<第7回> <第8回> <第9回>


<第7回>
 有明(三上博史)のなかでも、藍(広末涼子)の存在が大きくなって
いた。それは愛?なのか。そんな有明に、藍は自然に笑みがこぼれてくるほどうれしく、有明が描き出した自分の絵を覗き見ては有明に甘えるのだった。
 藍たちがグラウンドで、バレーボールの運動をしていると、真白(池脇千鶴)が突然倒れた。心配して駆け寄る恵理子(伊藤歩)、安奈(中村愛美)、小鳩(真柄佳奈子)ら。実は真白は妊娠していた。医務室に運ばれ苦しむ真白をよそに、所長の田所(宇梶剛士)らは、やっかいものを背負い込んだと迷惑げ。
 誰も真白の妊娠については、知らされていなかったのに安奈だけは、気づいていた。「誰の子だろう」。真白は、父親を明かしていなかった。「産むのかな……」。集団室で、しばし話題になった。
 藍は、そんな話を聞き流しながら、母を必死で守ろうとしている真白を、助けてやりたいと思っていた。
 亜希子(吉本多香美)から有明は居酒屋に誘われ、藍の家族について聞かされた。藍には死んだ弟がいて、それは事故死なのに、藍が「自分が殺した」と話しているという。藍が心を閉ざしているのは、「弟の死に関係があるのか?」。有明は思いを巡らした。
 有明は千尋(麻生祐未)に会った。千尋は、有明の兄が芸術的な行き詰まりから苦しんでいたことを知っていたが、自分にはどうすることもできなかったと打ち明けた。そして「恋とも、愛とも呼べないが、二人一諸に雲の上を飛ぶようなそんな気持ちになれたら良かったかもしれない……」と千尋は続けた。
 真白は子供を堕す覚悟を決めた。そんな真白に、藍は病院に付き添い、励ましてやりたいと言い出す。他人の痛みを考えられるようになった藍の変化に、有明は「所長に相談してみる」と話すのだった。
 孝生(いしだ壱成)は、安奈を更正させる努力を続けていた。画鋲を力強く握りしめ、自らけがをしてみせた孝生に、安奈は今度は「紘毅(窪塚洋介)の片目は義眼。私のために潰したの」と平然と言うのだった。安奈の言葉を孝生は、にわかに信じられない思いだが、同時に、単に真似をした教官としての自分の未熟さを痛感するのだった。
 藍は真白に付き添い病院へ。そして手術室に入ろうとする真白に「友達になろう」と藍は突然言い出す。「もう友達でしょ」と言う真白に「友達には嘘つかないんだ」と藍。すると、真白はしばらく考えた後「……家に帰れなくなる。お母さんの所に」とポツリ。このやり取りで、藍には真白のお腹の子の父親が誰なのか分かってしまう。有明にも伝わったが、信じられない気持ちだった。
 藍に通じたことで、真白は何か吹っ切れたようだ。「私が泣いてあげられるのは、お母さんだけ」と手術室に向かうのだった。
 元気な真白だったが、十代の堕胎はショックが大きかった。「私の赤ちゃんはどこ?」と、手術後、錯乱する真白を優しく励ます藍。有明も子どもの頃、道に迷い妖精に助けられた思い出を話しだした。有明は、藍と出会うことで想像する力がでてきたようだ。話に説得力があった。
 集団室に戻った真白と藍。恵理子が「何が母ちゃんのためにだけ泣くんだ。強がり言ってんじゃない」と言ったのをきっかけに、みんなが泣き出した。鑑別所という世界に入れられた、それぞれ事情のある少女たちだが、気持ちが一つになったよう。そして藍と有明の関係も……。

<第8回>
 有明(三上博史)は、弟シュウの死が、藍(広末涼子)が心を閉ざした原因だと考え、何か心を開く糸口はないかと探していた。そんな有明に藍は永遠について話す。
 「恋愛は楽しいバス。永遠もバス。でもおんぼろで、なかなか見えない。しかし私には見える。先生も見て欲しい」。藍は不安になるときもあるが、有明が信じられ、二人の気持ちが永遠であるようにと、こんな表現で、有明に自分の今の「あなたが好きだ」という気持ちを伝えたのだった。
 鉄格子越しに繰り返される藍と有明のやりとりを集団室の恵理子(伊藤歩)たちも気付く。好きになると相手の心変わりが心配になるのはだれしも。藍は恵理子たちに、好きになることを釣られた魚に例え「どうせ釣られたなら、骨までしゃぶって欲しい」と話す。
 千尋(麻生祐未)が、突然鑑別所に慰問に来た。驚く有明をよそに、千尋はフルートを演奏し始める。そんな千尋を藍は、ジッと見ていた。名前を「チヒロ」と聞き、藍は有明が話していたあの千尋と直感、千尋も、藍の真剣なまなざしから、有明の話していた少女だとピンときていた。
 有明は藍が自分をどんどん好きになっていることを感じ、ふと、以前藍のアパートで会った吉岡(堀真樹)の「好きになると何もかも奪おうとし、恐ろしくなった」という言葉を思いだす。弟シュウのこともついでに聞こうと、有明は吉岡に会いに行った。
 その吉岡から有明は、シュウは坂道を転がるリンゴを無我夢中で追いかけ、オートバイにはねられ死亡。そのとき、藍はオートバイに気付きながら注意しなかった。「だから自分が殺した」と藍は思っているという話を聞く。「両親に可愛がられる弟に嫉妬してのことかもしれない」と吉岡は続け、有明は、藍の心の中を思いやるのだった。
 そのころ、鑑別所にピアスを忘れ、千尋が再び鑑別所に来ていた。千尋が視聴覚室であれこれ探していると、そこへ藍。二人で、有明のこと、それぞれの心の内を話しながらピアスを探していると、突然大型テレビモニターが倒れ、画面が砕け散った。その破片が千尋の目に刺さり、千尋は病院に収容され、手術を受けることに。藍は咄嗟に顔を隠して無事だった。
 手術を終えた千尋から「ヤキモチを焼かれた……」と聞いた有明は、吉岡の「藍は無邪気な顔をした悪魔」という言葉を思い出し、藍に「そんなチッポケだとは思ってなかった」と厳しくたしなめた。
 一方、孝生(いしだ壱成)の必死の努力で、紘毅(窪塚洋介)の呪縛から抜けつつある安奈(中村愛美)は、突然苦しみだし……。

<第9回>
 失明するかもしれない千尋(麻生祐未)のけが。そのけがが、自分に原因があると有明(三上博史)に誤解され、藍(広末涼子)は悲しかった。しかし、これ以上有明を好きになることが怖かった。それでもあの事件以来、あまり話しかけてくれない有明が好きでたまらない藍だった。
 審判の日が近づき、恵理子(伊藤歩)は、少年院行きがほぼ確実なだけに苛立ちを募らせていた。恋人へ何度手紙を書いても返事がないことも、恵理子をイライラさせた。
 千尋の見舞いに行った有明は、そこで小泉(夏八木勲)から千尋は自分でけがをしたことを聞かさる。そして、千尋の婚約者だった兄さん以上に「愛してあげなさい。それが彼女を救う道」と言われる。有明の気持ちは複雑だ。
 孝生(いしだ壱成)は、紘毅(窪塚洋介)の呪縛から逃れようとして苦しみだした安奈(中村愛美)のことを考え続けていた。呪縛から逃れようとすると、援助交際という売春をした後悔で心の中がいっぱいになり、苦しみ出す安奈。それほど紘毅の心の束縛が強いのか。孝生は一層、安奈を救いたくなる。
 苛立ちが強くなった恵理子は雪乃(田中美奈子)を殴り倒し、カギを奪って、鑑別所の出口に走った。脱走だ。恵理子に藍、安奈、真白(池脇千鶴)、小鳩(真柄佳奈子)が続いた。やっと外に出た恵理子たち。「おまえら戻れよ」と恵理子は言うが「友達じゃない」と藍ら。恵理子はジーンとした。
 恵理子が向かったのは恋人のアパート。「私ら鉄板」といっていた恵理子。トントンとドアをたたくのももどかしく、恵理子が恋人哲也(山崎弘也)の部屋のドアを開けると、哲也の声に女性の声が重なった。哲也にはもう別の恋人がいた。
 いたたまれず走り出す恵理子を藍たちは追い、親身になって励ます。
 そのころ、鑑別所では5人の脱走のことで大騒ぎ。しかし所長は出かけており、有明の提案と孝生の押しで、一晩だけ藍らのことをどこにも届けないで待つことにする。


戻る


[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-12回]