あらすじ
<第1回> <第2回> <第3回>

<第1回>「人生は気合いとハッタリだ!!」
 花村大介(ユースケ・サンタマリア)は小さな事務所に勤める1年生弁護士。債務整理ばかりの地味な毎日に嫌気がさして事務所を辞めてしまった。「新しい事務所、見つかるの?」。同居している大学生の弟の孝介(仁科克基)が心配して、ホームページを検索していると大手のキャピタル法律事務所の募集広告が。「こういうとこはな、東大卒しか相手にしないんだ」。とぼやいてみせる大介であったが、とにかく受けてみることにした。
 高層ビルの中にある事務所に面接に行き、所長の葛西(中山仁)と弁護士の倉本(佐戸井けん太)からこれまでの経験を問われた大介は「えっと、金融とか不動産関係、ですね」とハッタリをかましたが、どうも見透かされたような気がする。だから帰りがけに倉本から内定を告げられてびっくりした。「なんか俺、ついてきたかな」。大介はすっかり有頂天になった。
 1週間後、大介は初出社した。「―あの、今日入った方ですか?」。真新しいスーツで緊張しているのは同期入所の香山洋一(いしだ壱成)。聞けば東大卒だが「いろいろ教えてください」とおっとりしている。「ま、すぐ慣れるよ」。大介はいい気になって先輩面だ。
 倉本に連れられてきたのは物置のようなスペース。そこはパートナーになる前のアソシエイトたちの部屋で、この中で将来のパートナーに向けての競争が繰り広げられるのだ。
 さっき案内してくれたオフィスには美人秘書がたくさんいたのに。大介が少し気落ちしていると、スーツでキメた、いかにも仕事のできそうな女性弁護士、長沢英子(川島なお美)がやって来た。「早速チームに入ってほしいの」。東大卒で洋一と同じゼミのOBらしい。結局、英子は大介には一瞥もくれることなく、洋一を連れていってしまった。
「花村君だね?君に頼みたい仕事がある」。手持ちぶさたな大介を呼んだのは川村弁護士(長戸勝彦)。引きあわされたのは財閥夫人の吉沢静香(大島蓉子)。総額1千億円の遺産相続をめぐってモメているという。早速の大きな仕事に喜び、勢いこんだ大介だったが、よく話を聞いてみると娘の買ったダイエット器具へのクレーム。そのころ葛西と倉本は「優秀な弁護士がいちいちつきあわされてはたまらないからな」とニヤついていた。大介がこの法律事務所に採用されたのは、もうけの少ない依頼や雑用を押しつけるためだった。もちろん大介本人は知らない。
 その夜、新人歓迎会がレストランで開かれた。秘書の亮子(織平真由美)、里香(高橋玲奈)、早苗(日向真祐)たちがにこやかにしゃべりかけるのは洋一だけ。大介は気がつくと、飲み物を運ばされていた。「自分のポジションが分かったみたいね」。意地悪く笑いかけたのは総務の坂田美奈(池田真紀)。大介が楽しそうな同僚をぼんやりと見ていると「最初は色々大変でしょうけど、頑張ってくださいね」と声をかけられた。秘書の高村弥生(水野美紀)だ。「残業で食べそこなっちゃった」。
 そこで大介、洋一、弥生の3人だけで二次会に行くことにした。
「お二人には正体見せちゃいますね」。職場では模範的な秘書という印象の弥生がビールを一気飲みした。どうやら気取りのないさばさばした性格らしい。
 この後、大介と洋一は、弥生が大きな理想を持って弁護士事務所に勤めていることを知り、何か励まされたようで、幸せな気分になった。
 その夜、弥生は妹のあすか(山口紗弥加)からの電話で、彼女がセクハラに悩まされている事を知る。
 翌日、事務所の受付で、「勝手なことしないでよ」と弥生に食ってかかっているのは妹のあすかだ。カメラマン志望のあすかは実習教官をしているプロカメラマンの大山博之(団時朗)からヌードモデルにされた上に、性的関係を強要されていた。明らかな地位利用型のセクハラだ。 昨夜、あすかから告白された弥生は英子に相談していたのであった。
「しかし、不法行為を立証するのは難しいよ。第三者の目撃証言もないようだしね。」
「所長さんたちのお考えはわかってますよ。仮に本件で慰謝料を取れたとしても高々百万。事務所の収入は着手金、報酬合わせて数十万にしかならない。こんな事件に人手をさくのは無駄だ」。所長たちは英子に見透かされていた。
「もうけっこうです」。あすかが弥生の手を振りきって帰ろうとした瞬間だった。
「あの、俺がやります!」。大介は思わず叫んだ──。
「そうだ、彼にやってもらいましょう。」「そう、彼こそこの事件の適任者です。」
 葛西と倉本は、そう言いながらも内心ほくそ笑んだ。
 資料によると、大山に雇われている島崎道雄という弁護士は百戦錬磨のベテランだ。
 大介は、勝ち目のない戦いに名乗りをあげてしまった・・・。

<第2回>「ウソの写真・手錠の謎」
高村弥生(水野美紀)の妹、あすか(山口紗弥加)のセクハラ裁判が始まった。あすかが緊張の表情で証人席に座った。「原告代理人、尋問をどうぞ」。裁判官にうながされて大介(ユースケ・サンタマリア)はおっかなびっくり立ち上がった。傍聴席から洋一(いしだ壱成)と弥生(水野美紀)が心配そうに見つめている。大介はあすかが大山(団時朗)からヌード撮影を強いられた時の状況を聞きだしていった。苦しげな表情で、涙を浮かべながら話すあすかを見て大介はたまらず尋問を打ちきった。
「もういいです!―もう、わかりました」大山の弁護士、島崎(寺田農)があすかに反対尋問をはじめた。島崎は大山が撮影した服を着た状態のあすかの写真を彼女に見せた。
「いい笑顔だ。むしろこの後、何かされることを望んでいるようにも見えますが」。
大山が証人席に立った。「実は彼女、いつからだったか、しきりと私を誘惑する素振りを見せ始めまして・・・。彼女は私が少しも誘いに乗ろうとしないんで、腹いせに裁判を起こしたんじゃないかと」。そしてあすかのヌード写真を撮影したことなど身に覚えがないと全面否定した。「追加提出したい証拠があります」。島崎が提出したのは、ホテルのベッドであすかが男と裸でシーツにくるまっている写真。デートクラブでバイトしていたあすかが常連客からチップをはずまれて撮った写真だという。
「う、嘘だろ、そんなこと」。大介は思わず叫んだ。弥生もぼう然とあすかを見ている。
「彼女は自分の肉体と引き換えに利益を得ることを知っていたわけですから、自分に利益を与えてくれるかもしれない大山氏に、同じような意図を持って近づいた可能性が非常に高いのではないか」。島崎の口調は自信に満ちていた。「このまま結審されちゃまずいですよ」。洋一に小声で耳打ちされた大介は、とっさに証拠写真の検討を裁判官に要求した。そして島崎に次回の開廷を約束させた。
「嘘だよね?あんな写真、インチキだよね」。弥生が問いつめると、あすかは顔をそむけたままつぶやいた。「ホテルは、1回だけ」。仕送りでは足りずに、てっとり早くかせぎたかったという。「お姉ちゃんの世話になりたくないから」。あすかは弥生の手をふりほどいて走り去った。弥生は涙をにじませて放心している。「このままじゃ裁判負けますよ。それだけじゃない。あすかちゃんの秘密をバラして、姉妹の仲ぶち壊して」。洋一に責められて、大介はうなだれた。
大介に失望した弥生は英子(川島なお美)に善後策を相談した。「私はもう、裁判であすかを晒しものにしたくありません」「だったら、示談ね」。弥生は貯金をはきだすつもりでいたが、あすか本人の気持ちが分からない。大介が本人の意思を確かめることにした。「すまない―君にあんな思いさせて」「もう、いいです―私、裁判止めます。別に写真なんてどうでもいいんです。大介が裁判の続行を必死に訴えても、あすかは聞く耳をもたなかった。
果たしてこのまま示談にもちこまれるのであろうか。示談になるとあすかが大山に対する名誉毀損で賠償金を払う羽目になる。裁判の行方は・・・。

<第3回>「パパ、ママをもういじめないで」
 大介(ユースケ・サンタマリア)にまわってくる仕事はやっかいな依頼ばかり。しかし所長の葛西(中山仁)から頼まれると断れない。いや大介の場合、相手が誰でも断れない性格なのだ。
 かたや同期入所した洋一(いしだ壱成)は英子(川島なお美)のもとで大きな仕事にどんどん取り組んでいる。サポートする弥生(水野美紀)との仲も急接近しているようで、大介は気がきでない。落ちこんだ気分をかかえて居酒屋で1人飲んでいると、ちょっと派手めな美人から声をかけられた。「おたく、弁護士なの?1人ぼっち同士楽しくやろうよ」。大介は女に勧められるままグラスを重ねた。
 翌朝目覚めた大介はあわてた。ホテルのベッド。シーツをめくると昨夜の女がいた。「こうなったからには責任取ってよね。」と言われた大介だが、昨夜のことを覚えていない。女の名前は戸田頼子(梨花)。「旦那と別れたいの」。離婚調停がうまくいかなかったので、裁判の弁護を大介にしてもらいたいという。「よろしくね」。
 ここでも大介は押しきられてしまった。
 そのまま頼子は同伴出勤よろしく事務所についてきた。腕を組んでエレベーターに乗ったら、運悪く弥生とバッタリ。家に帰っていないことを見すかされてしまった。
 大介はあわてて頼子をオフィスに連れていくと、詳しく依頼内容を聞いた。頼子の家庭は夫の健児(板尾創路)、4歳になる1人娘千佳(新井葉月)の3人暮らし。健児は日常のささいなことでも頼子が口ごたえすると暴力をふるう。そんなことが何日も続いたかと思うと、ある日別人のように優しくなる。「もう二度とあんなことは起こらないと思いだしたら、また殴る蹴るの日々が始まるの」。頼子の腕には階段から突き落とされた時の傷痕があった。実母や健児の母親、良江(原知佐子)に打ちあけても信じてくれない。健児は離婚には応じてもいいが、千佳は絶対に渡さないと言っている。「わかった。裁判で離婚と娘さんの親権を請求しよう」。大介は自信たっぷりにうなずいた。
 安心した頼子が帰っていくと、入れ替わるように当の健児がやってきた。大介がビビっていると弥生と洋一が同席してくれた。「私が暴力をふるう人間に見えますか。」大介の抱いていたイメージとは大違いで、健児はじつに温厚そうな人物。話を 聞いてみると、「口ゲンカから手を上げたのは事実だがケガなんてー。被害妄想というのか。むしろ、私は頼子に戻ってきてほしいんです。」3人とも健児の言葉を信じた。
 数日後、大介の前に突然頼子が現れた。「そんなに悪い人には見えなかったけど」。大介が健児の言い分を伝えると、頼子は烈火のごとく怒った。「あんたも信じてくれないの。解任よ!」。一方的にまくしたてると頼子は店を出ていった。ところが大介が事務所に戻ると頼子から電話がかかってきた。「母親が子供を誘拐したって 罪にはならないよね」。
 思わせぶりな言葉に大介はたまらず事務所を飛びだした。「あの男に千佳は絶対に渡せないのよ」。頼子の見つめる前方を健児の母親、良江が千佳と手をつないで仲良く歩いている。良江が買い物をしている隙を見計らって、頼子は娘を連れ戻そうとしたが、千佳は顔をそむけると良江にしがみついた。頼子はガックリと膝を折ると、声を殺して泣いた。
 大介と洋一は千佳の通う幼稚園を訪れた。「千佳ちゃんに変わったところは何もありません」。園長はそう言ったが、ふと園児室の壁を見ると、園児たちの描いた絵が張られている。1カ所だけはがされて空白になっている。「千佳ちゃんの絵だったんだよ」。園児の1人が洋一に教えてくれた。どうしてはがされてしまったのか。その時、大介の携帯電話が鳴った。頼子が健児に襲われて病院に運びこまれたという・・・。


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