NONFIX過去放送した番組

2000年5月24日、ストーカー防止法案可決。そしてこの秋、この前代未聞の法律が施行されます。 何が前代未聞なのか。それはこの法案に表記されています。

「何人もつきまとい等をして、その相手方に不安を覚えさせてはならない。つきまとい等とは、特定の者に対する好意、恋愛感情が満たされなかったことに対する怨恨感情を充足する目的で、その者の名誉及び身体の安全を著しく害する好意を言う。」

これはすなわち、"人の恋愛感情を法が裁く"という事でもあるのです。
体を張ってストーカー対策をしてきた男、山崎はるか。彼にとってこの法律は、彼が今まで行ってきた行動をすら否定しかねないものでした。
「本物のストーカーを知らない者がストーカーを法で罰することができるのか。する側、される側、お互いの理由を聞かずに、一方的にストーカーを「悪」と決めつけていいのか」彼が繰り返し述べてきた主張。しかし世間の風潮は、より凶悪化するストーカー犯罪に対する明確な対応策を求め、彼が望んだ方向とは逆の方向へと進んでいったのです。
それでも変わることなく、ストーカーに関わろうとしていく山崎。彼はどこに向かっていくのでしょうか。

今回の番組では、実際にストーカー行為を"行わざるを得なかった"人達の思いを、より深く掘り下げてみたいと思いました。自分の思いを告げられないまま、道を見失ってしまった人達の言葉を聞いてあげてください。

誰か私を止めて

2000年1月、山崎の元に寄せられたメール。それは「自分がストーカーになってしまった」女性から助けを求めるメールだった。
結婚の話まであがっていた彼。彼と一緒にいたいから、彼と一緒に同じことをしたいから、80万以上のお金を使い、頑張った。 でも、自分の友人に彼を盗られてしまった。 「なぜ、どうして?」果てしなく続く、答えの出ない疑問。 いつまでも幸せだった昔の思いにとらわれたまま、気付いた時には、彼の家の周りを徘徊する彼女。しかし彼は彼女との接触を拒み続ける。このままでは自分がどうなってしまうか分からない。
彼女の自宅を訪れ、カウンセリングする山崎。 自分ではどうする事もできない思いを抱えたまま、ストーカーにならざるを得なかった彼女。 山崎は言う。「それはもう昔の事だよ。今の時間、今の自分を大事にしようよ」泣き崩れた彼女だった。

一緒に死にましょう

別れた女性から執拗なストーキングを受けている男性からの依頼。
彼女から送られてきた脅迫メール。「あなたを殺して、私も死にます。一緒に死にましょう」
事態を憂慮した山崎は、依頼者を実家に避難させ、被疑者である女性をスタッフと共に尾行する。
尾行しているスタッフの位置を示すGPSナビゲーションを使って、様子を見る山崎。
やはり彼女は自宅方面には向かわず、被害者の自宅方面に向かっていった。
依頼者宅に急行する山崎。そして自宅前で、彼の部屋へ向かっていく彼女を発見。
彼女は彼の部屋のドアの前で暴れ始める。それをなだめるように、山崎が近付いて行く。
少し落ち着いた彼女を自分の車に乗せ、ゆっくりと話し合う二人。
やがてぽつぽつと彼女が語りだした言葉。「あたしがこんなに好きなのに、この気持ちわかってくれたら、戻ってきてくれるかも知れないって…でも一人じゃいられなくて…寂しくて…」

山崎の新しい挑戦「ストーカー問題審議委員会」

今まで個人で行ってきたストーカー対策を、組織化して行う事を計画した山崎。
仲間達と非営利法人「ストーカー問題審議委員会」を、東京都の認可を受ける形で設立する。
これは「ストーカー防止法」に第8条に記載されている「国や地方公共団体はストーカー防止の為の活動を行っている民間組織を支援しなければならない」という条項を受けて、自分の活動を公的なものにし、警察組織に対して少しでも発言できるようにしたいという願いからのものである。
こうして、彼の新しい闘いが始まった。

ネットストーカー

某出版者の編集長が主催するホームページ。そこには精神病に悩む女性達の為の伝言ページがある。
そこにナンパ目的で入ってきた男性。彼女達に猥褻画像を送りつけ、執拗なまでにアポを取ろうとした結果、出入り禁止に。
その直後から、嫌がらせメールや脅迫文などが連日、主催者の元に届けられるようになった。
依頼を受けた山崎は、嫌がらせによるネットストーキングについては弁護士を通じての民事訴訟を勧めた。低レベルかつ卑劣な行為に、被疑者とのカウンセリングは不要と判断した。
弁護士の方も、今回のような事案の扱いに困り、山崎に相談を求めた。山崎もできる限りのアドバイスをしたのだが、警察側との足並みが揃わず、事態は長期化の様相を呈し始めた。

遠距離ストーカー

三重県出身の女性からの依頼。実家にいた頃付き合っていた元彼が、毎週末遠路はるばる東京にまで出てきて、嫌がらせをしていると言う。
今付き合っている彼が、元彼の親友。彼女は今の彼氏との遠距離恋愛を続けている。
郵便受けには、盗まれた今の彼氏との写真。今の彼氏の顔だけが、針で無数の穴を開けられていた。
そして毎晩のように続く執拗な嫌がらせ電話。
彼女を「ストーカー問題審議委員会」の女性スタッフの家に避難させ、山崎は彼女の自宅前で張り込む。
12時過ぎ。突然山崎が走り出す。追いかけるカメラ。山崎は不審な男に声をかける。
山崎の静止を振りきろうとする男。山崎は穏やかに、男に声をかけていく。
「いま何盗ったの?見せて」男の気持ちが静まるのを待って、山崎は男を車に連れて行く。長い時間をかけて語り合いながら、男の気持ちもほぐされていく。

■山崎はるか プロフィール

高知県出身 法政大学卒業。医療ソフト会社・ダイアモンドアプリコット社代表取締役。学生時代から趣味で「いたずら電話撃退」を始め、今ではインターネットストーカーをはじめ 年間100件近い被害者からの相談を受ける。

『ストーカーバスター (99.5.19 放送)』 >>

■プロデューサー
相澤聡一
■ディレクター
竹内康人
■制作著作
フジテレビ
■制作協力
共同テレビ