がんばっていきまっしょい
がんばっていきまっしょい
2005年9月13日(火)放送終了

番組紹介

【ストーリー】

『だいいちこー、がんばっていきまっしょい!』『ショイ!』
『もひとーつ、がんばっていきまっしょい!』『ショイ!』

 晴れやかな声が、体育館の中に響く入学式。その新入生の中の篠村悦子の顔は希望に溢れていた。受験の終わった春休み、ちょっとした家出の最中に見たあの光景が忘れられなかったのだ。瀬戸内の海に夕日が照らし出した4人漕ぎのボート。ピタッとシンクロし波を裂くオールの力強い導線が……。
 そして悦子は、始業式の後、職員室に駆け込んだ。『ボート、やりたいです!』……。『ボート部はあるけど、女子の部はないぞ』『じゃあ、作ります女子ボート部。作りたいんです!』悦子の、高校生活が今、始まった。

 悦子はもともと誰からも期待されていなかった。両親の関心は、京都の大学に進んだ優秀な姉がいつも独占していた。中3の追い込みの時期になって、猛烈に勉強し、何とか愛媛県立松山第一高に入学したものの、自分がびりっけつで、ぶらさがるようにして入学したことはわかりきっていた。
 おまけに、生来の負けず嫌いがたたってか、小さい頃からなぜか、まわりではトラブルばかり。インネンばかりつける女子の先輩と対決したり。あげく、ついたあだ名が『ヤバ姉』だ。“ヤバい”は愛媛弁で“強い”とか“怖い”ということ。とても、人様に自慢できる由来ではない。いくら『坊ちゃん』気質を受け継いでいる土地柄とはいえ、悦子のDNAは、少々、血の気が多すぎた。

 不安的中。さっそく悦子は落ちこぼれた。どの科目も、『雪だるま』状態。つまり、手も足も出ない状態。などと、シャレを言っている場合ではない。もうひとつ、ゆゆしき事態が発覚した。
 幼なじみの関野ブーこと関野浩之が同じ学年にいたのだ。これで、『ヤバ姉』伝説は語り継がれてしまう。高校生になったら、自分も『カップル』というものになって、松山城にのぼって、ロープウェーで手をつなぎ、町で唯一の繁華街、ラフォーレ原宿松山でジェラートを食べる、そんな淡い夢もくだけちった。

 ボート部のメンバー探しが始まった。八方手を尽くし、さまざまな事件を経て、ようやく集まったメンバーは、中崎敦子(通称ヒメ)、菊池多恵子(ダッコ)、中浦真由美(イモッチ)、そして、矢野利絵(リー)。渋々、条件つき、期間限定で集まってくれた仲間だ。

 目指すは、新人戦。しかしボートに乗ることすら出来ず、ひっくり返るわ、溺れまくるわ……。ようやく漕ぎ出だしたものの船酔い者も出たりと、さんざんの初出艇となった。あきれてみている男子部員たち。その中には、悦子の宿敵、関野ブーの姿もあった
。 やがて、落ちこぼれ女子ボート部は、けんかと和解をくり返し、そして、ボートへの真剣な気持ちを確認しあい、少しずつ、少しずつ、固い絆を結んでいく。

『キャッチ、オール!』
『整調!』
『ラスト、ごひゃくーっ』

 掛け声も、じょじょに熱をおびていく。やる前から、あきらめるな。傷つくのを、怖がるな。
 勝ち負けではくくれない、それぞれのゴール目指して、オールを握れ──!

 家族との葛藤。
 将来の不安。
 淡い恋。
 友情。

 青春時代のすべてを詰め込んで、悦子たちを乗せたボートは輝く海へと漕ぎだしていく──
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