<第4回> <第5回> <第6回>


<第4回>
 藍(広末涼子)は、所長の田所(宇梶剛士)や雪乃(田中美奈子)らの聞き取り調査を受けるが、口を開こうとしなかった。
 寝坊した有明(三上博史)が調査室に駆け込んでくると、ふくれ顔をつくってみせる藍だったが、有明の口元についたパンのかすをつまみ、そのまま自分の口へ。藍の顔に晴れ晴れしさが広がった。
 中学生の小鳩(真柄佳奈子)も、口を利こうとせず、教官たちは手を焼いていた。その小鳩の担当に、新米教官の孝生(いしだ壱成)がなった。
 有明、亜希子(吉本多香美)、孝生の三人が、小鳩について話しながら、居酒屋で一杯やっていると、隣り合わせたサラリーマンのグループといさかいになった。
 普段「僕は元不良で……」と言っていた孝生だが、サラリーマンらにされるがままに殴られ「やめてくれ」と、哀願調になる。有明は離れた場所で、しばらくじっと見ていた。サラリーマンの一人が角材を手にしたのをきっかけに、有明は止めに入り、ようやく騒ぎは収まった。有明は、素のままの孝生を知り、鑑別所の少年たちと接して欲しかったため、初め手を出さなかったのだ。上司に小鳩の担当として孝生を推薦したのも有明だった。
 翌朝、鑑別所のグラウンドに、獲物を探すような紘毅(窪塚洋介)の目があった。「安奈には指一本触れていない」と雪乃に言ったのは誰だ。紘毅は監視の教官たちを一人一人見定めていた。
 藍に対する有明の調査はなかなか進まなかった。「家のことを話してくれる約束だよ」と有明が持ち掛けると、藍は「聞くなら自分から話して」といたずらっぽく話す。仕方なく、有明が両親のこと、死んだ兄のことを話すと、藍は兄の婚約者、千尋(麻生祐未)のことを突っ込で聞いてきた。「羨ましかった?」「好きだったでしょ?」「お兄さんが死んだときうれしかった?」。
 確かに有明は兄にコンプレックスがあった。藍の問いには突き刺さる痛さがあり、有明は「君は残酷なことを聞くね」と答えるのがやっとだった。
 その夜、有明は千尋に会い、藍の事を話してみた。「彼女は僕が苦しむのを見たいんですよ」という有明に「自分も苦しんでいるからでしょう」と千尋。その言葉は有明も納得できるのだった。
 そんなことがあり、再び藍と相対した有明は、藍を少し突き離すような話をした。 「話を聞くのは、君だけじゃない」と言う有明に「あたしは、他のと同じ? 一山いくらのバナナ。あたしはみんなと違うと思う」と藍。
 小鳩を担当する孝生もなかなか苦労していた。ある時、孝生は、決して小鳩を、強制せず、自分自身を語ることにした。淡々と孝生は話すが、孝生にとっては辛い告白だった。孝生は、話すうち、自然と涙がこぼれてきた。そんな孝生に小鳩は、やっと調査に応じる姿勢を見せるのだった。

<第5回>
 「ここにいるだけでいいから、恋人でいたい」。藍(広末涼子)は、自分の申し出を有明(三上博史)が、快く受け入れてくれたことがうれしかった。
 有明の顔をちらっと見ただけで、ドキッ!と凍り付き、蟻を見て、優しい気持ちになったり・・・。
 明日は藍の誕生日。藍は有明に「フルコースのデートに連れて行って欲しい」と言う。しかし、鑑別所から出られるはずもなく、有明が怪訝に思うと藍は、出かけるのは有明だけ、自分は鑑別所にいて、何をしているか想像するという。
 自分が弱い人間であると自覚、一回り大きくなった孝生(いしだ壱成)は、安奈(中村愛美)を、紘毅(窪塚洋介)の呪縛から解こうと必死。しかし雪乃(田中美奈子)らは、どこまで新任の孝生にできるか、やや冷ややか。紘毅は同室の少年たちを指図して、またまた事件を起こし、ますます不気味さを増していくのだった。
 有明は藍と話した通り、映画に行き、遊園地で遊び、夕日の浜辺を散歩、そして最後にちょっと高級なレストランに入って食事をした。その間、藍は鑑別所で、有明の行動を一日中、頭の中で想像していた。別々の空間にいる藍と有明だが、藍には、有明の行動が手に取るように分かるのだった。
 夕食の時間、夢うつつの藍に、恵理子(伊藤歩)が気づき、尋ねると「誕生日」と藍。恵理子が、「ハッピー・バースデー」と歌い出すと、藍が突然、痙攣を起こし、苦しみだした。りんごを食べて間もなくの異変。藍の部屋の鏡にリンゴの絵。りんごと藍との間になにか関係があるのだろうか。
 藍が苦しんでいるとき、有明は藍の元恋人、吉岡篤(堀真樹)と偶然出会い、藍について話していた。話を聞くうちに有明は、藍が少し分かりかけてくる。
 千尋(麻生祐未)が、死んでしまった婚約者である有明の兄が描き始め、有明が仕上げた(自分の)絵を画商に見せた。千尋は、有明の気持ちが伝わってくるようで、大層気に入った出来栄えだったが、画商は「ただ美しいだけ、絶望的に足りないものがある」と酷評する。その評価を聞き、有明は憤ることなく、突然笑い出した。絶望的に足りないものに、有明は藍のおかげで、気づいたからだった。
 鑑別所に戻った有明は、さっそく単独室で伏せる藍を見舞った。ことごとく藍は、有明の行動を言い当てた。それは藍の豊かな想像力のせいなのか、二人の心がつながったいるせいなのか。有明と藍に、また何かが始まりかけていた。

<第6回>
 藍(広末涼子)は、暴行事件の現場検証に、立ち会うことになった。
手錠をかけられ、じろじろ見られ「人権侵害だ」とプッとふくれる藍だったが、有明(三上博史)も、一諸だと聞いたとたん、機嫌を直し「なにかデートみたい」とウキウキ。藍にとって有明は特別な存在になっていた。
 孝生(いしだ壱成)は、安奈(中村愛美)を、紘毅(窪塚洋介)からの呪縛から解き放し、更正させたいという決意を一層強めていた。君が裸になったとき「抱いてと言うより、助けて」と心に感じたという孝生に、安奈はバカにした態度を取るのだが……。一方、紘毅は雪乃(田中美奈子)から、孝生の強い決意を聞かされると「猿に何ができる」と、不適な笑いを浮かべるが、安奈は次第に変化していく。
 藍の現場検証はたんたんと進んだ。案の定、周囲からじろじろ見られる藍だが、気にする風もない。その現場検証の合間、有明は、無理矢理、藍から千尋(麻生祐未)の名前を聞き出されてしまう。「きれい?」「私とどっち」など、あどけない藍の矢継ぎ早の質問。有明はややうんざり気味だが、自分に想像力の不足を教えてくれた藍だけに、有明は、そんな質問も、どこか楽しく感じるのだった。
 現場検証が無事終わり、有明は帰りがけに、画材店に寄った。そこで、自分の描いた千尋の絵を酷評した小泉(夏八木勲)に出会い、誘われるまま小泉の画廊へ。そこで、有明は小泉から、兄の死の真相を聞かされる。小泉は、兄は才能が枯渇したことを自覚、苦しみ、それに耐えきれなくなり自殺したという。有明が、小泉から話を聞いているとき、たまたま千尋も画廊にもう一度、有明の絵を見て貰おうと来て、その話を聞いてしまった。死の真相は千尋も知らなかった。大きなショックを受けた千尋は、いたたまれず、ひとり走り去っていった。
 鑑別所の集団室では、この夜たまたま、ボーイフレンドの話になった。秘めた思いを話す真白(池脇千鶴)。裁縫が得意で彼の部屋のカーテン作ったと笑いをとる恵理子(伊藤歩)。その恵理子が「エンコーを勧める男なんて」と紘毅を軽蔑するように言うと、「相手に求められたらなんでもするのが愛」と平然と安奈。真白は「私はそう思わない。安奈はママゴトに見える」とズバリと言い、話はいつになく熱を帯び、真剣に。そんなやりとりを、藍は、黙って聞いているだけだった。
 翌日、調査室で面と向かった藍と有明。兄の死の真相を知り、千尋のショックを思いやった心労が、有明の表情にでていた。「何かあった」と藍に聞かれるまま、有明は昨日の出来事を話した。「兄さんは、彼女の愛を踏みにじり、楽な方法を選択した」と、自分なりの結論を話す有明に、藍は千尋が好きなら、ショックを受けている今が「チャンスじゃない。側にいてやりなよ」と、自分の心を押し込めて、告げるのだった。
 有明が千尋を訪ねると、千尋は、助けてあげられなかった自分を責め、憔悴しきっていた。何も食べてないという千尋にお粥を作り、口に運んでやる有明。有明は、千尋の苦しさが痛いほどわかった。千尋は有明にされるまま、有明の優しさに心を開いたよう。自然と二人は唇を重ねた。
 一方そのころ藍は・・・


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