<第1回> <第2回> <第3回>


<第1回>
 有明(三上博史)が、バスに乗ろうとすると、一人の少女が駆け込んできた。有明にぶつかり、有明は持っていたスケッチブックを落としてしまう。ややムッ!とする有明だが、スケッチブックに落ちた血痕に気づき、「けが?」と少女が気になる。少女はそのまま後ろの席にいってしまい、有明も気を取り直し、バスの揺れに身を任せた。
 数日後、その少女が東京第二少年鑑別所の一室にいた。少女は早川藍(広末涼子)。傷害事件を起こし、少年審判が行われるまで、この鑑別所に収容されることになったのだ。
 鑑別所には、心に傷を負い、反抗や自閉でしか、自分を表現できず、犯罪に走ってしまった少年、少女たちが集まっていた。
 藍も収容されてから一切口を開こうとせず、出される食事も口にしようとはしなかった。
 少女たちが運動の最中もめ事を起こした。わいわい騒ぐ少女たち。止めに入る職員たち。その隙を見つけ藍が出口に向け走り出した。「シュウ!」と叫びながら懸命に走る藍。出入り口が見えたとき、ちょうど入ってきたのが有明だった。有明に取り押さえられる藍。暴れる藍を見て有明は「君は、あの時の……」と、数日前、バスで会った少女を思い出した。
 藍の少年審判が行われるまで、同室人として寝起きを共にすることになったのは、訳ありそうな安奈(中村愛美)、女番長然とした恵理子(伊藤歩)、お行儀よく審判の日を待つ真白(池脇千鶴)、自閉症的で、皆からポッポと呼ばれる小鳩(真柄佳奈子)。
 鑑別所には、少年たちも収容されていた。
 少女と少年の収容者が、廊下ですれ違った時、安奈は、少年収容者の紘毅(窪塚洋介)からサインを送られる。
 その夜、安奈が手首を切り自殺を図った。少年の部屋では、救急車のサイレンを聞きながら紘毅が、薄笑いを浮かべていた。
 安奈は援助交際と称する売春をして収容された。それも恋人にそそのかされてのことだった。「馬鹿な男にだまされたんだ」と新任職員の孝生(いしだ壱成)は憤るが、そそのかしたのは、IQ170、スポーツ万能の紘毅だった。 
 藍は反抗的な態度を続けていた。食事の時間、女子職員の雪乃(田中美奈子)が、「食べなさい」と強要しようとすると、いきなり飛びかかった。側にいた有明らに、藍は雪乃から引き離されるが「今すぐ出なければ、シュウが死んでしまう」、「私がだめなら、だれか代わりに行って」という藍の叫びが、有明の耳に残った。
 有明は、死んだ兄の婚約者千尋(麻生祐未)に思いを寄せていた。フルート奏者の千尋のコンサートが終わった夜、有明は思い切って千尋に思いを打ち明けるが、千尋は有明の気持ちには応えてはくれず、有明を残し去っていった。
 そのころ、雪乃は鑑別所の図書室で、紘毅に怪しく迫られ、孝生も、自殺を図り手当を受けた安奈に病院で「抱いてもいい」と言われどぎまぎ。藍は、調査官の髪に火をつけ暴れていた。
 千尋に受け入れてもらえなかった有明。気持ちは重苦しいが、千尋と別れた後、藍のアパートに規則違反であるのを承知で向かった。「シュウが!。行かないと死んじゃうんだ」という藍の言葉が気になっていたためだった。

<第2回>
 藍(広末涼子)は、有明(三上博史)が、規則を破り、飼っていた猫のシュウに、エサをやりにアパートに行ってくれていることがうれしく、閉ざした心を、開きかけていた。
 「いい子にする」と、約束した藍は、女性調査官、亜希子(吉本多香美)の質問にも素直に応じ、亜希子も驚く。
 藍が話すには、暴行事件の引き金は、信頼していた友達に裏切られたことだという。その友達にバイトの金を盗まれ、頭にきて、一緒にいた恋人ともども大けがをさせたという。つい大声になってしまう藍だが、自分のことを話すになってくれた藍に、有明は少しホッとするのだった。
 藍が亜希子の調査を終え、寝起きする集団室に戻ると、同部屋の恵理子(伊藤歩)や安奈(中村愛美)、真白(池脇千鶴)、小鳩(真柄佳奈子)らは、恵理子の恋人のことを話していた。恵理子が何度、手紙を書いても返事がないという。心配そうな恵理子だが、カラ元気を出していた。そんな話をした翌日、恵理子が属していた悪グループの3人が、収容されてきた。気軽に挨拶をかわそうとする恵理子だが、3人は「お前がウリやがった」など、険悪な表情で答えるのだった。
 有明の制服の緩んでいたボタンがとれてしまった。それを拾い大切に持っていたのは藍だった。亜希子に代わって有明が藍の聞き取りを行うことになった。キスの経験、性病の有無、セックスの経験などなど、有明は事務的に質問するが、そのぎごちなさが、藍には、特別なものを感じさせた。
 シャワールームで、恵理子が元仲間の3人に、袋だたきにあって大けがをした。またやられるかもしれない恵理子。しかし、恵理子は鑑別所の教官たちに話そうとはしなかった。
 紘毅(窪塚洋介)は、ベテラン教官雪乃(田中美奈子)を、どぎまぎさせるほどの不思議な力を持っていた。紘毅の同室者の少年が大けがをした。それも紘毅のやったことと思われたが、紘毅は、「僕は暴力がきらいです」ときっぱり。雪乃は、けがをした少年が、殺人を犯し入所、自暴自棄になって仕返しに事件を起こすと心配するが、戻ってきた少年は紘毅に恭順の態度をとり、雪乃を驚かす。
 新任の教官孝生(いしだ壱成)は、誘惑してきた安奈のことを気にしていた。自分も悪だったので、共感してくれたのかもしれないと考えるが、鑑別所の入所期間は一カ月、収容される少年、少女たちと特別な感情を持つなんて、事実上ないことだった。先輩として有明は、孝生に注意を促す。
 痛がる恵理子に藍は深夜、腫れあがった腰に濡れタオルを置いてやった。その優しさに、恵理子は藍に心を開き、真剣に心配してくれた彼氏のこと、そして悪グループから抜けるため、警察にいろいろ話したことを話すのだった。
 食堂で、恵理子を囲み悪グループが再び殴りかかった。身も心もずたずたにされる恵理子。そんな恵理子の姿をみて、藍は我慢ならなくなった。
 その夜、藍は見回りの有明の制服にボタンが、ちゃんとついていることに気づいた。千尋(麻生祐未)が、つけてくれたのだった。「だれにつけてもらったの。恋人?」。有明のそばに、別の女性の存在を感じ取った藍は、有明に質問するうち、「やっぱり(自分は)一人なんだ」とだんだん悲しくなってきた。
 そして翌日、藍は恵理子に復讐するために入所してきた悪3人に大けがをさせる「事件」を起こした。

<第3回>
 「あんたもおんなじだ。わたしを……一人にする」。有明(三上博史)は、藍(広末涼子)の言葉や態度を何度も思い出し、藍の心を掴もうと努力していた。そんな有明が、体操する少女たちに立ち会っていると、藍の視線に気づいた。しかし、見ていることを気づかれないようにする藍。有明が「クスッ」と笑うと、藍はご機嫌を直したようだった。
 そのとき別室で真白(池脇千鶴)が面会に来た、母の由美と会っていた。
 鑑別所の少年、少女たちにとって、面会はうれしくもあり、厳しい外の世界を知らされる機会でもあった。
 由美は少々自堕落な女性で小さなバーを開いていた。久々に向き合った二人は、真白が母を気遣うばかりで、どちらが親だかわからない。真白は、この母のため、早く鑑別所を出たかった。お行儀良くしているのもそのためだった。
 真白は、母が再婚した男、自分にとつては義父が、母に乱暴し、しばしば金を持ち出してバクチにつぎ込んでしまうことから、義父を階段から突き落とし、大けがをさせたのだった。それも母を守るためだった。
 集団室に戻ってきたは真白は、その夜そっと藍に打ち明けた。「本当の父を訪ねたら、とっても幸せそうだった。その時思ったんだ。お母さんは私が、幸せにするって」。藍も真白の話しに心を打たれた。
 有明は、兄が途中まで描いた千尋(麻生祐未)の絵を仕上げようと、意を決し千尋に申し出た。千尋もまだ、愛した有明の兄を引きずっていた。その思いを断ち切ろうと、有明の申し出を千尋は受け入れるのだった。
 翌日、有明は調査室に藍を呼んだ。有明がバスで出会ったことを話すと、藍も覚えていた。話しているうち、どうやら藍もまた有明にうち解けてきた。
 紘毅(窪塚洋介)は、計り知れない恐ろしさを持ち、それを隠そうともしない。新米教官孝生(いしだ壱成)は、紘毅のために援助交際という売春をした安奈(中村愛美)が信じられず、紘毅を追及しようとするが、簡単にあしらわれてしまう。
 ところが、雪乃(田中美奈子)が「三池安奈には指一本触れていない」と有明の分析を告げると、紘毅は顔色を変えた。「だれだ、わかったようなことを言っている奴は」。紘毅は、初めて心の中を他人に、のぞかれた思いから興奮するのだった。紘毅の心にも人に話せない屈折があった。
 藍が少女たちと腕相撲して遊んでいると、父、早川丈志が面会に来た。会いたくない藍。だが有明が同席するというので、嫌々父に会った藍。その藍に、父は「何が不満で!」と責めるばかり。ついには平手打ちする父。有明は、家族についての質問にも答えない藍に、藍の心の障害は、家族との関係にあるのではないか、と考えるのだった。
 その藍に有明は「私の一番したいことを当てたら、何でも話す」と難題を出され悩むことになる。
 有明は藍の一番したいことがわからなかった。有明が千尋に相談すると、千尋は「その年ごろの女の子だと、したい事と、して貰いたいことが一諸だったりするの」とアドバイス。そこで有明は……。


戻る


[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-12回]