『お香道って何ですか?』 2009年05月08日

春爛漫!東京でも先日まで桜が咲き乱れ、春の訪れを身体いっぱいで感じられる季節となりました。
思い起こせばウン十年前。まだ皮の匂いがプンプンするピカピカのランドセルを背負って、風にサワッと揺れる桜のトンネルを「まるで夢の様な景色だな」と見とれながらくぐり抜け登校したのを覚えています。
薄ピンク色も集まると圧巻ですよね。
温暖化が叫ばれる中、この4月の入学・入社シーズンに5分咲き〜満開を迎えられたのは、昔と変わっていない証拠なのね、と胸を撫で下ろします。

目でも口でもいと楽し
このシーズンはお茶菓子でも「桜」。口にしてしまうのがもったいない程の美しさに惹かれます。

先日、フジテレビでも入社式が行われ、新たに4人のアナウンサーが仲間に加わることになり\(^^)/その様子に、思わず13年前の自分の姿を重ねてしまいました。
何をしてもドキドキする、社内が常にアウェーな感じのあの独特な不安感が懐かしく、思わず郷愁にかられました。今年度もあの頃の“初心”を忘れずに過ごすよう努力しよぅ〜と。

香炉
さて今回は、そんな桜の雅さにも通じる、ある芸道をご紹介しようと思います。
日本には古くから「三大芸道」、「茶道」「華道」と、「香道(こうどう)」があります。
茶道や華道に比べると、残念ながら香道は知名度も周知具合も今一つですね。
「なんだかお硬そう・・・・」と思いきや、“香りを嗜む(たしなむ)心”さえあれば、来るもの拒まず、誰でも受け入れてくれ、万人が楽しめる芸道だと実際にやってみて思いました。


お点前中
かなりザックリ香道(組香)をご紹介すると、6種類のお香の組み合わせを聞き分ける遊びで(“嗅ぐ”とは言わず“聞く”というんですって。お上品!)、香元(先生)が決めたテーマの香りから浮かぶイメージ(和歌や古典文学など)を大切にし、何の香りがどの順番で回ってきたかを当てるという、かなり“ゲーム的要素”の強いものです(その他の遊び方もあります)。
もともとは、室町時代末期から広まった公家のお姫様たちの宮中遊び(流派によっては武士の遊び)だそうで、当時は一日をかけて催したというから、1分1秒の世界でせめぎあっている我が業界の人たちから比較すると、気の遠くなりそうな優雅さです。

香炉を右手で覆い、親指と人差し指の間から3回程聞く 吸った息は脇に逃がします
では、実践です。
基本となる香り(テスト香)AとBが廻ってきたとします。その香りを覚えておいて、その後、香元がテーマに沿って選んだお香がいくつか廻ってきます。それがAとBどちらのお香で、どういう順番で廻ってきたかを当てるというもの。
実際にやってみると、心得の無い私でも意外と当たり、実に単純な遊びだけど、正解すると予想以上に嬉しいものなのだとわかってきました。

これでちょっと自信が出たところで、次は「源氏香(げんじこう)」と呼ばれる難易度の高いゲームに突入!これが若干芽生えかけた自信を、あっという間に喪失させるのです・・・・・トホホ。

源氏香の構成式とお香の御名

源氏香の図案
5つ廻ってくるお香の何番目と何番目が一緒だったかを当てるもので、源氏香の正解は52通りの香りの図案(葵、若紫、夕顔など)と決まっています。 54帖からなる源氏物語のうち、52帖の巻名と同じ名前の付けられた図案のどれに当てはまっているかを導き出すというもの。

匂いには敏感過ぎる程の嗅覚の持ち主である私は、「まぁ、そこそこ当たるだろう」と自信があったのですが、それでも一箇所間違えて、残念賞。お隣に座っていた“香りのプロ”、ソムリエの先生でさえ一箇所間違い、すっかり自信喪失してお帰りになっていました(笑)。


元々、長年通っているフラワーアレンジメントの先生のご紹介でこの席に呼んでいただいたのですが、何故先生がこうまでハマッているのかが、このときようやくわかりました。全問正解できなかった悔しさが、香道にハマらせていくのですね。たった6種類の 香の組み合わせなのに・・・・・そのくらい全問正解は難しいことなのです。
悔しさがハマらせるのですね。
やってみてわかりました。
皆で楽しみました

香之記。当たっている人だけがもらえます。
見事正解した人には、香元から香之記(こうのき)という成績表がいただけます。ハズレてもらえなかった人は羨望の眼差しでそれを見ます(笑)。
文章で説明してもなかなか伝わりにくいとは思いますが、からくりとしては非常に良く出来たゲームです。
しかもこの源氏香の符号は52パターン全て違い、日本国内だけでなく、世界的にも、優秀なデザインとして広く使われているんだそうです。
落雁(らくがん)にも源氏香図。
左黄色「須磨」。左灰色は「手習」。
香道後のお茶は和みの時となりました この日のテーマに合ったお菓子たち

この日は大きなお座敷で総勢20名強でお香道を行い、それはそれは圧巻でした。 雅なお遊びの後は、みんなでお茶とお菓子を頂き、時空をちょっぴり飛び越えた感覚を味わいました。 それにしても和室には、着物姿の女性が、よう似合いますなぁ。はんなり。
庭園もキレイでした