偽りの花園
吉原のマダム
昭和十八年一月。顕彦が美禰子のもとを訪れ、ひかるともども親子水入らずで正月を過ごす。仲睦まじい父と娘に、美禰子の顔もほころぶ。二月。ユリエが吉原で、娼館「ミモザ館」を開業する。興味をひかれた寛治郎は店に顔を出す。ユリエは寛治郎を歓待し、娼婦の朱美を紹介する。その夜、ミモザ館に、若い客・隼一が来る。ユリエを気に入った隼一は、二百円でユリエを自分のものにしたい、と大胆不敵に交渉する。美禰子と再会してから、顕彦はユリエとの夫婦関係を拒否していた。顕彦の不倫を確信したユリエは、相手の女性を殺してやる、と嫉妬する。