もう揺れない」と断言。その後、講議に現れた美咲を見て、神宮寺(中井貴一)は少々驚いてしてしまう。
 数日後、バイト先から肉まんを貰った帰り道、美咲は偶然神宮寺に出会う。プールで出会えなかったことや、美咲の講演を神宮寺が見ていたことなど、二人の間には様々な思いが錯綜し、探り合いながら会話を交わす美咲と神宮寺。そんな二人の間には、互いが互いを思う気持ちを捨て去れぬ雰囲気が漂う。
 そこに美咲を迎えに来た慎太郎が現れたため、美咲は神宮寺と別れる。去って行く美咲を見送った時、神宮寺は苦痛に顔を歪め、脇腹を押さえた…。
 翌日、安東(川岡大次郎)から「逆境の心理学」が講演のおかげで売れていると知らされた美咲は、慎太郎の部屋に一人帰って本を手に取り、物思いに耽る。そんな美咲にイライラを隠せない慎太郎。
 同じ頃、神宮寺は真子(大竹しのぶ)とバーで飲んでいた。美咲が神宮寺を救うかもしれないと思ったのに、二人が違う人生を歩み始めてしまったと残念がる真子。そんな会話をしていた折り、突然、神宮寺が脇腹を押さえ、椅子から苦しそうに転げ落ちた…! 救急車で病院に運ばれる神宮寺…。見守るしかない真子…。
 一方、美咲と慎太郎の元には、蘭蘭(ビビアン・スー)と丈二(吉沢悠)が結婚の報告に訪れていた。二人を祝う美咲と慎太郎。すると蘭蘭が、美咲と神宮寺に自分達の結婚の親代わりになって欲しいと頼んだ。蘭蘭は、神宮寺ともちゃんと家族になりたいと言う。戸惑う美咲に、神宮寺に頼めと慎太郎は勧める。ちゃんと親代わりになってやれと。慎太郎に促され、蘭蘭の願いを受け入れる美咲。
 かたや、真子は医師から神宮寺の病状について、衝撃的な宣告をされていた・・。

<第11回>
 美咲(稲森いずみ)の前で、痛みで倒れそうになった神宮寺(中井貴一)だったが、なんとか平静を装う。そんな神宮寺に美咲は、蘭蘭(ビビアン・スー)と丈二(吉沢悠)の結婚パーティーの案内状を渡して帰る。
 パーティー当日。開始寸前になっても神宮寺は姿を現さない。心配が募る美咲、蘭蘭、丈二。新婦入場の時、蘭蘭の横でエスコートする男の影が…。神宮寺だった。涙する蘭蘭。神宮寺を見つめる美咲…。 蘭蘭に続き、涙でいっぱいになる美咲。蘭蘭の頬にポロポロとこぼれおちる涙。
 それから数日後、慎太郎(つんく)は美咲との結婚を考え、大阪で専任講師の口があるからドリーム映像を辞めたいと社長に言い出した。映画を諦めるというのである。偶然その話を立ち聞きしてしまった美咲は呆然とする。
 一方、神宮寺は本田学部長(鶴田忍)に辞表を提出していた。
「来週行う試験をもって、私の最後の講議とさせていただきます」そう言って去る神宮寺。
 翌日、美咲はひょんなことから、引っ越しの当日に神宮寺が美咲の留守電に残した、『プールで待っている』というメッセージを発見。混乱する美咲はすぐに神宮寺の教授室を訪れる。あの日、自分もプールに行ったと話す美咲。すると神宮寺は、『自分は行かなかった』と言う。そして、「私のことは忘れなさい」「君はもっと、自分のことを考えるべきだ」と諭すのだった。目を伏せて、教授室を去る美咲。美咲が出て行った途端、脇腹を押さえ、薬を飲む神宮寺。「……これでいいんだ……」
 その夜、パソコンに向かっていた神宮寺は、じっと考えると何かを決心した。「……私が彼女にしてやれること……」
 試験当日。神宮寺は試験の予定を変更をして講議を行い、それに関するレポートを後日提出するようにと言い出した。「ノートをとる必要はない。テキストは……これを使う」それは美咲を救った一冊、「逆境の心理学」だった!

<第12回>
 美咲(稲森いずみ)に無理矢理指輪をはめようとし、強引にキスをした慎太郎(つんく)。そんな美咲の目からは涙が流れた。突っ走った行動を後悔しつつも、自分が言ったことを取り消すつもりはないと言う慎太郎は、指輪をポケットに入れると、しばらく顔を合わせないでいようと提案。バッグを手にすると、部屋を出て行ってしまった。
 数日後、大学へ行った美咲は信じられない貼り紙を掲示板に見つける。神宮寺(中井貴一)が本人の希望により退職したと書いてあったのだ。
 神宮寺の最後の講議が、美咲へのメッセージだとわかった美咲は、すぐに神宮寺のマンションへ駆け付ける。だがチャイムを鳴らしても応答はなく、たまらず美咲はドアを開けて中へ入ったが、そこには誰もいなかった…。
 それから数日、慎太郎は真子(大竹しのぶ)の教授室に呼ばれていた。そこで、神宮寺があと数カ月の命の末期癌に冒されていること、だからこそ美咲の前から姿を消したのだと知らされる慎太郎。そして慎太郎は真子から、ひとつの包みを渡される。神宮寺が美咲にあてた、美咲がこれからやるべき勉強の資料だと言う。病気のことを美咲に伝えるなと神宮寺は言っていたが、自分は、美咲にそのことを伝えるべきだと語る真子。でも、その役目は美咲を支えてあげられる慎太郎しかいないのだと。
 その晩、慎太郎は包みをじっと見つめて考えていた。真子の言葉を思い出していたのだ。「この包み、あなたに任せていいでしょ? それと、彼の病気のことを彼女に伝えるかどうかも、あなたに任せる……」
 そして何かを決心した慎太郎は、美咲に電話をかけた。「美咲、出てこられるか?……大事な話があるんだ」


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