花衣夢衣
運命の出会い
昭和28年、冬。真帆が金沢へ来てから3年が過ぎた。ある日、生地問屋から白生地の反物を預かって帰る途中、真帆は見知らぬ若者とぶつかり、反物を落としてしまう。真帆の美しさに見とれた若者は、いきなり真帆を路地へ引っ張っていくと、すぐに戻ってくるから待っていてほしい、と告げて駆けていく。その無作法さに憮然としながら、真帆は歩き去る。翌日、真帆は寺の境内で、偶然昨日の若者と顔を合わせる。新しく買った白生地の反物を取り出し、真帆に謝る若者。東京で呉服屋をしているという若者は羽嶋将士と名乗り、近いうちに必ず金沢へ来るからもう1度会ってほしい、と真帆に言う。