『八百屋さんでの発見!』 2007年10月17日

三連休の最終日。この日も仕事だった私は、帰路、夕食の買い物で混み合っている駅前のスーパーに足を踏み入れる元気も湧いてこず、スーパーを素通り。
家にあるもので夕飯を作ろうか・・・・・と思ったが、それにしては食材が足りない。
「そうだ!こんな時こそ、これまで行ったことのないあの八百屋さんに行ってみるかな」恐らくこのエリアで古くから営んでいるであろう、いわゆる路面の八百屋さんが家路にある。行ってみると、そろそろ店じまいの時間だったのか品物も薄くなってきている。「結構売れてるみたい!」店の中に入ると、ハリのある葉っぱ。品物は良いみたいだ。

「ジャガイモくださ〜い」と言ったら「お姉さん、何作るの?」と店のおばさんに聞かれた。なんでそんなことを聞くのかなぁ?私、もしやすごーく料理しなさそうに見えたのかしら?なんて思いつつ「カレーです」と言うと、「じゃ、これでいいね」とメークインを渡してくれた。
その他、ついでとばかりに、にんじん、玉ねぎ、レタス、きゅうりも買い、結構な量に。そして帰り際、出口の脇に気になる物体を発見!初めて見る物。
黄色いアメリカンフットボールのような楕円形の物体で、果物なのか野菜なのかさえわからない。


これが糸うり!
「これ、何ですか?」
「糸うり。今度チャレンジしてみて下さい、秋の食いもんです」と今度はおじさん。
イトウリ?秋の食べ物なんだ・・・・知らなかった。この機を逃したら来年まで、いや、一生食べない気がした。
次の瞬間、その糸うりを手に取っている自分がいた!
「これ下さい・・・・・あの〜、どうやってこれ食べるんですか?食べ方が全くわからないんですけどぉ」すると
「私ら年寄りなんかは酢の物にしてさっぱりと食べるんだけどね。なんでもいいのよ、なんでも」と言う。そ、それじゃ、アバウト過ぎてわからない・・・・・と思いながらも単に興味本位で購入してしまったのでした。


さあ、そこからが大変。いざ料理するとなると瓜系だけあって、皮の硬さは南瓜級!別名「そうめん南瓜」というのもうなずけます。包丁の刃がなかなかたたず、全体重をかけて、ンッ!!切れた!

パカッ
中には南瓜やニガウリ(ゴーヤ)のような種が詰まっていて、まずはこれをえぐり取る作業から。身がグルグルととぐろも巻いたように渦を巻いているのがわかります。一見するとミルフィーユケーキみたい。しかしその身を指先でほじってみると、その名の通り、細い糸状の身がポロポロと取れるではありませんか。
「なんじゃ?この食べ物は????」
グルグルグル そうめん南瓜とはNICEネーミング

実家でも食べた記憶はないのだが、困った時は年の功。母に電話してみよう!
「ねぇねぇ、糸うりって知ってる?」
「イトウリ?何それ??」うわー、実にダメっぽい。傍で祖母の声も聞こえる。
「そうだ!おばあちゃまにも聞いてみて!」
「モゾモゾモゾ・・・・・・おばあちゃまも知らないって」
ガーン、The end。仕舞いには
「どうやって食べるか分からない物は買わないの!!」と怒られる始末(笑)。
だって〜、今買わなかったら一生知らないまま死ぬかもしれないじゃない。そんなのつまらない!そこに酒井順子さん著の「負け犬の遠吠え」の一文が甦ってくる。高い寿司を知らなければそれはそれで幸せに暮らせるのに、負け犬は知らないものを知りたがり貪欲に知識の幅を広げて生きようとする・・・・・。そ、それって私!?

このままでは明らかに食べられないと察知し、よくわからないなりにとりあえず茹でてみることにした。割合と大きいので、南瓜を煮る時の様に小分けにしてドブンと沸騰したお湯の中へ。
小分けにして・・・
とにかく正解がわからないのだから、自分がどこを目指して進んでいるかもよくわからないのであります。
お湯の中へドブン!グラグラグラ
20分後、なんとなく煮えたっぽい雰囲気が漂ってきたのでお湯から揚げてみることにした。
さてはて、これをどうすればいいんだろう???
「柔らかくなっている・・・・・けど、これをどうすればいいんだろう?」ザルに揚げられた彼らと腕組みしながらにらめっこ。
「ひとまず駄目もとで、身をほぐしてみますか!」大きめのスプーンでホジホジ、こそげ取ってみた。

手でポロッほぐれます
するとひも状のものが沢山、取れる取れる!この写真でみると、細く切った沢庵みたいに見えますね。

一体どんな味がするのか恐る恐る試食してみると、ジャリジャリ、シャリシャリ♪
とても繊維質な音。まるでお刺身に付いてくる大根のつまの様な食感で、味はほとんど無し。強いて言えば、栗のようなホクホク感と若干の甘さがあり、「容姿・味共に随分変わった食べ物だな」というのが率直な感想。

まるで沢庵みたいね

糸うりのおひたしの出来上がり
このままでは味が無く食卓に上れないので味付けをすることにした。その日の調理方法は、大根のつまからヒントを得て、お醤油と鰹だしをちょっと混ぜ、和えものに。「うん、なかなかいける!」

その晩の主人の評判も上々でした「これ美味しいじゃん!」と。


MYエコバッグ持参で今日も買い物に行く のであった♪
今回、糸うりが私に思い出させてくれたことがありました。それはコミュニケーションの楽しさ。
今思い返せば「お姉さん、何作るの?」の質問は、そのジャガイモの種類が作りたい料理に適しているかどうかを知りたかったのだと分かるし、「秋の食いもんです」と言われなければ決して手を伸ばさなかった「糸うり」もそう。野菜・果物に関して色々と教えて貰ったりと発見もありそうで、再び八百屋さんを訪ねる楽しみができました。平成の世にも昭和っぽいよさをもう一度。
エコとは直結しないけど、コミュニケーションの大事さを改めて知った出来事、ちょっとご披露でした。