あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回> 「いきなり水着で歓迎会」
 桃井環八(原田泰造)は、大事な一戦を前にボクシング会場控え室で、ジム会長・三宅(ガッツ石松)とともにコンセントレーションを高めている。この試合に勝てば、次は日本タイトルマッチが決まっているのだ。環八の傍らには、コミック「あしたのジョー」。幼い頃に「あしたのジョー」を読んで感動し、チャンピオンを目指すことになった環八のバイブルだ。コミックの名シーンで気持ちを高めた環八は、リングへ向かう。
 試合は、まれにみる激戦となった。環八と対戦者は、ともに幾度もダウンを繰り返す。客席には、環八の応援に幼なじみの青梅広道(中山秀征)も駆けつけた。そのうちに、環八のラッキーパンチがクリーンヒット。ダウンした対戦者のセコンドは、たまらずタオルを投げ込み、環八はTKOで何とか勝利する。
 しかし翌日、眼科を訪ねた環八は「網膜剥離です」と医師に告げられ茫然自失。ボクシングを続けることが出来なくなってしまった。打ちひしがれる環八を青梅が訪ねてきた。途方に暮れ、不安を募らせる環八を青梅は「戦いのリングはボクシングだけじゃねえ!」と一喝。そして、そんなにジョーが好きなら今度は俺と「あしたのジョー」みたいなマンガを作ろうと環八を自分の職場に誘う。青梅は、大学館のコミック誌「ヤングシャウト」編集部のデスクだったのだ。
 翌日、大学館本社ビルの前にスーツに身を固めた環八が現れた。緊張する環八は、青梅から聞いたことをメモした手帳「明日のためのメモ」を取り出す。そこには、立派な社会人になるための奥義として「芸」とメモ書きがあった。「新入歓迎会では接待にウケろ!」と言う、青梅の言葉を思い出した環八は「アレなら、絶対!」と、意気揚々と大学館受付に向かう。
 その頃、大学館セレモニーホールではヤングシャウト連載「ブルセラムーン」のヒロインオーディションが行われていた。編集者の目白通代(京野ことみ)は、オーディション出場者さばきに大忙し。編集長の疎井明(蟹江敬三)や副編集長の宮史郎太(高橋克実)は審査員席で「ブルセラムーン」の作者・小泊浅虫(岡田義徳)を接待。その後方では、疎井を横目に見つつ青梅が頭を抱えている。環八を編集部に誘ったのは良かったが、編集長の許可をどうもらおうかと悩んでいたのだ。
 青梅の悩みを知る由もない環八は、受付でヤングシャウト編集部員がセレモニーホールにいると聞いて大張り切り。受付嬢に「俺、精一杯頑張ります!」と、意味不明の言葉を投げてホールに歩き出す。
 一方、ホールでは編集部員の本占地(八嶋智人)が血相を変えて、編集部宛の手紙を宮に見せていた。それは「ブルセラムーン」の連載中止を求め、応じなければ大学館ビルを爆破するという脅迫状。宮は、苦手な疎井への報告を青梅に任せるが「俺は見たいものしか見ない」と疎井は取り合わない。仕方なく警察にだけは届けようと言う青梅にうなずいた宮は、本占地を連絡に走らせる。
 ホールから廊下に出た本占地が、携帯で警察に連絡しつつ歩いていると、セレモニーホールを探す環八が。ホールの場所を訪ねる環八を出場者のマネージャーと勘違いした本占地は、関係者の出入り口を教えてしまう。
 本占地の通報で駆けつけたのは大人数の警官隊。指揮官に、不審者の心当たりを聞かれた本占地は環八を思いつく。その頃、環八はセレモニーホールの舞台裏で、何故かビキニパンツに着替えてウロウロ。そこに、通代がやってきた。驚く通代に環八が右手を突き出すと、拳から手品のようにブラジャーが飛び出した。思わぬ変態男の出現に、通代は宮へ携帯で連絡。「決して怪しいもんじゃないです!」の環八の声も、通代には届かない。
 連絡を受けた宮は、警官隊を引き連れホールへ。舞台では、まさにヒロインの発表が行われていた。会場に響くドラムロールが止まると、ヒロインにスポットライトが・・・と、そこにはビキニパンツ姿の環八。握りしめた拳から赤い花を出した環八は「今日から、ヤングシャウトでアルバイトさせて頂きます」と挨拶するが、詰め寄せた警官隊に爆弾犯と間違えられ捕まってしった。
 警察から環八を引き取った青梅は「あんな歓迎会、あるわけないだろ!」と叱る。オーディションを自分の歓迎会と勘違いし、青梅のメモ通りに、芸を見せようとした環八の勇み足だったのだ。道にじゃがんで落ち込む2人。と、その時、ゴミ捨て場に不審な高級車が止るのを環八が見つけた。車から身を乗り出した中年女性は、ゴミ袋を捨てそのまま走り去ろうとする。環八がゴミ袋を開けると、中には3匹の子犬が入っていた。女性の横暴に怒って車を追う環八だが、車は走り去る。
 青梅に連れられ、先の失態の謝罪とアルバイトとしての採用を頼むため、拾った3匹の子犬を懐に入れた環八は再び大学館を訪ねた。すると、受付ロビーで月刊「美」編集部の香川夏見(菊川怜)と出会う。子犬に優しく接する夏見に「クリンチしたい・・・」と環八は一目惚れ。夏見は大学館社長の娘と青梅に教えられるが「あれが俺の白木葉子!」と謝罪に来たことも忘れている。
 編集部で疎井を待つ環八の耳に、通代が「ブルセラムーン」連載に行き詰まった小泊を叱咤する声が聞こえてきた。通代のマンガ作りは誇らしい仕事と思えないと言う言葉に、環八は「ふざけてんじゃねえ!」と青梅の制止も無視して首を突っ込む。と、そこに疎井がやってきた。疎井は、環八と青梅にオーディションが台無しになった損害額1千万の弁償を迫る。小泊が描けなくなったのも、環八らのせいだと責任を押しつけてきた。もはやアルバイトの話を持ち出すどころではない環八と青梅。しかし、疎井は明後日に迫った締め切りまでに小泊から「ブルセラムーン」の原稿が取れたら、環八のバイト採用を考えてもいいと言い出した。ただし、取れなかった場合は弁償金も実際に請求するという条件付き。環八は疎井の厳しい提案を受けてしまうが・・・。

<第2回> 「あなたの才能信じます!」
 巨匠女流マンガ家・八代亜希(大竹しのぶ)になぜか気に入られ、ヤングシャウト編集部にとどまることができた桃井環八(原田泰造)。しかし、環八は担当初日から寝坊してしまい、心配した青梅広道(中山秀征)に叩き起こされて亜希の仕事場へ急ぐ。遅刻にもかかわらず、環八の登場に上機嫌の亜希。そこで、環八は亜希から社会生活の極意として聞かされた「長いものにはマカロニ」という、おかしな言葉を「あしたのためのメモ」に書き込んだ。
 その頃、青梅は疎井明編集長(蟹江敬三)に怒鳴られていた。ライバル誌「ヤングナッツ」の表紙を人気絶頂のタレント・村瀬小夏(佐藤江梨子)が飾ったことで、売り上げに大きな差をつけられてしまったのだ。疎井は青梅の言い訳も聞かず、小夏をヤングシャウトの表紙に出すため「絶対に彼女を押さえろ」と厳命する。何も知らずに帰ってきた環八は、本占地雪之丞(八嶋智人)に「頼みがある」と誘われて・・・。
 やって来たのは、いつもの洋風居酒屋「泪橋」。環八、本占地、三京稔(川端竜太)と宮史郎太副編集長(高橋克実)の前には女子大生がずらり。彼女たちは泪橋のバイト、西川沙耶(西山繭子)の友人たち。つまり、本占地らが仕組んだ合コンだった。環八は、その幹事を任されたのだが、女子大生の一人・山手さゆり(内山理名)を励まそうとして、つい力が入ってしまいコンパを滅茶苦茶にしてしまう。
 翌日、コンパの失敗を編集部の面々に謝る環八。宮は環八に「罰として、お断り当番をしてもらおう」と提案。それは、原稿を持ち込む素人の作品に一応目を通して断る仕事で、恨まれることもしばしば。「環八にはまだ無理」と言う青梅を後目に、他の編集部員の賛成を得て、環八はその日のお断り当番にされてしまった。
 早速、持ち込みの客が現れた。その女性は、なんと昨夜合コンで一緒だったさゆり。以前からマンガを描いていたさゆりは、合コンで環八に励まされたことで出版社への持ち込みを決意したと言う。さゆりの原稿を読んだ環八は涙でぐしょぬれ。「こんな面白いマンガ読んだの「あしたのジョー」以来っス!」と大感激。さらに「あんたのマンガを編集したい!」と、さゆりの手を握りしめた。
 折しも、編集部では秋の新連載が検討されていた。編集部員たちの採点の結果、1位は目白通代(京野ことみ)が担当の新人・桜田順(永堀剛敏)。そして、環八担当のさゆりは2位につけた。上位2名で連載を始めると約束していた疎井編集長は、2人を第一候補とした。しかし、モノにならない作品だったら担当者に責任をとらすと告げる。特に環八には「コケたらクビ」の厳しい条件をつけた疎井編集長は、さゆりには相撲マンガ「どすこい初恋」を描かせるよう命令した。
 環八と中原ひかる(真中瞳)、オブザーバーの本占地、そして新人のさゆりが「泪橋」に集まった。それぞれが、疎井の企画書「どすこい初恋」を読むが、全く面白くない。「(疎井を)ぶん殴ってやる!」と憤る環八を、さゆりは「この企画で面白いものをつくりましょう」と諫めた。そこに、桜田を連れた通代がやって来た。通代に「新人を担当するっていうのは、その子の人生丸ごと背負い込むってことなののよ。その責任の重さ、ちゃんと感じてるんでしょうね」と問われた環八は「もちろん」と返事。さゆりと桜田、環八と通代の連載を賭けた戦いの火蓋が切って落とされた。
 環八らと一緒に、大学の相撲部の取材をして何とか原稿を書き上げたさゆり。だが、疎井編集長は「俺の企画書のまんま描け!」と、さゆりのオリジナリティーを認めようとしない。一方、通代と桜田は順調に作業を進めていく。
 さゆりは、何度も書き直すが疎井編集長のクビはなかなか縦に動かない。それどころか、原稿を読もうともしなくなる。さゆりの個性が無くなることを心配する環八に「作家の個性なんざ豚に食われろ!」と、あくまで雑誌の色にこだわる疎井編集長。そんな疎井編集長に怒る環八を、さゆりはまたしても「描きます!」と諫めた。自分の色を出さずに企画書通り描くと告げるさゆり。疎井編集長は、その言葉を聞いて連載デビューを決定。だが、担当は環八らから三京に変えてしまう。
 さゆりの担当を解かれた環八は淋しそう。さゆりは、連載執筆に大忙し。ところが、そんなある日、環八にさゆりから電話が。「近くにいるから、部屋に行ってもいい?」と言うさゆりに、環八は二つ返事。だが、やって来たさゆりの顔はどこか思い詰めていて・・・。

<第3回> 「激走!涙の親子リレー」
 編集者にとって校了は修羅場。何が起ころうとも原稿を落とすことは出来ない。ここヤングシャウト編集部も例外ではなかった。今回、桃井環八(原田泰造)はそんな修羅場に直面し、編集者の意地と面白い誌面作りへの執念を垣間見ることになる。
 若手のマンガ家にこびへつらい、普段は典型的な会社人間の顔をしている宮史郎太副編集長(高橋克実)。しかし、裏では家族をとても愛していることを環八は知る。また環八は、仕事漬けでまともに休みを取れない宮副編集長が、その思いと裏腹に家族のから理解を得ることが出来ずにいることも同時に知ることになった。
 そんな宮副編集長に子供たちの運動会が迫って来ていた。必ず行くと約束する宮副編集長だが、運動会は校了翌日の土曜日。締め切りが守れないマンガ家たちのために、宮はこの2年間、土曜日に休んだことがなかった。ところが・・・宮副編集長の切なる願いが叶ったのか、なぜかその週の原稿は順調。これなら運動会もOKと、喜び勇む宮副編集長は家族に電話をかけるは、おまけに製版所にも早めの全ページ入稿を約束してしまう。
 だが、そう簡単には問屋が卸さないのが世の常。今週は珍しく問題ナシと、担当の本占地雪之丞(八嶋智人)が太鼓判を押した、締め切り破りの問題作家、晴海圭介(橋本さとし)が原稿を破いて雲隠れ。本占地に有給休暇を与えてしまった宮は、環八らと晴海の居場所を探すハメに。ようやく見つけた晴海は、今から新しい案で新しい画を描くと言い出した。止める環八を振り払い「面白い原稿は落とせない」と、晴海のわがままを許す宮副編集長。それは、運動会開始の数時間前のこと・・・。果たして、宮副編集長は運動会に間に合うのか? そして、環八の行動は・・・。
 今回、環八は「明日のためのメモ」に宮副編集長の言葉「人間関係は土産から。これ社会生活の極意」を書き込んだ。早速、憧れの香川夏見(菊川怜)に試してデートの約束を取り付ける。ところが約束は土曜日、銀座の前で4時。そう、宮副編集長の運動会の日で、さらに晴海のせいで校了はいつ終わるか分からない状態になってしまった。運動会、デート、校了・・・環八は、4時に銀座の前にたどり着けるのか?


戻る

バックナンバー
[第1-3回] [第4-6回] [第7-9回] [第10-11回]