<第1回> <第2回> <第3回>


<第1回>
 1998年大晦日。東京で美容師をしている笠原夏樹(江角マキコ)は、友人の冬美(石田ゆり子)、春子(西田尚美)と北海道のホテルで新年を迎えようとしていた。冬美と春子は、擦れ違う宿泊人に「若い」などと素早くチェックを入れつつ、食事後にもうひと滑りとゲレンデに降りていった。
 「若い」とチェックを入れられた男、実は夏樹のむかいの部屋の宿泊人、遠藤和也(加藤晴彦)23歳。在京の新聞社の北海道支社に席を置くカメラマンで、先輩カメラマン・楓宗一郎(反町隆史)とニューイヤー花火のシャッターチャンスを待っていたのだ。「向かい年増みたいでしたよ」「新年早々ついてないな」
 しっかり連れの二人にチェックが入れられてることも知らず、残された夏樹は、おせち替わりのカレーを平らげ、優雅にバスタイム中…とその時、いきなりドォンという凄まじい音と共に花火が打ち上がった。99年の幕明けだった。
 夏樹は、フロントに電話を入れた。お皿を取りにきてもらって充満したカレー臭を取り除くために。ドアを開けてソロッと皿を押し出す夏樹の目に、向かいの部屋前に置かれたおせちのトレイが入った。食べたかったおせちはどんなものかしら?好奇心を押さえきれず、思わず歩を進めた時だった“ガチャン“後方で無情のドアの閉まる音。
 ボーゼンの表情で立ちすくむ夏樹は、あわれスリップ一枚。
 そこに向かいの部屋から宗一郎が顔を出した。車のキーを持たず買い出しに行った遠藤を追いかけるためだった。
 「あけましておめでとう」「あれ、どっかで?」間抜けな会話を交わす二人。取り敢えず着ているものをと夏樹が宗一郎のバスローブを引っ張ると、慌てふためく宗一郎の背後で、またもドアの閉まる音が……。
 これが、宗一郎と夏樹の赤面ものの出会いだった。
 数日後。宗一郎はガス爆発の現場に走っていた。
 嬌声と罵声の中、宗一郎は競うように特ダネを狙うカメラマンの前にさらされる負傷した女性倉田なずな(木村佳乃)のことを、立場も忘れ自分のジャケットを掛けてマスコミの目から守ってやった。
 しかし、この一件が響いて宗一郎は東京本社勤務が言い渡されてしまった。
 一方、東京に戻った夏樹は、いきなり親の持ってきた見合い話しにのってしまおうかと考えていた。女29才。今の生活から脱出できるならと思ったのだ。
 だが、そんな夏樹をみかねた春子が「子持ちのオヤジと結婚するぐらいなら、知り合いの新聞社社員を紹介する」といってくれた。
 そして、これにのった夏樹が約束のホテルへと向かうと、なんとそこには忘れもしないあの男、宗一郎が。実は宗一郎も付き添いと分かりホッとしたのも束の間、こちらの付き添い冬美が宗一郎を気に入り、夏樹は完全においてきぼり状態に。さらに追い討ちを掛けるように、遅れて来た本当の相手の篠原(古田新太)までもが冬美の方ばかりに視線を投げ掛けている。
 プライドずたずた、我慢できなくなった夏樹が「邪魔者は消えますので!」の捨てゼリフを残しホテルを飛び出して行くと、ためらうことなく宗一郎も後を追いかけたのだ。
 宗一郎は行く先も告げず、夏樹を強引にバスに乗せた。
 たどり着いたのは、飛行場。宗一郎はメンテナンスを終えたセスナ機に夏樹を乗せ操縦桿を握った。「免許取り立て、人を乗せるの初めて?」そう聞かされ一瞬焦ったもの、夏樹は初めてみる光景に素直に感動し、渡されたインスタントカメラのシャッターを切っていた。
「信じられない!」その夜、夏樹は今日の一件で冬美から激しく攻められていた。
 宗一郎の電話番号さえ聞いてない!もう一度偶然に会えたりする運命にかけるしかないかなぁと一人夢見ここちの冬美。
だが夏樹はそんな冬美に言った。「これはあなたのじゃない。私の運命よ」。
 そこへ春子がこれから同居することになるという弟を連れてきて…!?

<第2回>
 ある日、宗一郎(反町隆史)を尋ねてなずな(木村佳乃)が新聞社にやってきた。「誰?」。キョトンとする宗一郎になずなは「北海道の事故の時、怪我している私の足に掛けてくれた」と言ってクリーニングしたジャケットを手渡した。北海道から東京へ、そして報道部ではなく家庭部へ行かされることになったあの一件のことを宗一郎はすぐに思い出した。
 なずなは、ジャケットのポケットにあった名刺から宗一郎のことを知り、自分は東京の短大に通う学生であることを話すと、「今度、お礼に食事でも…」と言い残して帰っていった。
 しかし宗一郎は、受けとったジャケットにお金が入っていることに気がつき、慌ててなずなを追いかけた。
 乗っていたバスを降りて「血のシミが消えなかったので、お金を包んだの」と説明するなずな。宗一郎は、消えないシミを見て、改めて事故の大きさを思った。そして、「次のバスを待つ間にお茶でも」と誘うのだった。
 その夜、宗一郎は急な仕事を手伝ってもらった遠藤(加藤晴彦)を伴って帰ってきた。まるで待ち構えていたように、飲み会に突入する夏樹(江角マキコ)、春子(西田尚美)。そしていきなりメークを始める冬美(石田ゆり子)。
 宗一郎は、その場をかいくぐって自分の部屋にこもると、なずなからの電話を待った。すかさず遠藤から、なずなのことを聞き出した夏樹たちは、居間の親機の受話器に群がった。
 そして、明日二人がディズニーランドに行く約束をしたのを聞きつけたのだった。
 翌朝は、あいにくの雨。起きてきた宗一郎はぼんやりとキッチンで新聞を広げ『2000年への風景』と題された記事に目を落とした。そして、ミネラルウォーターを取り出すため冷蔵庫に手を伸ばすと、そこに宗一郎が撮った新聞のハンバーグレシピが貼られてるのに気が付いた。思わずはがしてゴミ箱に捨てる宗一郎。だが、そこへやってきた夏樹は「それ今度作ろうと思って…おいしそうに見えたから」といい、すこしでも美味しく見せようと被写体に向かった宗一郎の姿勢をほめた。
 でも、宗一郎は何を撮りたいのか分からなくなったと、写真に対する情熱のやり場に困ってることを夏樹に打ち明けるのだった。
 そんな宗一郎に夏樹は、大切に取ってあった記事を差しだして見せた。それは、『2000年への風景』のシリーズ第一弾として掲載された宗一郎が撮った花火の写真だった。
 同じ花火を見ていた。実際見た花火より迫力ある写真だと思ったことを夏樹は素直に宗一郎に話していた。
 その日、宗一郎は雨の中、予定通りなずなとのデートに出かけた。
 一方、夏樹は、春子の代理で週刊誌の取材をすることになっていた。
 取材先となっている病院へ相手を訪ねる夏樹。そこに現れた取材相手の医師の久我龍彦(椎名桔平)。実は久我は、高校時代の夏樹の家庭教師で、夏樹がかつて思いを寄せてい人だったのだ。偶然の再会に心ときめく夏樹で……。

<第3回>
 宗一郎(反町隆史)がなずな(木村佳乃)と一晩一緒に過ごし朝帰りをしたことが翌朝の食卓で当然のように話題になった。
 夏樹(江角マキコ)、冬美(石田ゆり子)、春子(西田尚美)らに「童貞すてたか」「避妊したの?」など朝っぱらから攻め立てられる宗一郎。
 出社しても遠藤(加藤晴彦)からさりげなく夕べのことを聞かれる始末。
 仕方なく宗一郎は「一晩じゅうオセロをしてた」と告白、遠藤を唖然とさせる。一方夏樹は、久我(椎名桔平)に誘われ食事に出掛けることになった。
 7年振りにゆっくり向かい合うことができたという久我に、ときめきを隠せない夏樹は、思わず久我の左手の薬指をチェックしていた。
 店を出て帰る道すがら、久我ははじめて娘がいることとバツいちであることを話した。
 妻は多忙な医師という職業を理解し続けてはくれなかったこと、離れて暮らす娘は10歳になっていること。
 そして「これでも昔は子煩悩だったんだよ」ちょっぴり寂しげに言うと、ふと目に止まった露天ショップに、「寄って見よう」と夏樹を誘った。
 並べられたかわいい小物を見て夏樹は、子供の頃自分も大好きで集めていたことを思い出し、娘さんに買ってあげてはと久我に進めた。
 すると久我は、可愛いガラスの動物を二つ買い求めると、その一つであるイルカを夏樹へ贈ってくれた。
 夏樹がハッピーな思いを皆に話したい一心で家にたどり着くと、そこには新顔の小林(伊藤英明)を交え人生ゲームに興じるいつもの面々がいた。
 一同は夏樹の買ってきたケーキに釣られて、久我とのデート話しを聞かされ、贈られたガラスのイルカを見せられていた。
 しかし、冬美が「250円で落ちる安い女」と夏樹をからかったことで二人は口論を始め、やがて掴みあいのケンカにまで及んでしまった。
 おまけにこの騒ぎでガラスのイルカはどこかへ飛ばされ紛失。夏樹と冬美の中もヒビ割れてしまったようだった…。
 翌朝、夏樹は洗面所で接着剤で手当てされたガラスのイルカを発見した。
 そしてその日の夜には、手当てのされていない、もらった時のままのイルカを手に取っていた。「……直ってる…?」
 訳の分からぬまま夏樹は冬美の作った夕食の席に付いた。
 まだわだかまりのある二人の様子に緊迫したムードの食事となったが、状況は人生ゲームスタートと同時に急変。二人はゲームのやり取りの中で、夕べの一件を謝り許し合うのだった。
 喧嘩も一件落着、ゲームもお開きになり、仕事を始めた春子が血相をかけて居間に戻ってきた。
 今日締切りだった公募小説に別の原稿を送ってしまったというのだ。
 結局原稿を直接編集部へ持ち込むことになり、宗一郎のバイクでナビ役に夏樹が付き添い編集部へ。原稿はなんとか無事届けられた。
 その帰り、夏樹は宗一郎からガラスのイルカの真相を聞き出していた。
 探し出して修復したのが春子で、同じものを買ったのが冬美だということを。そしてその両方に宗一郎が一枚かんでることも…。


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