盤嶽の一生
盤嶽の一生
2002年6月18日(火)放送終了

放送内容詳細

 阿地川盤嶽(役所広司)は、源助(梨本謙次郎)とおりん(広岡由里子)という宿場町の近くの農民夫婦と知り合いになる。空腹そうな盤嶽を見た夫婦が、畑での昼食に誘ったのがきっかけで、野良仕事を手伝うようになった。汗をかいて作物を作り、それを食べる。雨の日には寝転んで雨の音を聞く。そんな生活が盤嶽には理想に思えた。
 源助夫婦の家に滞在するうちに、お蝶(桃井かおり)という不思議な女が宿場やその周辺の農民たちから、「生き神様」とあがめられていることが分かってきた。お蝶の家には「正直庵」の額がかかり、悩みを持った住民が訪れる。久左衛門(國村隼)という、鼻の下にどじょうヒゲをたくわえた男が「お告げ」を伝えるとともに、お守りのお札を与えている。お札は一枚二百文する。
 お札を作るのはお蝶。「お告げ」の中味を久左衛門に耳打ちするのもお蝶である。源助とおりんは夫婦になって五年間子供が出来なかったが、お札を貰うようになってから子宝に恵まれた。それ以来、おりんはお蝶を神様のように思っている。
 源助が屋根から落ちて足と腰を痛めた。それを知ったお蝶が、怪我を治すというお札を売りにくる。盤嶽はそんなお蝶に、「人の弱みにつけこんでお札を売るとは」と言う。お蝶は、「盤嶽さんは強いからいいが、弱い人には神様との間を仲立ちする人が必要」と譲らない。
 生糸問屋の清兵衛(石橋蓮司)の娘・お糸(田中規子)は、身の上相談をきかっけに、久左衛門に夢中になっている。清兵衛はそこに目をつけて、お糸と久左衛門を一緒にさせて、お告げとお札の商売を自分で仕切り、街道筋の善男善女から金を巻き上げようとたくらんでいた。お蝶と久左衛門とは愛人関係にある。しかし久左衛門は、若いお糸と通じてからは、何でも自分に指図するお蝶がうとましくなっていた。
 源助はお札よりも薬で怪我を治そうと思い、盤嶽に膏薬を買ってきて欲しいと言う。薬屋の前で盤嶽を見たお蝶は、「源助さんは信心が足りないから治らない」と言う。そして盤嶽にも、「お札を貰えば仕官の道が開ける。近いうちに幸運が訪れる」と言うのだ。
 その直後、盤嶽は道で百五十両もの大金を拾う。すぐに落とし主が出てきたが、岡部藩勘定方、花房寅之助(芦屋小雁)と名乗る武士は、「公用金を江戸に届ける途中だ。後日訪ねて来れば、この礼に仕官の世話をする」と言った。どこかでその言葉に期待してしまう盤嶽である。
 清兵衛が久左衛門に、お糸と一緒になって「お告げ商売」をするように持ち掛ける。ただしお蝶と別れるだけでは駄目で、「始末しないと」と言うのだ。久左衛門は応じた。
 「正直庵」に信者が集まっている。久左衛門が熱にうなされながら、「神のお告げだ」と言い、「この中に災いをもたらす者がいる」とお蝶のことをじっと見る。迷信というものは恐ろしい。これまでお蝶を神のように思っていた宿場や近在の人間が、お蝶に石を投げ、後を追いかける。その裏で、清兵衛たちがいろいろと画策してもいるが。
 久左衛門がこれまで貯めた金を持って、お糸と姿をくらました。追い詰められたお蝶は初めて、自分が人をだましてきた報いが来たのだと悟る。それでも、「自分には久左衛門が必要、連れ戻してほしい」と盤嶽に頼むのだ。
 盤嶽が活躍して清兵衛一家の悪だくみは失敗する。不思議なことに、お蝶を殺そうとまでした久左衛門が、またお蝶と旅に出る。「男と女とは何だ」と考え込む盤嶽である。
 岡部藩主に花房寅之助を訪ねた盤嶽は、寅之助が公金を横領して逃亡中なことを知る。また騙されて、それでも旅を続ける盤嶽である。
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出演者

阿地川盤嶽・・・役所広司

お蝶・・・・・・・・・・桃井かおり
清兵衛・・・・・・・・石橋蓮司
久左衛門・・・・・・國村隼
源助・・・・・・・・・・梨本謙次郎
おりん・・・・・・・・広岡由里子
花房寅之助・・・芦屋小雁

スタッフ

企画
  能村庸一
  西岡善信

原作
  白井喬二<山中貞雄シナリオ集より>

脚本
  中村努

音楽
  谷川賢作

プロデュ-サ-
  遠藤龍之介
  保原賢一郎
  西村維樹

監督
  田中幹人

制作
  フジテレビ
  映像京都

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