第9回 2005年3月8日(火)放送 あらすじ

#9 SOS!冬の嵐

 最近アイ子(国仲涼子)の元気が無いので龍平(深澤嵐)は気になって仕方ない。柾(瑛太)に相談すると「大人には色々あるんだよ」と言われてしまった。その柾は詩音(野村涼乃)から村の天文台に行ってみたいと言われる。ゆかり(白石美帆)によれば山の上にあるので星がとてもよく見えるが、この冬の季節に出かけるのはちょっと無理。詩音は残念がったが、柾は胸の内でひっかかるものがあった。父親である佐上校長(大杉漣)は分校存続のために懸命だ。その天文台を利用できないだろうか。
 数日後、柾はゆかりに付き合ってもらって天文台に出かけてみた。「山村留学の売りにできないかって思ってさ」。そして、自分も一度は諦めた教師に再びなれるかもしれないと。ところが天文台に着いてみると老朽化が激しく、隣接の観測所もかなり手を入れる必要がありそうだ。「甘かったなあ」。落胆する柾を見かねたゆかりは、仙台の大学教員の口を勧めてみた。「教師やるの、ここの分校じゃなきゃダメなの?」
 アイ子も職員室でうなだれていた。手紙を送った東京での教え子の母親から「もうウチの子にかまわないでほしい」と教育委員会に連絡が入ったらしい。「まもなく委員会から呼び出しがあると思います」。田所(筧利夫)はアイ子にそう伝えた。
 柾は天文台のことが諦めきれない。今度は1人で行こうと山道を上がっていくと、龍平を先頭にした子供たちと出くわした。詩音から天文台のことを聞いてみんなで出かける事になったらしい。「山は危ないって言っただろ」「行くったら行く」。結局子供たちに押し切られる形で柾が引率していくことになった。「天文台だ!」。子供たちは一斉に駆けていった。柾が天井の屋根を開くと青空が見えた。「きれい」。うっとりと見上げる子供たちの表情を見ているうちに柾もいつしか微笑んでいた。
 アイ子は緊張のあまり教育委員会の面々に自分の気持ちを伝えきれなかった。村に戻ってくるとナツ(風吹ジュン)が声をかけてくれた。「どうしたの?」。アイ子は自分の部屋にナツを招くと事情を打ち明けた。「何もできないまま終わってしまうのがつらくて」。半面それはアイ子の身勝手かもしれないという気持ちもあった。ナツはじっとアイ子の告白に耳を傾けてくれた。いつしか窓の外には粉雪が舞い始めていた。
 山の上では吹雪になっていた。視界がさえぎられてとても下山できない。観測所の中では子供たちが震えていた。「雪が止むまで我慢しような」。柾が見つけてきたランプに火をつけたが子供たちは元気がない。村の宿泊センターでは大騒動になっていた。「どこにも子供たち、見つかりません」。昭平(陣内孝則)と田所が再び捜索に出かけようとすると、美紀恵(滝沢沙織)の宅配車が通りかかった。「いつものお兄さんと山の方に行きましたよ」。
 観測所の中では柾が昭平からもらった3本のバナナを半分ずつに割って6人の子供たちに配った。子供たちに少し笑顔がよみがえると、柾は天文台にかける夢を語った。「天文台を見たい子供たちを集めたら分校をずっと続けられるだろ。そしたらみんなもまたここに遊びに来れるしな」。ランプの火が消えた。「みんな、もっと近寄って」。室内は闇に包まれた。「怖い」「帰りたい」。すすり泣きが聞こえてきた。「大丈夫だから」。柾は自分に言い聞かせるようにそう繰り返すしかなかった──。

キャスト

照崎アイ子(24) … 国仲涼子
矢吹昭平(40) … 陣内孝則
佐上柾(24) … 瑛太
旗 ゆかり(24) … 白石美帆
        ●
田所 肇(40) … 筧 利夫
        ●
中村美紀恵(24) … 滝沢沙織
        /
佐上欣也(57) … 大杉 漣
高木ナツ(51) … 風吹ジュン

スタッフ

■脚本
 永田優子

■プロデューサー
 重松圭一(関西テレビ)
 稲田秀樹(共同テレビ)

■演出
 三宅喜重(共同テレビ)

■音楽
 服部隆之

■制作
 関西テレビ
 共同テレビ

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