『自然から季節を知る時代はもう終わったの?』 2006年12月01日

2006年も残すところあと1ヶ月を切ってしまいましたね、みなさんお元気ですか。
私が一年で一番好きな季節“秋”が到来。食材も景色も申し分ない、とても爽やかな気持ちのよい季節です。
でも今回は爽やかな・・・・・・と手放しで喜べないある事柄についてフィーチャーしてみます。予(かね)てから叫ばれている“地球温暖化”を目に見える形で実感した話しについて、です。

温暖化の怖いところは、目に見えない形でゆっくりと進んでいて、後から結果として私たち動植物にドカッとふりかかってくる点。

紅葉がここ50年で半月遅れているというデータが最近出ていました。これも地球温暖化の余波と言われていて、このまま行くと暦と植物のサイクルは完全に崩れてくると囁かれています。
この“50年で半月遅れ”というペース。単純計算すれば、10年なら3日の遅れ。「10年で3日遅れって大した事ないじゃない。まあ誤差みたいなものでしょ?」とも一見思えますが、実際に誤差の範囲の話なのでしょうか?


初等科の中庭もまるで森のよう。
木陰に入るとひんやり涼しかったな

4年間走り回った
成城のグラウンドは
こんもりと木々に囲まれていました
(右から3人目が私)
私が幼稚園から大学まで18年間通った東京・世田谷区の成城学園は、23区内にありながら非常に自然豊かな美しい所でした。
草むらに潜んでいたヘビを踏んでしまったり、藤の巨木に木登りをして遊んでいたら、木の皮の裂け目からとんでもない大きさのムカデが出てきたり、校内を流れる川の河川敷に降りてザリガニ釣りをしたり。実に長閑ですよね。

春には淡いピンクのさくらのカーテンがはらはらと舞い、夏には青々と茂った緑のトンネルをくぐりぬけ、秋には銀杏(いちょう)並木が山吹色に色付き、足下もカサカサという音をたてながら一面黄色の海と化す。そして冬になると校内の池には氷が張り、植物という植物は茶色一色の世界を作り出します。

こうして季節の巡りを葉の色で知り、目で覚え、匂いで確認しながら、肌で感じ大人になったわけですが、例外なく、この地にも温暖化はやって来ていたことが母の話から最近判明しました。

銀杏やもみじの紅葉といえば11月というのが私の幼少時からの記憶で、毎年恒例11月3日の学園祭の時には学校へ通じる銀杏並木が黄色い落ち葉で覆われていたのをよく覚えています。母の話によると、私が小学校4年生(1983年)の頃までは間違いなくそうだったと言います。

'78年、さおり4才の冬

'80年、10月だというのに後ろの木がもう色付いてます。私のジャンプは単なるおまけです(笑)

黄色の服とマッチ!秋ですね、
'81年、家の桜も紅葉です

美しくも悲しい、12月の紅葉たち
次にこちらの写真をご覧下さい。ドラマの撮影でもよく使われる東京・外苑前の絵画館前・並木道で学生最後の冬(1995年12月8日)に撮影したものです。
上記の頃より約10年経過。やっとこの時期になって都内では銀杏の葉が色付き、紅葉のピークを迎えたことがわかります。



美しくも悲しい、12月の紅葉たち
そしてこちらは、上の写真から更に10年後の去年。2005年12月5日に、都内のあるお茶室のお庭で撮影したものです。
まだまだ紅葉が美しく、葉は落ちるでもなく枝にビッシリと付いていて、燃えるような紅の美しさに見惚れながらも、忍び寄る温暖化を「目に見える形」として報告を受けたような気がして震え上がったのです。



コノ風景ハ、本来ナラ秋デ終ワッテイルハズ・・・・・・
ヤハリ温暖化ハ日本モ例外デハナカッタノデスネ


さおり2才の春、
実家の八重桜は
咲くとこんなに色濃く、
たわわに
そして母はこうも言いました。「家の桜の葉なんて、ここ何年かろくに色付かないまま散るのよ」。
紅葉は昼夜の気温の差が大きければ大きいほど美しく色付くと言われますが、色付かないということは寒暖の差があまりなく、植物も「冬支度をしなければ!」というのを実感していないのでは?と思えます。





10年ナラ3日ノ遅レデモ、少シズツ季節ノ風物詩ガ変ワラザルヲ得ナイ状況ニ
陥ッテイルミタイ・・・・・・

悲しいことに、冬に紅葉とさくらが同時に見られる・・・なんていう無秩序な時代が、私たちの曾孫の代あたりには 実際に訪れてしまうのかもしれません。


またこんなこともありました。
山形県山形市出身の先輩アナ、武田祐子さんに聞いてみたところ、祐さんの小学生時分(25〜30年前)は雪の重みで屋根の雪降ろしが必要なくらい降り積もり、庭でかまくらを作って遊び、道路も圧雪状態で一面真っ白だったそうです。
ところが最近では雪降ろしの必要もなく、庭に降る雪では、作れても雪だるまがよいところ。道路の雪はすぐにシャーベット状になる程度しか積もらないといいます。積雪状況の違いから「確実に温暖化を感じる」と熱っぽく語ってくれました。

着実ニ、ソシテ確実ニ、地球ハ暑ク、ソシテ熱クナッテイル・・・
悲しいけれど、温暖化を完全にストップさせることは出来ません。
こんな大きな壁に太刀打ちなんてできないとめまいすら覚えます。でも、少しでも温暖化をスローダウンさせるために、身の回りで出来ること(二酸化炭素排出削減など)は今後も継続してやっていこうと、今回の件でまた思ったのでした。
例えば、くじ引きや景品などであまり趣味でない物が当たってしまう場合がありますよね。ゆくゆくゴミとして捨てることになり、燃やして二酸化炭素を生み出してしまうくらいなら、最初から貰わないようにするとか。過剰包装もそう。ゴミを増やすだけなので店頭で断っています「ごく簡単にして下さい」って。そうしたらゴミそのものも、捨てる手間も、両方減り楽になりました。
以前は毎日乗っていた車も、CO2削減のため、最近では公共の乗り物を使うように心がけています。そうしたら、貴重な化石燃料を過度に消費しない上、以前に比べて給油 をしないことで家計も助かり、移動中に読書の時間が生まれ、一石四鳥!
個々で出来ることはちっちゃくても、全ては積み重ね。
各季節のよさをそれぞれに楽しみたいですから、私は今後もやっていきます♪

5月はバラも咲き競います

夏には父に教えてもらいトンボやチョウ、バッタの
虫取りをよくしました。自然が豊かなのって素晴らしい