アナマガ

塩原恒夫アナウンサーのコラム「私のベストムービー」

2010年01月13日号

【編集長より】
さあ、今年もやってきました。塩原アナの、恒例!年間映画ベスト10。
しおチャンから来た今年の年賀状のコメントは
「今年は150本行きませんでした」。
って、競馬・F1・フィギュアスケート…主な仕事がスポーツアナウンサーでありながら、劇場でこれだけの新作映画をみてるなんて、ホント奇跡の人、ヘレンケラー級映画マニア。
さあ、しおチャンの今年のランキング、洋画、邦画別に発表です!!

フィギュアスケートで選曲されることが多い「シェルブールの雨傘」をスクリーンで初めて見た。雪の降るラスト、カトリーヌ・ドヌーヴの美しさを際立たせるミシェル・ルグランの名曲、映像の確かさにため息が出た。
今年は、半年にわたって「邦画の達人」というコーナーを担当させてもらい、過去の名作を振り返る機会に恵まれた。来年は、シネコンを中心に世界の代表作をチョイスして公開してくれるとのこと。まさに、ふるきをたずね…である。
とはいえ、あたらしい作品もしっかり押さえておかねば!の2009マイ・ベスト10です。

洋画ベスト10

10位『モンスターVSエイリアン』

怪獣映画へのオマージュにあふれる愛すべき一編。3Dで見なくても面白い。
正直、メガネは疲れます…ピクサーもいいけど、カッツェンバーグも忘れるな。

意外な高評価。私は、アニメを怪獣映画として楽しめないのです。

9位『きみに微笑む雨』

主人公二人に対して、前半は上から目線。中盤からヒロインに心を掴まれ、ラストでは、涙・涙の韓流ファンに同調しての劇場体験。ホ・ジノ監督にやられました。

8位『ジャック・メスリーヌ社会の敵No.1と呼ばれた男 Part1ノワール編』

Part2とあわあせて4時間半近く。アメリカのパブリック・エネミーと公開が前後し、ちょっと損したかな~?フランス暗黒界ものは、緊張感にあふれる。

通好みのしおチャンらしいチョイス。私は未見の2本。

7位『007/慰めの報酬』

前作と対をなすという制作陣の挑戦は、評価に値する。でも、画面が暗すぎる!
「ゴールドフィンガー」は、もっと鮮やかだったよ。幕切れは、よかったです。

っていうか、アクションが激しすぎて、話の展開が早すぎて、「今、誰とどこで戦ってるの?」という感じじゃありませんでした?(^_^;)

6位『イングロリアス・バスターズ』

タランティーノは、映画界のスティーブン・キングだ。自身が過去に親しんだ場面や音楽を作品に織り込み、新しい創造をはたす。語るべきものを描き続けるのだ。

5位『スラムドッグ$ミリオネア』

あまりの構成の巧みさに、ズルいと思ってしまうくらい。アカデミー賞授賞式までやりすぎだよ~インドの力をしっかりと示したファイナル・アンサーに拍手。

ほんと、あのクイズをこんな風に物語るなんで、面白すぎて、時が経つのを忘れました。

4位『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

この題材は、ティム・バートン&ジョニー・デップの世界なのでは?上映時間も長すぎやしないかなどと不満を抱きながら、何故か印象深く居心地のいい寓話だ。

ほほう、結構異論も多いこの作品、しおチャンかなりの評価です。

3位『フロストXニクソン』

作品鑑賞の翌日に、日本若手人気女優へのインタビューを担当した。自らに言い聞かせたのは、「フロストになるなよ」。アナウンサーにとっての仁義なき戦いです。

私、沢尻エリカにインタビューしたとき、「フロスト・ニクソン状態」になってました(^_^;)。その翌日、「別に」事件発生です。

2位『母なる証明』

この作品を観る前は、ここに「チェイサー」がはいってもと決めていた。でも、"母"にカメラ目線でいきなり踊られたらビックリしますよ。恐れ入りました。

えー!ちょっと!だったら、チェイサー入れてくださいな。お気にいりなんですから私の。で、ランキング10位にもチェイサーを入れないしおチャン。ランキングってほんと不思議な決め事です。

1位『チェンジリング』

2009年の早い時期に、これだけ完成度の高いハリウッド映画をぶつけられると、それだけで幸せになる。ハリー・キャラハンのほくそ笑みが、影のように全編を支配する。間違いなく、アンジェリーナ・ジョリーの生涯を代表する作となった。

異議なし!「グラントリノ」もよかったけど、やっぱりこの作品はいい。

『フェイクシティある男のルール』、『チェイサー』

邦画ベスト10

10位『わたし出すわ』

小雪演じるヒロインは、何ゆえに“お金”を出すのか?森田脚本・演出と舞台の函館の空気が、見事にドラマを包み込み、さわやかな奇跡をみせてくれた。

9位『20世紀少年<第2章>最後の希望』

<第1章>は、原作ファンに遠慮をしたか、それ以上でも以下でもなかったが、堤ワールドと"ともだち"になった本作は、最終章への橋渡し役をしっかりはたす。

若いなあ、私なぞ、登場人物の多さや、急な展開に
もう「2」でおいていかれる感じでした。(^_^;)

8位『曲がれ!スプーン』

「ロボコン」以降、こんな長澤まさみが見たかったのだ~。「サマータイムマシン・ブルース」も面白かったし、ヨーロッパ企画のステージは、いつかきっと!!!

舞台版は、映画から"しみじみ感動パート"を省いて、超爆笑コメディになってました!どっちも楽しめた。

7位『ちゃんと伝える』

園子温監督が、これまでのイメージとは違う作品を発表。タイトルどおりに、その意思は伝わった。父と子で手をとりあっての釣りシーンは、いつまでも心に残る。

6位『旅立ち~足寄より~』

歌の力、真実の強さに勝るものなし。松山千春さんのストレートな成功ものではあるが、大東俊介が堂々と演じきる。「ジャンクSPORTS」だけじゃない。

さすが、さすがです。この小さな大感動作を見逃していないしおちゃん。

5位『沈まぬ太陽』

今年いちばんの期待作!困難を乗り越えて世に送り出したことに意義がある。あらためて、時代が作り出す映画ってあるのだと実感。休憩時間が、なつかしかった。

同感。去年の特筆に値する作品でしょう

4位『風が強く吹いている』

すべて架空のチームで、どうやって箱根駅伝が再現できたのか?沿道の声援に、俳優ランナーの力走~監督デビューとは思えないつながりの魔法・タスキの力よ。

寄せ集め部員が箱根を目指す、嘘みたいな(石油採掘男が宇宙で活躍する「アルマゲドン」級の)話。なのに、なのに、素直に感動できる。嘘みたいなスポーツ感動作。やっぱり入れたか。

3位『剣岳 点の記』

大自然の景色だけに頼らない、物語を描くのだという気合をスクリーンから感じた。エンドクレジットの表記といい、日本映画の精神を思い出させてくれた。

発売中のDVDには、私と木村大作監督のコメンタリーが収録されています。これが、激しく面白い。是非!

2位『ゼロの焦点』

清張ミステリーが、ヒッチコック・タッチで甦る。現代を代表する俳優陣のがんばりもあって、大満足です。犬童監督、しばらくこの路線で楽しませてください。

モンスター映画としても迫力満点。人生を清算してゼロからやり直す。時代の空気と清張テイストを見事ミックスさせていました。

1位『ディア・ドクター』

西川美和監督の一作毎の加速的進化は、予想を完全に上回る。主題もしっかり、語りもじっくり、場面は記憶に刻まれる。主人公の表舞台から消えるあざやかさ~あっぱれ!

やっぱり。もうこれには文句つけられません。素晴らしかった。田舎の医者ドラマは普通は「Dr.コトー」になるんだが、そうならない凄さ、です。

『誰も守ってくれない』、『フィッシュストーリー』

【編集長のひとりごと】
いかがでしたか、見事なランキングだと思います。
偏らず、楽しく、面白く、そして通好みでもあるしおチャンのランキング。
来年もお楽しみに。
参考として、軽部アナ・笠井アナの「男おばさん映画ランキング」もどうぞ。

  軽部アナ軽部アナ 笠井アナ笠井アナ
1位 チェンジリング アバター
2位 60歳のラブレター 沈まぬ太陽
3位 コネクテッド チェンジリング
4位 ダウト チェイサー
5位 あの日、欲望の大地で コネクテッド

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