あらすじ
<第7回> <第8回> <第9回>

<第7回> 「赤ちゃんと夢を取り戻せ」
 週刊ヤングシャウトのマンガ家3人が、突然ライバル誌週刊ヤングナッツに引き抜かれてしまった! 引き抜かれた3人の編集担当、三京稔(川端竜太)は同僚たちの厳しい視線にさらされる。しかし、編集部員たちの「まさか・・・」の疑念をよそに、ヤングナッツへの移籍の決意を固めていく三京。
 一方、桃井環八(原田泰造)は、三京を訪ねて来た赤ん坊連れの女性、篠原友子(櫻井淳子)を編集部に案内してしまった。友子はマンガ家の引き抜き問題に、ヤングシャウト編集部が揺れる中、自分の名も告げずに赤ん坊を置き去りにして姿を消してしまう。
 引き抜かれたマンガ家の穴埋め作業に追われるヤングシャウト編集部員と、赤ん坊の世話に追われる環八。三京の行動と、謎の女性・友子の正体、そして赤ん坊・・。この3人をつないでいるものは?
 ライバル週刊コミック誌同士の厳しい競争の現実から表面化された契約社員の待遇問題、そしてその狭間に投げ込まれた男と女の愛憎劇。最終回を待たずに展開される本ドラマ最高のハードボイルド「マンガ編集」ストーリー。環八の熱さは、ヤングシャウトから心が離れようとしている三京を引き止めることは出来るのか?

<第8回> 「今、決断のゴングが鳴る」
 桃井環八(原田泰造)が、出勤前にランニングをしているとヤングシャウトを読んでいる男に見かけた。うれしさのあまり「どのマンガも最高でしょ?」と、男に声をかける環八。しかし「くだらない雑誌だ」と男はヤングシャウトをゴミ箱に投げ入れてしまう。男の名は富樫勇一郎(豊原功補)。これが環八との最初の出会いだった。
 ヤングシャウト編集部に出社した環八を待っていたのは、編集部員たちの喜びの顔。その日送られた売り上げデータで、発売したばかりの今週号が駅売りで完売を記録していた。環八も笑顔を見せるが、青梅広道(中山秀征)は素直に喜べない。目新しい企画もないのに急に売り上げが伸びたことが腑に落ちないのだ。そこに疎井明編集長(蟹江敬三)がやって来た。売り上げの上昇に気を良くする疎井編集長は、八代亜希(大竹しのぶ)の作家生活20周年パーティーをヤングシャウト編集部が仕切ることになったことを部員に告げ、青梅を会議室に呼び出す。疎井編集長は、新創刊される経済誌の副編集長に青梅が指名されていることを話した。
 疎井編集長らが編集部に戻ると、一人の男が来ていた。疎井編集長は、その男が営業部から本日付けで異動になった富樫だと部員に紹介する。雑誌売り上げ強化月間のための編集局長の人選だった。もちろん、環八は富樫を覚えていた。ヤングシャウトを「くだらない」と断言するような男が編集部に来たことが面白くない環八。
 続いて開かれた編集会議では、デスク補佐となった富樫が早くも辣腕をふるい始める。まず、最新号販売増のネタばらし。富樫は巻末の次号予告を差し替え、売れ筋マンガ家による7本の新連載開始を謳っていたのだ。局長からライバル誌「ヤングナッツ」の売り上げを抜くことを命じられた富樫は、これはまだ目標の第一段階だと言う。さらに富樫は、7本の新連載の代わりにアンケート下位の7本の連載を打ち切ることを発表。また、八代の「十手小町」の次号休載を環八に促す。長期連載更新中の「十手小町」休載には、目白通代(京野ことみ)も反対するが、富樫は聞く耳を持たなかった。
 早速、八代の仕事場に休載の連絡に向かう環八。アシスタントたちは、話を聞いて環八とともに憤慨するが、当の八代本人は久々の休暇に不満はなさそう。環八が納得行かずに編集部に戻ると、新連載の反響で電話が鳴りっぱなし。疎井編集長は、富樫をほめながらも「十手小町」の突然の休載にはクギを刺す。だが富樫は「局長も承認済み」と、とりあわず、打ち合わせに出かけて行った。すると宮史郎太副編集長(高橋克実)が、富樫に雑誌を仕切らせることに不満をもらす。環八も「それじゃあ、宮さんも青梅兄いも必要ないってこと!」と疎井編集長を責める。そこで疎井編集長は、青梅の新雑誌副編集長への異動の話を部員たちにもらした。
 全ての歯車が狂いだしたのは、マンガに情熱のない富樫の登場からだと環八は憤るが、 部員たちの反応は鈍い。サラリーマンとしての出世とマンガへの想いに揺れる青梅とも環八はぶつかってしまった。八代も富樫の辣腕をほめる始末。環八は、こと富樫問題に関しては孤立無援の状態になってしまう。
 しかし、翌日から富樫はますます編集に口を挟むようになってきた。連載中のマンガにも難癖をつけ、文句を言うなら担当編集を代えるとまで言い出した。耐えられなくなった環八は、ついに「表に出ろ!」と、富樫に突っかかってしまう。だが、業界トップへの厳しさを理路整然と説く富樫に返す言葉が見つからない。さらに「十手小町」の連載終了を切り出した富樫。これには、環八だけでなく他の編集部員たちも怒りをあらわにする。次号予告の連載終了告知まで用意していた富樫は、これをその夜開催される八代のパーティーで発表すると言うのだ。担当として途方にくれる環八に、目白まで共闘の決意を見せる。

<第9回> 「天国からのラブレター」
 いつまでもバイトのままではいられないと、桃井環八(原田泰造)は契約社員の採用面接を受ける。しかし、面接官の「編集者にとって雑誌を作る上で必要なモノは?」と言う問いかけに答えることが出来ず、採用は先送りに。
 ヤングシャウト編集部に戻ると、環八は青梅広道(中山秀征)や中原ひかる(真中瞳)らに慰められる。しかし、環八が答えられなかった質問は部員たちも即答できない。そのやりとりを聞いていた疎井明編集長(蟹江敬三)は「編集者に一番大切なものはアイキャッチだ」と環八に教える。「常に新鮮で意外な表情を見せる。そういう顔に読者はハマるんだ」と言う疎井編集長に、珍しく納得する環八。
 久しぶりに編集長らしさを見せつけた疎井の目下の悩みは、記念すべき『ヤングシャウト第10回新人漫画大賞』の選考。発表が目前に迫っているにもかかわらず、依然として漫画大賞と原作大賞を決定しない編集者たちにイラつきさえ見せている。そんな時、編集部に1本の電話が入る。環八が対応すると「(原作原稿を)持ち込みたくても、持ち込めない」と言う訴えだった。
 電話を受けた責任上、環八が原稿を取りに行くことに。また、バイトの環八だけでは不安と、目白通代(京野ことみ)も同行する。ついた先は、とある病院だった。出迎えた秋野美佐江(大塚良重)は2人を病室に案内する。ベッドの上には、秋野真理子(遠野凪子)が待っていた。長い病床生活を送る真理子は、かなりの原作原稿をため込んでいるが、まだストーリーにまとまったものは少ないと言う。そして「退院したら本格的に書いてみようと思うんです。もうすぐ退院できそうなので」と話す。傍らで原稿を読んだ環八は「面白いです」と感想を語る。しかし、結末が淋しすぎるといっぱしの編集者のようなことを付け加えた。すると真理子も「私も納得してない、どうしていいかわからない」と素直に答えた。その言葉に環八は「この話を絶対漫画にしたいんです。一緒にラストシーンを探しましょう!」と、盛り上がってしまった。こうして真理子と環八が出会い「名探偵マリリン」という漫画が動き始めた。
 環八は、原稿を持って八代亜希(大竹しのぶ)の仕事場を訪ねた。八代は、自分のアシスタントの堀越みどり(堀つかさ)に漫画を書かせてはどうかと、環八を後押し。真理子とみどりのフレッシュ漫画コンビを誕生させようというのだ。
 再び真理子の病室に戻った環八は、そのことを報告し打ち合わせが始まった。しかし、そんな2人を真理子の母、美佐江は心配そうに見つめていた。環八が帰った後、真理子の担当医を訪ねた美佐江は「病状はかんばしくない。なるべく好きなことをさせて」と告げられてしまう。
 編集部でも、主人公マリリンのキャラ決めなどで盛り上がっている環八。そんな環八を横目に、目白は美佐江と会いに病院へ向かう。目白は、最初に会った時から真理子の体を心配していたのだ。そして案の定、美佐江から真理子の余命が短いことを報されてしまう。
 翌日、目白は環八に「あなたが初めて新人を担当した時に私が言った言葉覚えてる?」と問いかける。「新人を担当するって言うのは、その子の人生丸ごと背負い込むことだ」と答える環八。もう一度、その覚悟を問う目白に自信たっぷりに「あります」と環八は答えた。それを確認した目白は、疎井編集長に「原作大賞のことで話が・・・」と持ちかける。
 一方、環八は出来上がったマリリンのカラー原画を持って真理子の元へ。喜ぶ真理子に「ラストで犯人は救われて欲しい」と言う環八。そして、どんな人にも明日は来ると言う自分の信念を語る。環八と入れ違いに、目白もやって来る。目白は単刀直入に、作品に+αがないと真理子の作品掲載は難しいと告げる。すると真理子は「私、自分がもう長くないこと知ってます」と意外なことを口にした。そして、+αとして疎井編集長が出したという掲載条件を飲むと約束する。
 数日後、漫画大賞発表記事の載ったヤングシャウトが出来上がった。原作大賞は、真理子の「名探偵マリリン」だったのだが・・・。真理子の余命が無いことまで、受賞記事に書かれていたのだ。真理子の真の病状を知らない環八は、でっち上げと疎井編集長に迫る。しかし「病状も知らなかったくせに偉そうなこと言うな!」と、逆にやりこめられてしまう。さらに、環八は大賞を手配した目白に「作家の本当の気持ちがわからなかったら、編集者失格」とまで言われてしまった。
 言いしれぬ思いを抱えたまま真理子の病院を訪ねた環八は、病気を売っての掲載を知らなかった美佐江に「2度と真理子には会わないで下さい」と追い返されてしまう。意気消沈した環八は、八代の仕事場へ。落ち込む環八の「アイキャッチ」メモを見た八代は「よい言葉じゃない」と言い、アイは編集者の愛だと環八を促す。その言葉に勇気づけられた環八は、再び真理子の病院に向かった。


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-11回]