オンエア
どこの家にもあるもので火災が発生!
そんな火災を経験したのはこの人、福岡を中心に活動するマジシャン、ジミー菊地さん。
全く予期できない火災だったと、見事に火を操りながら教えてくれた。
菊地「こういうのをステージでやるので、火の管理には人一倍気をつけています。どこの家にもあるアレから火が出たらしいです」
今から5年前、営業に出かけるために、マジック道具や電化製品の安全確認を行い家を出た。
営業先でマジックの準備をしていると、消防から連絡が。
なんと、現在自宅が燃えているという連絡だった。
火の元には十分注意していたにもかかわらず、家を燃やしたものとは、一体!?
それは、使用後の乾電池。
これこそが、出火の原因だったのだ!
容器にまとめて管理していた乾電池、1つの乾電池のプラス極とマイナス極が同時に金属と接触すると、そこに電流が流れ、実は発火の恐れがあるのだ!
NITEによる実験映像、例えば、角形電池の電極が同時にボタン形電池と接触すると…電流が生じ、ボタン形電池が破裂、発火。
このような事故は、乾電池1つでも起こりうるそうで。
NITE「カバンの中に乾電池が入っていて、ネックレスを入れていたらそのチェーンでプラスとマイナスが繋がってしまって、火傷してしまった事故もございます」
使い終わった電池を保管する場合は、端子にテープを貼ると通電を防ぐことができるという。
他にもモバイルバッテリーなどに使用されているリチウムイオン電池は、高温になると発火の恐れがあるため、注意が必要だ。
続いての経験者は…松竹芸能所属、デンドロビームのカモシダせぶんさん。
今から6年前の12月、消防から自宅で火災が発生しているとの連絡が入った。
カモシダ「火災報知器が鳴っていますので、家まで戻ってくださいという話を受けて、小さいボヤなのかなと思っていてタバコも吸わないし、アイロンをつけっぱなしとかでもない。火元がわからなくて不思議に思っていました」
すぐに自宅マンションに戻ると、驚くことに部屋は全焼!
クリーニングを行い、現在も同じ部屋に住んでいるカモシダさん。
カモシダ「うちのお婆ちゃんがお笑いを頑張って欲しいからと、2000万円でカッれくれたマンション。ホントすみません…」
今回、火災当日の部屋の様子を再現してもらった。
この部屋の中の何が火災を引き起こしたか、わかりますか?
出火原因は、テーブルに置かれたものです。
この部屋で、火災を引き起こしたもの…それは、鏡!
鏡で家が全焼…一体どういうことなのか?
カモシダ「鏡が収れん火災を起こしたんです」
収れん火災とは、太陽光が反射や屈折で一点に集まり、蓄熱して火災に至る現象のこと。
虫眼鏡で火を起こす実験も同じ原理だ。
カモシダさんの鏡は、中心が凹んだ拡大鏡だったため、光を1点に集めやすい形だった。
窓から入り込んだ太陽光が鏡に反射、1点に集まり、ソファから発火したのだ。
こちらは東京消防庁が行なった実験映像。
開始わずか30秒で炎が上がった。
火災鑑定人・山根さんによると、収れん火災は、日差しの強い夏ではなく、実は多いのは冬。
太陽の位置が低い冬は、部屋の奥まで光が届き、リスクが高まるというのだ。
収れん火災は鏡以外にも金魚鉢や、透明の吸盤、スノードーム、さらに、水の入ったペットボトルで多く発生している。
冬の収れん火災、家の中に危ないものはありませんか?
その謎多き火災は、福山雅治主演のあの人気ドラマ『ガリレオ』とも関係があるという!
今から29年前の7月、東京都調布市、中小企業の事務所から煙が出ているのを住民が発見し、通報。
幸いケガ人などは出なかったが、すぐに調査が行われた。
調査員「真夏ですが…状況から見て原因はこの石油ストーブかと…。ストーブの周りが、最も激しく燃えていますからね」
タンクには、灯油が3分の1ほど残っていたが、春に部屋の隅に片付けて以来、従業員は誰も触っていないという。
加えてこの日は休日。
火災発生時、事務所には誰もいなかった。
その後、消防署では、火災現場にあったものと同じ型のストーブを使って、分析を開始。
当時流通していた石油ストーブの多くはダイヤルを手動で回して芯を送り出し、ボタンを押して点火する方式のもの、これに対し、現場にあった製品は自動点火式。
スイッチを押すだけで、芯の調整から点火まで、全て自動で行われる方式だった。
さらに、子どもの誤操作を防ぐため、4秒の間に2回スイッチを押さないと点火しない安全機能付き。
直接人が触らない限り、点火するとはまず考えにくかったため、放火の線で調査が進められた。
そんな中、近辺で奇妙なことが起きていたことが判明した。 火災発生までの三週間の間に、自動ドアの誤作動が2件。 深夜、誰もいないはずの部屋で、蛍光灯が点灯が2件。 さらに ラジオの異常なノイズが3件。 テレビでも受信障害が5件、合計12件もの不可解な現象が確認された。 そこに、何か火災の原因を紐解くヒントがあるかもしれない。
ストーブに火をつけたものの正体。
それは…無線機が出す電波によるものだった。
電波とは、空気中を伝わる『電気の波』のこと。
この近辺で電波障害や、自動ドアなどの誤作動が頻発していた。
それは、なにか外部からの電気信号が、電気機器に誤作動を生じさせたのではないかと推理。
かつて、『航空機や医療機関では携帯の電源はオフ』が常識だった。
携帯電話の電波が、電子機器に干渉、誤作動を引き起こす可能性があったからだ。
現在は、電子機器の電波耐性も向上。
航空機での規制は大幅に緩和され、病院でも電子機器への影響が少ない場所では、使用が認められるようになった。
調査員が現場で目にしたのは…トラックに取り付けられた『アンテナ』。 当時、ドライバー同士で迅速に連絡を取り合えるということから、トラック無線と呼ばれるほど、連絡手段は無線機が主流。 しかし、一部のドライバーは、通信距離を伸ばすために改造を行い、違法な出力で電波を発する『違法無線』が社会問題となっていた。
しかし、火災を引き起こしたストーブは、電波を利用する機器ではなかったはず。
実は、その後の調査でスイッチと回路を繋ぐ配線、これがアンテナ代わりとなり、違法無線の強力な電波を誤って受信、回路に電気信号を流してしまったことがわかった。
さらに、近隣で発生していた不可解な現象も違法電波による誤作動だと判明。
こうした問題を背景に電波法が改正され、罰金が50万円以下から100万円以下に引き上げられるなど、違法電波の使用に対する罰則が強化された。
さらに、電化製品には、電波耐性を上げるシールドの取り付けなどが義務化された。
火災から17年後には、ドラマ『ガリオレ』で、この事例をもとにした事件が描かれた。
鍵のかかった部屋で、ストーブが突然発火。
隣の部屋で眠っていた人物が、一酸化炭素中毒で死亡する事件が発生。
物理学者・湯川が違法電波による誤作動が原因であることを、突き止めるというミステリーだ。
事実は小説より奇なり、まさにそれを地でいく、実際に起きた事故だった。