第1回 2004年2月3日(火)放送 あらすじ

#1 昨日の敵

 秋山大治郎(山口馬木也)と三冬(寺島しのぶ)の間に男の子が生まれ、小太郎と名づけられた。孫を持ったことに小兵衛(藤田まこと)は感慨無量だ。まだ若いおはる(小林綾子)は祖母になって複雑な心境だが、小太郎は可愛い。三冬の父の老中・田沼意次(平幹二朗)も喜んでいる。
 小太郎誕生から一年。一家に危機が訪れる。大治郎が道場近くで待ち伏せされ襲われた。刺客は三人。大治郎は井上権之助(武井三二)の顔を斬り、関山百太郎(松村雄基)の左肩を深く斬った。三人は逃げたが、関山は使い手で大治郎も腕を斬られた。
 そのころ小兵衛は、おはるが漕ぐ舟で大治郎を訪ねる途中だった。小兵衛は川辺に倒れている関山を見つけ、息子を襲った相手とも知らずに助け、舟で船宿の不二楼に運び医者を呼んで傷の手当てをさせた。
 一方の井上は、七助(掛田誠)という男の家に間借りをしているが、七助の女房と出来ている。怒った七助は、岡っ引きの弥七(三浦浩一)のところに駆け込むが、最初は夫婦喧嘩と相手にされない。だが七助が、井上は偽名を使うなど挙動不審のうえ、後をつけると大治郎の道場をうかがっていたと言うと、弥七の顔色が変わった。
 弥七は大治郎に会い、襲撃事件を知る。足を棒にして肩を斬られた関山を治療した医者を探し出すと、何と小兵衛が依頼したという。
 だが小兵衛には、関山が相手を待ち伏せするような卑怯な男には見えなかった。小兵衛は関山を訪ねる。母親のやす(長内美那子)と貧乏長屋での二人暮らし。関山が出かけた後で小兵衛はやすに話を聞く。父親は道場主だったが、百太郎がまだ子供の頃に死に、道場は閉鎖された。関山は道場再興を悲願に剣に打ち込んだが、夢は一向にかなわない。
 その後小兵衛は、近くの寺で稽古する関山に、誰と闘ったのかを訪ねる。秋山大治郎と正直に答えるのを聞いて、小兵衛は言葉を失った。大治郎に恨みはないが、五十両で雇われた。汚れた金でも道場を開いて世に出て、母にも楽をさせたい。そう語る関山だが、依頼主の名は言わない。小兵衛が、自分は大治郎の父だと名乗ると、関山は愕然とした。
 刺客がまた襲ってきた。今度は十人にも増えているが、関山はいない。予期していた大治郎と三冬が次々と相手を倒し、小兵衛も応援に駆けつけて井上を捕らえた。井上が、依頼主は岡部精十郎(四方堂亘)という、大身の旗本の息子だと白状した。
 岡部は、父親が将軍の側に仕える実力者なのを笠に着て、ごう慢不遜な振る舞いが多い。ある日、自分を田沼家の剣術指南役にするように意次に申し出る。意次は、既に大治郎がいると断るが、岡部は引かずに、ついに大治郎と立ち会う。勝負は大治郎の一撃で決まったが、岡部はそれを根に持って大治郎を殺そうとしたのだった。
 関山が、一対一の勝負を条件に大治郎と戦うと岡部に言う。道場を再興して母を喜ばせたいのと、剣をとる者として勝負したい思いが合わさっている。大治郎はそれを受けた。「小太郎のために勝って戻って」と祈るように言う三冬である。
 白刃がぶつかり合う死力を尽くした二人の真剣勝負となった。なすすべもなく決闘を見守る小兵衛だが、ふと気がつくと、立ち木の陰に岡部と弓を持った浪人がいて、浪人が大治郎を狙う。どこまでも卑怯な岡部である。小兵衛が脇差から小柄を抜いて投げ、矢はそれる。異変に気づいた大治郎と関山。怒った関山は、岡部を一刀で斬り捨てた。
 小兵衛はなおも闘おうとする大治郎と関山を止め、「勝ち負けは一時のこと。これよりは互いに技を磨くように」と言う。大治郎の紹介で、関山はある道場の師範代になった。楽しげに木太刀で打ち合い、語り会う大治郎と関山。昨日の敵は今日の友である。

キャスト

秋山古兵衛  … 藤田まこと
  ○
秋山大治郎  … 山口馬木也
三冬     … 寺島しのぶ
おはる    … 小林綾子
四谷の弥七  … 三浦浩一
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関山桃太郎  … 松村雄基
関山やす   … 長内美那子
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不二楼おもと … 梶 芽衣子
  ○
田沼意次   … 平 幹二朗
  ほか

ナレーター  : 橋爪 功

スタッフ

■原作
  池波正太郎
■脚本
  田村 惠
■企画
  能村庸一
  武田 功
■プロデューサー
  保原賢一郎
  佐生哲雄
  足立弘平
■美術監修
  西岡善信
■監督
  石原 興
■音楽
  篠原敬介
■制作
  フジテレビ
  松竹

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