第4回 2003年11月4日(火)放送 あらすじ

#4 消えたおいらん

 菊川座に四十年配の絵師(桑名湧)が逃げ込み、お染(若村麻由美)に会いたいと言うが、追っ手に斬られた。絵師は、「アヤギク…アヤギク…」と言って息絶えた。北川国秋という、吉川帯刀(古谷一行)配下の隠密だった。
 「アヤギク」は吉原井筒屋の花魁・綾菊のことで、行方不明になっている。帯刀はお染に、綾菊になりすまして情報を探るよう頼んだ。お染は花魁姿になる。井筒屋の主人久右衛門(芝本正)によると、綾菊はお忍びで来た和田倉三万石の大名・榊原淡路守に見染められ、お手つきとなった。いずれは身請けされるはずが一月前に淡路守が急死して、井筒屋でも困っていた。
 井筒屋に石室新十郎(内藤剛志)がいた。甚六(火野正平)と遊びに来たが金が足りずに働かされている。綾菊姿のお染を見て首をかしげたが、見破れなかった。綾菊の部屋に食事を運ぶ新十郎を哀れんで、お染は食事を振舞う。
 死んだ淡路守の父親の榊原無名斎(石橋蓮司)が井筒屋に来て綾菊を呼ぶ。綾菊の美しさにため息をつき、久右衛門に千両での身請け話を持ちかけた。息子が惚れた女を遊里に置けないというのだ。帯刀はお染に、この機会に藩の内情を探れと言った。
 藩からは、跡目相続の願いが幕府に出ているが、世継ぎは一歳の赤ん坊。しかも、淡路の守の正室、側室ともに、子供を生んだ形跡がない。国秋はこれを探って殺された。井筒屋から榊原家の上屋敷に行く時、お染は新十郎の借金を払い、自由の身にした。
 上屋敷で御局風の装束に身を包んだお染は、世継ぎの赤ん坊・虎之助と対面する。無名斎は、虎之助は淡路の守と綾菊との間の子だという。あわててその場を取り繕うお染である。そこに、無名斎の妹の尼・月春院(志乃原良子)が来る。さらに、無名斎の甥の榊原隼人正(鷲生功)と側近の垣内半兵衛(柴田善行)が、綾菊の姿を見に来た。
 無名斎の隠居所に滞在するお染が、突然踏み込んで来た侍に連れ去られる。隼人正の手の者だ。だが、急を聞いた無名斎は、「あの女には死んで貰わねばならぬ」と言う。
 隼人正はお染に、「自分こそは正当な後継ぎで、虎之助は淡路守の子ではない替え玉。本当の子は、その方が腹に宿している」と言う。隼人正がお染を斬ろうとするが、白刃をすり抜ける。その身のこなしに隼人正は驚き、綾菊ではないと知る。お染は捕らわれて小部屋に監禁された。そこに音次(片岡愛之助)が来て、お染を助ける。
 お染は無名斎の計画を見抜いた。綾菊でないことは承知の上でお染を身請けした。身代わりが殺されれば、本物は隼人正の目を逃れ、無事に世継ぎを出産できる。もちろん虎之助は替え玉だ。
 この推理を無名斎が認めた。本物の綾菊は月春院のところにいる。虎之助は寺の門前に捨てられた子だった。そこまでしたのは、隼人正は慈悲のかけらもない男で、藩主となったら領民に災いが及ぶと思ったためだ。
 お染には疑問が残る。もし綾菊が女の子を産んだらどうなるか。無名斎は、その時は替え玉に家を継がせる。大名は、家来を思いやり、領民をいつくしむ心さえあれば、誰にでも勤まると言うのだ。「酔狂もここまで来ればご立派。負けました」と、お染は笑った。
 隼人正の手の者が隠居所に押しかけてきた。お染は薙刀をふるって戦うが多勢に無勢。残るはお染、音次、無名斎の三人になった。そこに、音次の知らせを聞いて駆けつけた新十郎が加わる。滅法強く、半兵衛を斬り、峰打ちで隼人正を倒した。新十郎は、お染ではなく、綾菊を助けたと思っている。
 お染は帯刀に、虎之助は淡路守の子供で生母は綾菊に間違いない、と報告した。首をかしげる帯刀に、「鵜の目鷹の目で大名家を取り潰して何になるんです。浪人が増えるだけ」と言った。にやっと笑って納得する帯刀である。

キャスト

夜桜お染 … 若村麻由美
石室新十郎 … 内藤剛志
音次 … 片岡愛之助
笹原弥平 … 山崎銀之丞
甚六 … 火野正平

菊川春之丞 … 鏡味仙三郎(太神楽師)
菊川小太郎 … 鏡味仙一(太神楽師)
菊川春太郎 … 鏡味仙三(太神楽師)

おろく … 南條瑞江
あやめ … 亜路奈
文次 … 井手らっきょ

榊原無名斎 … 石橋蓮司

榊原隼人正 … 鷲生 功
井筒屋久右衛門 … 芝本 正

おたつ … 平 淑恵
吉川帯刀 … 古谷一行
ほか

スタッフ

■企画
  能村庸一(フジテレビ)
  西岡善信(映像京都)
■プロデュース
  保原賢一郎(フジテレビ)
  西村維樹(映像京都)
■脚本
  田村 惠
■音楽
  coba
■美術監修
  西岡善信
■監督
  杉村六郎
■制作
  フジテレビ
  映像京都

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