あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「恋する遺伝子」
 ある意味で「女の理想」を極めた「女」に、たった一つ足りないものがあったら・・・・・。それが「恋」だったら・・・・・。「3高」の上に美人、32歳だが腕のいい女医・恭子は、まさにそんな「女」。恭子が味わう恋の悲しみと愛の喜びを、一癖も二癖もある周囲の人物との関係の中で、熱く、かつクールに描いていく「恋」のドラマである。
 恭子(江角マキコ)は、32歳、腕のいい総合病院の外科医である。「恋人の医師に会うために」ローマに降り立ち、チョコレートを手にして彼の部屋のドアを叩いた。中から現れた「彼」は、恭子の知り合いの看護婦と一緒。恭子が単に「恋人」と思い込んでいただけなのだ。事ほどまでに恭子は「恋愛下手」だった。
 ローマのカフェで、恭子は、真理子(米倉涼子)にその顛末を聞いてもらっていた。真理子は、航空会社の国際線客室乗務員。27歳で早くもバツイチ。7年前の初フライト中の病気を恭子に助けてもらったのが縁で、今や親友である。真理子は、恭子をセント・バレンタイン聖堂に連れて行く。「恋を成就するために祈れ」という友情である。そこで、現地の老婆が恭子に向かって言った。「あんたは、突然現れ、すべてをぶちまける男と恋に落ち結婚する・・・・・・」
 帰国の飛行機の中で、急患が出た。恭子を、乗務中の真理子が呼びに来る。腹痛で苦しむ太った男・福田(山本圭壱)は、恭子に治療してもらい事無きを得、お礼に恭子と真理子の二人を自分がシェフのレストランに誘った。その店「イル・ポルチェリーノ」は、予約半年待ちの超有名店であった。
 帰国した恭子の部屋に、従姉妹の良枝(酒井美紀)が、転がり込んできた。恭子の母親に見合いを勧められ逃げてきた良枝は特技のマッサージで生活すると言う。
 恭子、真理子の二人は、福田の店へ行った。そこには福田の友人で、実力派政治家・片桐(西岡徳馬)の秘書・吉田(山崎銀之丞)がいた。福田と吉田は、すぐに真理子のとりこになった。恭子は頭のいいピエロにしか過ぎなかった。帰り際、今度は吉田が、小演劇に二人を誘った。
 演劇はつまらないものだったが、真理子は、二枚目役の矢吹(押尾学)に一目ぼれ。恭子は矢吹の「生活、そんなものは召使に任せて、恋をしたまえ」というセリフが心に突き刺さっていた。その後、恭子は、矢吹がバーテンを務めるバーで、年齢を偽ったために賭けで負け、さらに自己嫌悪に陥るのだった。
 そんな日常に事件が起きた。片桐代議士が、恭子の病院に入院してきたのだ。政変がらみでの偽装入院である。その取材にやって来たのは、強引な二枚目テレビ記者・須賀(藤木直人)。須賀は、見舞い先を偽って病院に潜り込み、恭子に近づくのだが・・・。

<第2回> 「恋の季節」
 実力派政治家・片桐(西岡徳馬)の偽装入院を取材に来たテレビ局記者・須賀(藤木直人)に、無理やり唇を奪われた恭子(江角マキコ)は、不愉快な中にも、どこか甘美な印象をぬぐい切れない愛憎相半ばする不思議な感情を抱いてしまった。といっても、すぐにお見合いの期日がやって来る。恭子は、親友のスチュワーデス・真理子(米倉涼子)が見合いの席に覗きに来る方が心配だった。
 ところが、当日、見合いの場所のホテルのロビーにいたのは、須賀であった。片桐のことを教えろ、と迫る。恭子は「なぜ、あなたが・・・・・・」と驚くが、恭子と同居する従姉妹の良枝(酒井美紀)から場所を聞き出したのだ。須賀は「ロビーが違う」と教えてくれる。
 本当の相手は、平安文学専門の大学助教授・木暮(風間トオル)であった。茶席で恭子を迎えるという、控えめだが段取り上手の知的な印象に、恭子は好感を持った。キスまで段取りに乗せる男だ。
 一方、職業病に悩む真理子は、良枝のマッサージ店に行く。そこで良枝から恭子のマンションでの花見に誘われる。売れない舞台役者の矢吹(押尾学)にひかれる真理子は、その花見に矢吹を誘うことを思い付く。
 恭子と木暮は、福田シェフ(山本圭壱)の店「イル・ポルチェリーノ」でデートすることになった。だが、店にはすでに真理子と片桐の秘書・吉田(山崎銀之丞)がデートしていた。結局、4人で食事をするはめになったが、最長1年3ヵ月予約待ちの客とは木暮のことであることが明らかになる。真理子は、ついでに、木暮や吉田を花見に誘う。その時、恭子は、爆発事故の負傷者の治療に呼び出される。
 治療が終わると、重症患者が転送されることになった。病室が足りないのだ。恭子は、片桐の部屋を空けるよう提案するが、聞き入れてもらえない。怒りに駆られた恭子は、情報を狙っていた須賀に、このことをリークする。
 須賀はニュースでその事実を報道した。その中で、恭子からの情報と分かる表現を使ってしまう・・・・・・。

<第3回> 「恋する女たち」
 恭子(江角マキコ)が、強引なテレビ記者・須賀(藤木直人)に恋をしてしまったことを勘付いた真理子(米倉涼子)は、二人を本格的に近づけるためにあることを企む。乗務した国内便に、代議士・片桐(西岡徳馬)の取材で乗り合わせた須賀に近づき、恭子への積極的な意思を確認。恭子が休みの土曜日、ブティックで待ち合わせというデートを仕組んだのだった。真理子はそこで恭子に女らしい服を着せ、姿を消した。
 まんまとはめられた二人は、まず、服に似合う恭子の靴を買い、水族館へ向かった。須賀はそこでキッシング・グーラミーを1匹だけ購入し恭子に渡す。靴は小さく、つがいのはずのグーラミーは2匹ではなかったが、恭子は幸せな気分に浸った。
 後日、須賀は、恭子を映画に誘った。が、その日は片桐の娘で須賀に気のある亜紀子(戸田麻衣子)の誕生日。亜紀子は強引に須賀をエスコート役に指名したが、須賀はキッパリと断る。それを根に持った亜紀子は、恭子が来る前に、映画館に現われた。須賀は無視しようとしたが、亜紀子はヒールを折り足をくじいてしまう。須賀は、亜紀子の靴の買い物に付き合わされることになった。恭子は、その間、映画館の前で立ち尽くし、結局一人で「花様年華」を観ることになる。買い物の終わった須賀は飛んで映画館に向かうが、亜紀子も追ってくる。その時、映画が終わり、恭子がロビーに出て来た。よろめき須賀にもたれかかる亜紀子。恭子は凍りつく。しかし、須賀は、落ち着き払って、亜紀子に応急の診察をしてくれと頼むのだった。恭子は、診察しながら、靴が自分が買ったものと同じであることに気づく。恭子は、パンフレットを買いそびれたこと、自分のその靴が小さくて苦しいことを須賀に腹立たしく訴える。
 日が替わり、恭子は、件の服も靴もごみ袋に突っ込み、部屋の外に運ぼうとした。と、ドアの前に荷物がある。1匹のキッシング・グーラミーと「花様年華」のパンフレット。須賀である。恭子は、水族館へ駆け出した。水槽の前に須賀はいた。そして、二人は、グーラミーのようにくちづけを交わすのだった。
 丁度同じ頃、真理子も、心ときめく新進俳優・矢吹(押尾学)が、病気で伏せっていることを聞きつけ、矢吹のアパートを訪ねていた。勝手に上がり込み、かいがいしく働き、矢吹の世話を焼く真理子。矢吹は、戸惑い、苛立ち、「いい加減にしてくれ」と怒鳴るのだが・・・・・・。


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