あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「恋の選択肢」
 須賀(藤木直人)からワシントン特派員への異動話を聞かされて、恭子(江角マキコ)は、素直に喜べなかった。恭子にも医大助手の声が掛かっていたからだ。恭子は須賀にその話を言い出せない。真理子(米倉涼子)は賢明な判断だとしながらも、「モテモテ男は、自分と仕事を天秤にかけられるとマジギレする」と脅かす。
 丁度その時、再び片桐代議士(西岡徳馬)が、心臓発作で恭子の病院に担ぎ込まれた。今度は本当だった。若手の造反などで持病の心臓病が悪化したのだ。
 この知らせは、息子の矢吹(押尾学)にもすぐに届いた。姉の亜紀子(戸田麻衣子)が劇団「惑星ケノン」の稽古場知らせに行ったのだ。矢吹は、それでも見舞いをためらった。ちょっと意気の衰えた片桐は、恭子に矢吹のことを尋ねる。矢吹が片桐の息子と知らない恭子が「今度大きな劇場で公演するらしい。普段は大人しいのに舞台では華があって空気が変わる」と褒めると、片桐は満足そうにほほ笑むのだった。
 そうとは知らない須賀は、病院の恭子に転勤の話について嬉しそうに電話をかけてきた。片桐の入院を隠そうとする恭子だったが、電話口の向こうの看護婦の「かたぎり」という声に、須賀は、ピンと勘を働かせるのだった。
 須賀はすぐさま病院へ向かい、恭子に「会わせろ」と迫る。断る恭子に「片桐は企業から受託収賄の疑いがある。国民の知る権利だ」と詰め寄るが、恭子も「守秘義務がある」と突っぱねる。
 そんなころ片桐の秘書・吉田(山崎銀之丞)は矢吹に「芝居のチケット100枚売ってくれ。先生が買えと言うんだ」と電話をかけてくる。矢吹は片桐の収賄のニュースを聞いたばかり。「そんな金で情をかけるな」と怒り爆発し、病院へ向かって飛び出した。病室に飛び込んだ矢吹は秘書・清水(田山涼成)、吉田や亜紀子、真理子、そして恭子のいる前で、父・片桐を罵るのだった。
 日が変わって、恭子が片桐の病室に入ると、須賀が片桐にインタビューしている。片桐は「ささやかだが、婚約祝いだよ」と笑うのだった。
 大劇場での公演の日。真理子はフライトが遅れ、遅刻。一人で観ている恭子だったが、矢吹が変である。
 「あの夜からあなたを見ていた。何を迷うことがある。白い家の彼の地へ飛び立ち二度と帰ってくるな」
 アドリブで恭子への思いのたけをぶちまけるのだった。
 真理子がいないと思いほっとしていた恭子だったが、遅れてきた真理子は、入り口でその「告白」を、聞いていたのだった。傷つき会場を飛び出す真理子。恭子は複雑な気持ちで身動きできないのだった。
 そんな真理子は、婚約パーティーの料理リストを須賀に持っていく。真理子は気持ちを決め、須賀に言った。「恭子さんは医大のことで頭がいっぱい。別居だけど、エリート同士の結婚でワシントンでもオシャレね」。・・・・・・恭子を裏切ったのだ。怪訝な須賀に、善意の顔で恭子の研究所入りの話をしてみせる。表情の強張る須賀。
 パーティーが始まった。楽しそうな参加者。ドレスアップした恭子も嬉しさで緊張気味である。須賀が挨拶に立った。その言葉は、参加者全員を凍りつかせたのだった。

<第8回> 「恋のエアポート」
 恭子(江角マキコ)との婚約パーティーの席で、須賀(藤木直人)は「結婚しません」と宣言し、「イル・ポルチェリーノ」を飛び出す。後を追う恭子。その後ろ姿を真理子(米倉涼子)は複雑な思いで見つめていた。恭子のためにワシントン特派員を決めた須賀に対し、恭子が博士号とワシントン行きを天秤にかけていると告げ口したのは真理子だったからだ。そんなこととも知らぬ恭子は、真理子にすがりつき助けを求めるのだった。
 “婚約破棄“の理由を知りたくて、恭子は、須賀に連絡を取ろうとするが、須賀はまったく電話にも出ない。
 そんなころ、恭子の病院に入院中の片桐代議士(西岡徳馬)の収賄疑惑が真実味を増してきた。看病を続ける亜紀子(戸田麻衣子)は、看護婦の千春(堀つかさ)から、須賀と恭子の婚約解消を聞かされ、思わず顔がほころぶのだった。
 沈む恭子のもとに矢吹(押尾学)が電話をかけてきた。真理子も呼ぶから、気晴らしにバーに来ないか、と言うのだった。渋々承諾し、バー「DANE」に行くと、やって来たのは須賀だった。矢吹が、恭子のことを思い、息子として片桐の情報を渡すから、と偽って呼び出しをかけたのだ。
 須賀は渋りながらも席に座り恭子の話を聞き始める。
 「どうして結婚をやめるの?」。やっと切り出す恭子。
 「僕が答を出してあげたんだよ。ワシントンと博士号、どちらか迷ってたんだろう。天秤にかけられるの嫌いなんだ。男を見る目を養ってから結婚相手を探せ」。須賀は、そう言い捨てて立ち去るのだった。
 須賀は、ただちにワシントン行きを決めた。それを知った恭子は、テレビジャパンに須賀を訪ねた。「君に何も話すことはない」と突っぱねる須賀に、「結婚の話はしないから」と食い下がる恭子。諦めた須賀が恭子についていくと、そこは二人がかつてキスをした桜の並木道だった。恭子は同じ場所で須賀の唇に自分の唇を重ねた。気持ちを取り戻そうと必死である。だが、須賀はそのまま去っていくのだった。
 映画の主役オーディションを受けることが決まった矢吹は、真理子にそれを知らせようと懸命だったが、突然アパートに真理子がやって来た。嬉しそうな矢吹に、真理子は言い渡した。
 「もう駄目。おしまいにしよう」。驚く矢吹。真理子は続けた。「舞台で恭子への愛情の思いのたけを語るのを見たのよ。叶わなかった恋ほど忘れられないものよ」
 矢吹は真理子の後を追えなかった。
 自室で一人でいる恭子のもとへ真理子がやって来た。笑顔で迎える恭子。「須賀さん、明日ワシントンに発つんだって。医大のこと、どこかで聞いて怒ってるの。どうすればいいの」。甘えて話し始める恭子に、真理子は苛立った。「私もう、慰めることなんかできないわ。矢吹君と別れたの」。言い放つ真理子。「恭子さんに永遠の恋をしている矢吹君と一緒にいられないわ。告げ口したのは私よ」。
 恭子はショックを隠せなかった。真理子を罵った。
 「矢吹君に愛されなかったのはあなた自身のせいよ。自分がもてて当たり前だと思ってるのよ」
 「あなたこそ男も仕事も手に入れて当たり前と思ってるのよ。覚悟がないなら恋なんかするな」
 二人の親友の心に決定的なヒビが入る。
 恭子が病院に戻ると、片桐の病室にフィニッシングスクールの高槻ふみ子先生(松本留美)がいた。ふみ子は恭子の事情を見抜いたように「恋は突っ走ってもいいのよ」とアドバイスするのだった。意を決し、恭子は大学の研究室入りを断った。
 「私、ワシントンへ行きます。片桐さんの手術には戻ってきます」。「戻ってこなくていい」。怒った担当医はばっさり恭子を切り捨てた。
 恭子はパスポートを握りしめ空港へ向かった。が、タクシーの中で携帯が鳴る。片桐が発作を起こしたのだ。「もう病院には戻れないの」。電話を切る恭子だが・・・。

<第9回> 「恋のリセット」
 須賀(藤木直人)がワシントンに赴任して1年が過ぎた。恭子(江角マキコ)は、当初の希望通り文京医大の研究室に入っていた。きびきびと助手を務める恭子だったが、以前の様な輝きは消えていた。古巣の東山病院へ手術の打ち合わせに行っても、看護婦の千春(堀つかさ)に「日に日に潤いがなくなっていく」と見透かされてしまう。病院の廊下を進むうち、須賀が初めて恭子の前に現れキスをした場所に近づいた。記憶が蘇る恭子。その時、背後に人の気配が・・・・・・。恭子の鼓動が高鳴る。振り返る恭子。「お久し振りです」。それは須賀ではなく矢吹(押尾学)であった。
 矢吹は、映画主演を果たし、一躍スターの座に飛び出していた。劇団「惑星ケノン」はプロダクションに変わり、良枝(酒井美紀)は矢吹のマネジャーに収まっていた。矢吹は、映画出演のきっかけを作ったプロデューサーを見舞うため病院に来ていたのだった。矢吹の話では、父親の代議士・片桐(西岡徳馬)は、恭子の緊急手術により健康を取り戻しはしたが、収賄騒動により政治生命は終わったという。矢吹は、良枝に促され病院を後にした。
 一方、真理子(米倉涼子)は、地上勤務になっていた。落ち着いた雰囲気をにじませてながら、ワインスクールや語学学校に通っている。そんな真理子が、大衆的なイタリアンレストランに現れた。厨房にいるのは福田(山本圭壱)。「イル・ポルチェリーノ」がオーナー交代のため衣更えしたのだ。真理子は落ち着いた感じの語学学校のクラスメートと同伴だった。
 ある日、恭子は福田に呼び出され、刑務所に向かった。門の前で福田が待っている。そこへ同様に福田が呼んだ真理子もやって来た。気まずく「帰る」と言い出す二人。諌める福田。なぜなら、片桐の罪をかぶって服役した吉田の出所の日だったのだ。とりあえずわだかまりを忘れ、吉田を迎える3人。が、能天気な吉田は驚くほど明るく登場した。つい微笑みあう恭子と真理子だった。
 出所祝いは、福田が、吉田の就職先として選んでいたお好み焼き屋。そこで福田は、片桐の娘・亜紀子(戸田麻衣子)が須賀を追ってワシントンに行っていることを報告した。亜紀子を思って罪を被った吉田はショックを隠し切れなかったが、恭子は平静な様子を崩さなかった。祝いも終わり、恭子と真理子は、二人で埠頭に出て互いの話を始めた。最初は大人しく相手の話を聞いていた二人だったが、そのうち、「見透かした言い方やめてよ」「お説教臭いのよ」と昔のコンビに戻ってしまう。「フン!」とその場は別れた二人だったが、懐かしさと再会の嬉しさで胸がいっぱいになるのだった。
 ある日の午後、医大に矢吹が恭子を訪ねてきた。「今度こそ僕と付き合って下さい」。有無を言わせぬ強引な口振りで交際を申し込む矢吹。「私、絶対そんな気はない。真理ちゃんのこと考えたら出来ない」と突っぱねる恭子。しかし、その場面は、しっかり真理子に目撃された。が、真理子も以前の真理子と違っていた。矢吹が消えた後すぐに、恭子を捕まえ言った。「今は守ってもらう幸せの方が魅力なの。恭子さんは恋をしてね。矢吹君でもいいの」。意外な言葉に驚きながらも、恭子は「そんな暇ないの」と否定し続けるのだった。
 急に休みになった雨の日の午後、恭子は、良枝から送られてきた矢吹が主演する映画のビデオも見ずに午睡をとっていた。そこへけたたましいノックの音。矢吹であった。「怪我をした」と入り込む矢吹。むげに帰せず、恭子は仕方なく招じ入れる。しかし、怪我は嘘。すぐに「帰れ」と言う恭子に、矢吹は今度は「下には写真誌が待ち受けている」と脅す。部屋でビデオを見始める二人。唇を奪おうとする矢吹だったが、恭子は「有名になったら自信ついたの?なんでも欲しいものが手に入ると思っているの」といなす。矢吹も「恭子さんの恋の種火を僕が燃やす」と宣言する。
 そんなある日、亜紀子が病院へやって来た。手術の礼だというが、須賀との幸せな恋愛生活の自慢と結婚の報告だった。が、恭子の平静な態度に亜紀子の方が驚くのだった。しかし、恭子は、平静ではなかった。一心不乱にジョギングし、部屋に戻って、何もかも忘れようとしている。そんな折、携帯が鳴った。矢吹である。「須賀さんが大変です!すぐにテレビをつけて!」。慌ててテレビをつける恭子。須賀はワシントンから、ごく普通にニュースリポートをしている。矢吹がだましたのだ。「恭子さんは須賀さんを忘れていない・・・・・・」。恭子は「忘れてるよ」と言いながら、画面にいとおしく触れるのだった。
 矢吹はそのまま携帯で、バー「DANE」に誘った。「最後にする」という言葉に従い、恭子は仕様がなく足を運んだ。恋のルーレットを外す矢吹。が、食い下がり恭子の唇を奪う。と、店にワシントンにいるはずの須賀(藤木直人)が入ってきた・・・・・・。


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