あらすじ
<第4回> <第5回> <第6回>

<第4回> 「僕はチカンしてません」
 「あなた、香山君に変な影響あたえないでよ」。大介(ユースケ・サンタマリア)は法廷から洋一(いしだ壱成)と出てきたところを英子(川島なお美)に見つかって文句を言われた。2人で痴漢裁判を傍聴していたのだ。検事からきびしく追及される被告人の中年男を見て、大介は大いに同情した。「お互い気をつけような」「僕は痴漢なんかしませんよ」。たしかに洋一は痴漢などしそうにない。
 洋一がぶ然としているといきなり声をかけられた。「お前、弁護士になったのか?」。高校の同級生、桑野篤志(岡田義徳)。会うのは5年ぶり。「俺のこと弁護してくれよ」。強制わいせつで訴えられているという。英子が高飛車に口をはさんだ。
 「あいにく香山は私のアシスタントで忙しいの。そういった事件はこの人がいいわ」。大介は英子に腕をつかまれると篤志の前につきだされた。「先輩に頼めば大丈夫だから。」と言いながらも気になる様子の洋一だったが英子に連れて行かれてしまった。篤志から、すがるような目つきで見られると、人のいい大介は断れなかった。「痴漢なんかしてないんです。僕の無実を証明してください!」。
 てっきり初犯なら執行猶予の判決をとればいいと余裕の構えだった大介は話を聞いてびっくりした。篤志の語るところによると、通勤電車内でOLの柴田綾子(佐藤仁美)から一方的に痴漢呼ばわりされて警察につきだされた。最初は無実を訴えていたが、自白を強要されて認めた。綾子は示談に応じようとしない。会社では配置換えですむはずだったが、痴漢行為を非難する匿名のファックスが届いたため退職に追いこまれた。恋人にも逃げられ、情状証人ものぞめない。「相手は検察官だぞ。よっぽど確かな証拠でもないとな」。と大介はビビって安請けあいしたことを後悔した。
 洋一によれば篤志は痴漢などするような奴ではない。とにかく篤志の無実を裏づけてくれる証人を見つけなければならない。大介は弟の孝介(仁科克基)とその恋人の絵里(水川あさみ)に手伝ってもらって、目撃者に呼びかけるチラシを駅で配った。秘書の弥生(水野美紀)も手伝いにきてくれた。
 しかし、目撃者が見つからないまま裁判当日になった。「悔しいけど罪を認めるしかないかな」。法廷にむかう大介と篤志の足どりは重い。しかも綾子側の篠原誠検事(深浦加奈子)を一目見てさらに気がめいった。誠という名前にふさわしい男まさりの中年女。大介にとって刑事事件は初めてなのに、最も相手にしたくないタイプの検事だ。
 誠は立て板に水で起訴状を朗読した。それを聞いているだけで大介は自分が犯罪者になったような気分になった。ましてや篤志は今にも泣きださんばかり。そこへ息を荒らして洋一がやってきた。篤志の無罪を立証する証人が見つかったのだ。その佐倉(三浦義徳)という男は電車内で篤志の前に座っており、痴漢行為をしていないのは明らかだという。「僕は痴漢なんてやってません」。篤志は意を強くした。「必ず有罪を立証しますよ」。誠は大介と篤志をにらみつけた。
 ところがその夜、佐倉から証人をおりたいと電話がかかってきた・・・・。

<第5回> 「20億の遺産私にください」
 コギャル風の森下理奈(大谷みつほ)は弁護の依頼に来たのだが、断られ、キャピタル法律事務所の受付でモメていた。偶然、エレベーターで会った大介(ユースケ・サンタマリア)は理奈の話を聞いてやることにした。理奈の父親、村沢良雄はレストランチェーンのオーナー。先ごろヨットで海難事故にあって亡くなった。「私の母親、あいつの愛人だったんだ」。
 2年前に理奈の母親が死んだ時、村沢は認知を申しでたが、理奈は今さら何だ、と断った。
 村沢の本妻はすでに亡く、2人の子供、勝子(中村綾)と正彦(斉藤陽一郎)がいた。遺産をもらおうと出かけた理奈は2人から門前払いをくったという。「財産全部で20億よ」。「20億!」と慌てる大介だった。
理奈は法律的には非嫡出子にあたり、認知請求が通れば相続権が認められる。法定相続額は嫡出子の半分。とはいえ4億円だ。「報酬額、期待してください」。大介は葛西(中山 仁)や倉本(佐戸井けん太)の前で大見得をきった。
とはいえ大介1人きりでは心もとない。いつものごとく洋一(いしだ壱成)がサポート役につくことになった。大介は勝子と正彦に認知請求することを伝えた。DNA鑑定すれば結果は歴然だから、大介と洋一は楽勝ムード。「相続がうまくいったらボーナスあげるよ」。理奈の申し出に大介は小躍りした。弥生(水野美紀)はまもなく誕生日。大介がそれとなく聞いてみるとバイクに乗ってみたいという。その言葉を間に受けた大介は、理奈からのボーナスがあれば弥生にバイクをプレゼントできるし、洋一にも差をつけられるとますます張り切った。
 当の弥生は最近ちょっと落ちこんでいた。英子(川島なお美)にだまし取たれた土地のトラブルを相談していた佳代(花原照子)という老女。弥生のことを孫のようにかわいがってくれた。しかしこの件は法律ではどうにもならないことだった。弥生は弁護士という仕事の無力さを感じていた。
理奈は勝子たちから呼び出されて、裁判は時間がかかるから、即金1億5千万円で手を打たないかという提案に勝手に手を打ってしまったのだ。「ホントなら4億円だぞ。それでいいのか」「雇われた人間のくせに、うざいこと言うな」。大介はクビを言い渡されてしまった。
 とはいえ性格上、大介は理奈をほっとくわけにはいかない。彼女が働いているスーパーをこっそりのぞきに行った。理奈はうわついた様子もなく、真面目に働いていた。大介はホッとすると同時に反省した。「彼女の気持ち、わかっていなかったのかな」。なにしろ理奈はこれまで父親に捨てられたと思って生きてきたのだ。
 村沢のヨットには2人の従業員が同乗しており、彼らは救助されていた。その1人の川本(須永慶)が病院で意識を取り戻した。「解任されたくせに」。理奈は憎まれ口をたたいたが、大介が病院に来てくれてうれしそうだった。「遺言は見つかりましたか?」。ヨットが嵐に巻きこまれて死を覚悟した村沢はノートに遺言を書いて、川本ともう一人の矢口(でんでん)に証人になってくれるよう頼んだ。「すべての遺産は森下理奈が相続するものとする、と書かれていました」。「なんで私に―」。「プリンです」。やがて、ハッとしてある出来事を思い出し、理奈はぼう然と立ちつくした。
 洋一が勝子たちの動きをつかんだ。この姉弟はレストランを売却して、新しく買う土地にディスカウント店をオープンさせようとしていた。しかもその土地というのが弥生が法律ではどうにもならずに悔しがっていた佳代のだまし取られた土地なのだ。
「なんか面白くなってきたぞ」。大介は張り切ったが、大事な遺書は海中に消えていた・・・。

<第6回> 「弥生大失敗 私クビにして下さい」
 英子(川島なお美)はマスコミから注目されている裁判を担当していた。太陽建設の設計課長・島村がビル工事現場から転落死した。「事故に決まっています」。依頼人は島村の妻・恭子(山下容莉枝)。しかし賠償金を支払いたくない会社側は自殺を主張。証人として部下のOL・久美(角田智美)を申請した。久美は島村と不倫していたという。「私が別れ話を言いだしたので、それを苦にして自殺したんだと思います
」。恭子は夫の不倫を信じなかった。英子も久美が会社側の意をくんで証言したものと見ていた。
 事務所に戻った英子は洋一(いしだ壱成)、弥生(水野美紀)らと次回の公判の打ち合わせをした。「あの証人で一気にこっちが有利になるわ」。久美との不倫が真っ赤な嘘であることを証言してくれる証人を洋一が見つけたのだ。次回公判の隠し玉だ。「これで奥さんの気持ちも晴れますね」。安堵の笑みをもらした弥生に葛西所長(中山仁)と倉本(佐戸井けん太)が声をかけた。雑誌の取材をうけてほしいという。
 テーマは働く女性の特集。「業務命令だよ」。弥生は気が進まなかったが、結局引きうけた。
 英子と洋一は久美の同僚OL・柏木妙子(小高のりこ)と会っていた。「2人は密談していました」。死んだ島村の上司・吉田部長(大林丈史)が久美に島村と不倫していたと裁判で嘘の証言してほしいと頼んでいたという。「会社の連中は許せません」。妙子は辞職覚悟で裁判で証言すると約束してくれた。
 弥生(水野美紀)の取材にやって来たのはフリーライターの木下冴子(横山めぐみ)。弥生は弁護士秘書の仕事について答えた。意気投合した2人は取材後、弥生の行きつけの居酒屋にむかった。大介(ユースケ・サンタマリア)と洋一も合流した。
「うちの事務所もいろいろあるのよ」。弥生は取材では言えなかったグチをこぼした。「でも長沢英子先生は頑張っているわ」。話題は英子が担当している転落死事件のことになった。「不倫が原因なんでしょ」と聞く冴子に、「そんなの嘘よ」と弥生はつい口をすべらせた。家が近所ということで大介が冴子を送っていった。冴子のアパートの前には恋人の芳男(まいど豊)の姿があった。
 第2回公判は予想外の展開となった。妙子は事前の打ち合わせどおりに会社側の密談を証言してくれた。しかし会社側の工藤弁護士(斉藤暁)は英子たちの知らない事実を暴露した。かつて妙子は同じ男性をめぐって久美と三角関係にあった。そしてその男性を久美に奪われた妙子は中傷ビラまで巻いていたという過去がおおっぴらになった。「あんな女、地獄に落ちればいいのよ!」。妙子の証言の信ぴょう性は消えたも同然だった。
 隠し玉であった妙子の過去まで相手に調べあげられており、誰かが情報を漏らしたとか思えない。英子や洋一までにも疑われた大介だったが、裁判所でライターの木下冴子の彼・芳男を見かけたという。太陽建設の社員らしい。その瞬間、弥生にはすべてが読めた・・・。


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