あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「母親失格」
ぶ然として黒沼(金田明夫)、法生(岸田健作)父子が花壱に乗り込んできた。あの手この手で頑張ってきた倫子(観月ありさ)だが、ついに月割りにしてもらっていた借金返済ができなくなってしまった。返済を、なんとか待ってもらおうと倫子は、父子にただただ頭を下げるだけだった。
 そんな様子は従業員たちに筒抜け、なぎさ(矢田亜希子)も「倫子は良くやったよ」と倫子を慰めるが、「花壱が潰れたら、東京に戻って今度はあんたが借金取りに追われるのよ。何かいい方法を考えなさい」と倫子は、まだまだやる気を失っていない。
 そのころ学校で、志保(黒川芽以)は担任から、新入生歓迎式でピアノを弾いて欲しいと頼まれていた。そのピアノは志保の祖母が学校に寄贈したもので、その縁もあり、担任は志保が学校になじむきっかけになればと、頼んだのだった。
 そのチラシを志保の部屋で見つけた倫子が、従業員らに披露すると、里子(馬渕英里可)らは「二年生代表なんだ」など褒める。しかし、志保は恨むような目で倫子をにらみ「聞きに行くからね」と言う倫子には「(あんたなんか)家族とは思っていない」と反発する。
 しばらくして、千葉(金子賢)がロビーにいると、めかし込んだ法生がやってきた。それに合わせて、派手に着飾った倫子が奥から現れた。実は、なぎさが借金の返済を黒沼に待ってもらう苦肉の策として、倫子と法生のデートを画策したのだった。ルンルンの法生を、千葉は苦々しく見ていた。
 学校では、志保が懸命にピアノの練習をしていた。弾くのは父が好きだったショパンのノクターン。いつも同じ所でつっかかってしまい、イライラの志保。そんな志保をバスケットの練習をしていた男子生徒が近づいてきて「いい曲だね」と励ましてくれる。
 黒沼が始めたレストランにでかけた倫子と法生。法生は従業員から渡して欲しいと売上金を渡される。そんなことは、意に介さず、好きな食べ物、色、季節・・・と倫子を質問責めにする法生はすっかりのぼせあがっていた。その帰り、藍子(田村英里子)のスナックに二人が寄ると、なぎさと千葉がきていた。別の席に移り、倫子は法生の手を握り、「なんとか返済延期の口添えを〜」と頼むと、法生は有頂天。
その手を法生は離そうとせず、そんないちゃいちゃしたやりとりに千葉がカッとして法生を殴ってしまう。なぎさの画策も万事休す。
 志保の耳に、倫子が派手な格好で法生とデートしていたという話が伝わってくる。「あんな女を嫁にするなんて」という陰口も聞こえ父親を馬鹿にされたと思った志保は倫子にますます反発する。一方、黒沼は、法生が持っていた売上金がなくなったことから、「千葉が盗んだ」と言いだし、「警察に突き出せ」とカンカン。一層激しく借金返済を迫ってくる。倫子はまたまたピンチ!。

<第8回> 「客は結婚サギ師」
仕事が終わり、倫子(観月ありさ)ほか、なぎさ(矢田亜希子)ら従業員たちが、賄いに集まり、たわいもないことを話していた。競馬しか興味のない番頭の次郎(梶原善)に倫子がつい「たまにはデートでもしたら」と言うと、次郎の顔が曇った。次郎には、心から好きになり結婚も考えた女性がいたが、突然姿を消されてしまった苦い思い出があり、未だに引きずっていたのだった。
 翌日、美人系の女性と堅物風な男のカップルが花壱にやってきた。「何か変なムード」と感じる倫子だが、なぎさが女から一万円のチップをもらい「泊まっているのは内緒に」と頼まれたことから、「やっぱり不倫よ!」「後から女を捜しに男が来て、血の雨が降る」など、初恵(円城寺あや)らは騒ぎ出す。そんな騒ぎに史子(浅野ゆう子)は「こういう商売には、そんな客もある。お客さまの要望に添うよう努力するように」と皆に注意を与えるのだった。
 その不倫?カップルの女の方を見て、次郎の顔色が変わった。結婚する決意を固めたところで姿を消した真理子(鈴木砂羽)だった。真理子を見つけ、指輪を買いに行ったことなど楽しい思い出にひたる次郎だが、バツが悪く必死で、真理子に見つからないよう四苦八苦。そんな次郎に、伝票の整理早くしてもらいたい倫子は不審に思いつつ「遊んでばかり!」とプンプン。
 倫子のもとに、射的屋から次郎が忘れていった財布が届けられた。倫子が手に取ると、写真が一枚落ち、そこには、幸せそうな次郎と真理子。倫子は、泊まり客が次郎をふって姿を消した女性と知る。
 その日の夕、掃除する次郎に声をかけた男がいた。「真理子」の写真を見せながら「知らないか」と尋ねる。不審がる次郎に男は警察手帳を見せ「結婚詐欺の常習犯だ」と告げるが、「そんな女は泊まってない」と次郎は刑事に嘘をつくのだった。次郎は弟の治療費として、サラ金から借りて作った金を真理子に渡し、そのまま真理子は次郎の前から姿を消していたのだった。
 辛い次郎の心中を察した倫子はスナック「夜間飛行」に、次郎他皆を誘い、盛りあがっていると、男が現れた。写真を見せ「知らないか」と聞いてまわる。知っているが、皆「知らない」とわざとらしい返事。次郎は男が刑事で、真理子が結婚詐欺師として追われていることを悟られないよう必死になるのだった。
 花壱に戻った次郎は、倫子の気遣いに感謝しつつ、真理子が結婚詐欺で追われている女だと打ち明ける。その直後に刑事が泊まりたいと花壱にやってきた。
犯罪者を故意に匿えば犯人隠匿罪になる。「また花壱の評判が落ちる」と史子は倫子にアドバイスするが、倫子は「俺が自首させる」という次郎に「任せます」と女将としての判断を下した。

<第9回> 「恋愛トンマの女」
 花壱の帳場の予約電話が鳴っている。そばに初恵(円城寺あや)と次郎(梶原善)がいるが、「利益になっているかどうかわからないが、あの女将ちゃんのせいで予約が入るようになって・・・」と無駄話をして取ろうとしない。そこへ倫子(観月ありさ)が駆け込んできて「何してるの!」と二人を叱りつけ、受話器を取ると、聞いたことのない外国語が飛び出してきた。
 予約の電話を入れたのは、イタリアの高級ホテルのジョバンニ・カルパッチョ社長(フランク・オコーナー)だった。「VIPなんだから、一般客に増して丁重にするのよ」と史子(浅野ゆう子)に注意され、出迎えるなぎさ(矢田亜希子)ら従業員たちは、がちがちに緊張してしまう。
 カルパッチョ社長は二人の日本人の随行を連れていた。その一人の室井(宇梶剛士)と目が合い、史子が固まってしまった。室井は、史子が以前務めていたアトランティックホテルの同僚だった。「久しぶり。史子」とあいさつする室井に、「勅使河原さんを、史子と呼び捨て・・・」。倫子となぎさは、かつて二人の間に何かあったとピンと来る。史子に聞くと「同僚と言うより、ライバルね」と言われ、二人はポカン。一方、室井に聞くと「プロポーズしたがふられた」とあっさり言われる。それも、史子が仕事漬けの生活で、室井のプロポーズをプロポーズと理解できなかったせいだった。姿を消した史子を見つけ、もう一度プロポーズしようと室井は史子を捜してもいた。
 史子は室井から、カルパッチョ社長と提携契約の交渉に来たこと、それも以前自分が企画した内容だと知り、俄然やる気になる。契約を成功させれば、クビにしたアトランティックホテルを見返せる!と史子は思い、どんなサービスをしたらいいのか、早速頭を回転させ始めるのだった。
 カルパッチョ社長を、露天風呂に入れている間、史子と室井は厨房に来て篠田(風間杜夫)に「趣向をこらした日本食を。特別予算を出すから」と注文を出す。息の合う史子と室井。篠田は二人の関係が気になり、里子(馬渕英里何)に「室井さんは、勅使河原さんの元カレだったらしい」と言われ、動揺して手を切ってしまう。
 風呂から上がったカルパッチョ社長を今度は、人力車に乗せ街の見物、夕食はデコラティブな日本食、そして芸者を呼んでの大騒ぎ。だが、盛り上がっているのは周囲だけで、カルパッチョ社長は次第に元気がなくなっていった。
 食べ残しの夕食を見て、篠田は「相当疲れてるぞ」と倫子にアドバイス、それを受け倫子は「休ませてあげた方が・・・」と史子に言うが、史子は酒の席ほど交渉しやすい場はない、と室井をせかせ、カルパッチョ社長をカラオケに連れ出すのだった。
 仕事のし過ぎで死んだ夫。倫子は、志保(黒川芽以)に「偉くなるって大変ね」とポツリとこぼし、高邑の写真に見入るのだった。
 カラオケから帰っても一人、意地になって仕事を続ける史子。「何でそんなに仕事ばかり」「あなたにはわからない」と倫子と史子は言い争いになり・・・。


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