あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「きらわれた女将」
 従業員が見守る中、売り上げを計算し始める倫子(観月ありさ)。光熱費、クリーニング代、食材費など経費を差し引くと残ったのは十万円。「俺たちの給料は・・・」など、番頭の次郎(梶原善)らにブツブツ言われた倫子は「払らわないとは言っていません」と啖呵をきったものの、どうしたら売り上げが伸ばせるか悩むのだった。
 史子(浅野ゆう子)に相談すると、「経営方針を決めるのは女将。私たちは運用するだけ」と倫子は言われてしまう。そんな時、倫子は、初恵(円城寺あや)と出席した旅館組合の女将の会合で、取り巻きの女将たちを従え、悠然と歩く「春翠楼」の女将・妙子(ジュディ・オング)と知り合う。他の女将たちに馬鹿にされる倫子だが、「春翠楼」は一泊十万円、半年先まで予約でいっぱいと聞き、ピンとくるものがあった。
 倫子は「花壱」に戻るや、旅館に残る全財産十万円をもって「春翠楼」に走った。従業員たちは「女将が旅館の金を持ち逃げするなんて」とあ然とするが、倫子は「春翠楼」で、売り上げを伸ばす方法を盗もうとしていたのだった。
 「春翠楼」では、従業員たちは洋装のおしゃれな制服姿で、外国人客とも英語で応対。風呂はアロマオイルの香りが漂い、「香りを嗅ぐとよく眠れるんです」と説明を受ける。出てきた茶は、可愛いカップのハーブティ、夕食も高級ワイン付きの洋食で、どれも倫子にはびっくりすることばかり。
 すっかり感化された倫子は、「花壱」改革は、「宝来」の真似でと決意。初恵ら従業員たちを洋装の制服に着替えさせ、英語の外国人講師も呼んできて、さっそく英語の特訓を始めた。千葉(金子賢)らは「卒業しても勉強かよ」とブツブツ。倫子は篠田(風間杜夫)には「洋食を出して」と女将命令。篠田はぶ然とする。朝食の賄いもパン食に代え、倫子は頑として、花壱改革を目指すのだった。
 花壱を気に入ってくれた旅行代理店の社長の仲介で、四人の客がやってくる。「和風と聞いていたのに」といぶかる客たちは、風呂に立ちこめるアロマオイルの香りに「なんだこれ」と不平を漏らす。おまけに浴衣でなくパジャマが出て、期待を裏切られる。「マッ、料理自慢と聞いているから」と楽しみにしていると、夕食は洋食で、ワイン。ついに客たちは、堪忍袋の緒を切らし、怒って出て行ってしまう・・・・

<第5回> 「最も恐ろしい客」
 花壱の事務所で夜、倫子(観月ありさ)はどうすれば、客が増えるのか考えていた。フト目に留まった旅行雑誌。倫子は広告を出せばと考えるが、史子(浅野ゆう子)に「予算的に無理。せいぜいチラシ」と言われてしまう。それなら取材に来てもらい、雑誌で特集を組んでもらったらと思いを巡らす倫子だった。
 次郎(梶原善)や加賀谷(酒井敏也)らが、チラシを作り始めている時、思ったら直ぐ行動に移さねばいたたまれない倫子は東京にいた。昔のモデル仲間から、出版社を聞き出し、倫子が訪ねたのは「ボン・ボヤージュ」編集部。編集長に挨拶すると、来月号で修善寺特集をするからと、簡単にOKをもらい、倫子はルンルンで花壱に戻った。
 「取材に来てくれる?」。なぎさ(矢田亜希子)はびっくり。しかし、その相手がボン・ボヤージュと聞いて史子の顔が曇った。ボン・ボヤージュは、記者が抜き打ちで取材に来て、歯に衣着せぬ記事で、業界に知られていた。その分、信頼感は高いが、記事次第で、場合によっては大手ホテルや旅館もつぶれてしまうという。史子から聞かされた、次郎らはうろたえるのだった。
 「それなら大丈夫。ウチは客が少ないから、だれが記者か直ぐわかる」と倫子はわれ関せずといった風で皆を励ますのだった。皆も妙に納得してしまう。
 従業員一同、花壱の存亡をかけ掃除しているが、いつまでも記者らしい客は来ない。いらつき始めたころ、尊大な態度の大河内(佐渡稔)がやってきた。偉ぶった態度から記者だと、従業員らが思っているとカメラを担いだ松田(甲本雅裕)がやって来て、部屋に案内すると、カメラ位置を探すそぶり。「こっちが記者よ」と騒ぎに。しばらくすると、今度はパソコンを持った女性・畠山(谷川清美)が来た。部屋で早速何か打ち出し、記者に集中サービスしようとしていた倫子も「だれが本物の記者なの」と迷い出す。
 そうこうしているうち、一組の老カップルが花壱にやってきた。宿帳に夫婦と書いたが、どうも女性の態度がよそよそしい。
 倫子が心配していると、次郎、なぎさ、初恵(円城寺あや)が自分の担当が「記者だ」とモメ出し、篠田(風間杜夫)が作った一つしかない特別料理の取り合い。結局じゃんけんで、初恵が特別料理を取り、なぎさと次郎はキャバクラばりにサービスしたり、肩や腰をもんだり相手を気持ちよくさせようとするが、反対に不評を買う。「こんなんじゃちっとも休めない」。三人はプンプン。
 そして翌朝、篠田が朝食を作ろうとすると、水が出ない。昨夜の不評を朝食で挽回しようとしていた倫子はピンチにたたされる。

<第6回> 「料理が出せない」
 「鍋から目を離すな」。もたもたする里子(馬渕英里可)に篠田(風間杜夫)があきれていると、倫子(観月ありさ)が厨房に顔を出した。「篠田さん、ちょっとお話が・・・」と倫子が言おうとした矢先、逆に倫子は篠田に「食材を替えたい」と申し出られる。確かに倫子もその食材を使った方が良いと思うが、旅館は相変わらず火の車。予算的に許されなかった。
 篠田の後輩の三浦(モロ師岡)が花壱にやってきた。「久しぶりです」と篠田にあいさつする三浦は、よくこんなところで、一流の腕を持つ篠田が満足しているものだと思うのだった。
 実は、三浦は、乃木坂にできる料亭の花板にならないかと、篠田を誘いにきたのだった。その夜、スナックで一生懸命誘う三浦の話を、藍子(田村英里子)らは、耳をそばだて聞いていた
。  思うような食材が使えず、里子の指導もしなければならない。料理人として、思う存分腕を振るうことは、篠田も望むところ。迷った末、篠田は、倫子に「一週間休みを下さい」と頭をさげ、店の仮オープン期間だけでもやってみようと、倫子らには「旅行に」とごまかし上京していった。
 その夜、倫子はなぎさ(矢田亜希子)に誘われスナックへ。そこで、倫子は、篠田が引き抜きかれたのかもしれないと知る。花壱では、篠田が戻らなかったらいよいよダメか!従業員たちの間に動揺が広がるが、倫子は「大丈夫、篠田さんは必ず戻ってくる」と、どこまでものんき。そばで聞いていた史子(浅野ゆう子)は、業界の常識としては、戻らない可能性が高いと感じていた。
 上京した篠田は、オーナーから、行き届いた設備、食材について説明を受け、「すべて任せます」と言う言葉にやる気がわくのを感じていた。そのころ、花壱にはカップルがきていた。里子は篠田のメニュー通り料理を作ろうとするが、なかなかうまくいかず「遅い。まずい」とカップルに怒鳴られてしまう。すっかり落ち込む里子だが、そこへ女子大のグルメ研究会十人の予約が入る。
 「とっても無理」と里子の表情から読みとった倫子は、篠田の気持ちを確かめるため、史子やなぎさとともに乃木坂の料亭に向かった。真新しい厨房、料理人たちに指示しながらテキパキ動く篠田。そのハツラツとした姿に、倫子は篠田に声をかけられない。「業界では良くあること」と史子に慰められ、倫子はそれなら、できるだけやるしかないと覚悟を固めるのだった。
 その夜、史子は篠田に会い「辞めても、女将も私も恨まない。しかし、あの子(倫子)は、あの子なりに、あなたの腕を生かそうと懸命だった。それを話したかった」と告げるのだった。
 花壱に戻った倫子は、賄いもうまく作れない里子に「できる。できるって信じていたら、絶対にできる。私はずっとそう考えてやってきた」と励まし、料理の下準備を始めるのだった。


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