オンエア
今年5月、大阪市内のマッサージ店で謎が謎を呼ぶミステリアスな出来事が起こった。 業務を終えたスタッフは、LEDキャンドルなど、全ての電気機器の電源をオフに。 戸締まりも厳重に確認し、異常がないことを確かめた上で帰路についた。 しかし、この時 悲劇はゆっくりと忍び寄っていた。
4時間後、自宅にいたスタッフに連絡が入った。
店にスタッフが駆けつけると…店内は全焼。
消防によると火元は、店の中だという…一体 何が?
店長「消防の方が仰るには自然発火したと言われました」
火の気のない店の中で自然発火したもの、それは…タオル!
マッサージで使用する、アロマオイルの拭き取りに使っていたものだった。
油を拭き取っただけのタオルが、なぜ自然発火したのか?
元福岡県警、科捜研 科長で、現在は火災鑑定人を務める山根さんに話を伺うと。
山根「(マッサージで使用する)オイルは、植物油のものが多い。(オイルが)空気中の酸素と反応して酸化熱が発生。最終的には 発火する」
物質が酸素と結びつく過程で発する熱を酸化熱と呼ぶ。
身近な例としては、カイロがある。
中には鉄粉が入っていて、鉄の酸化熱を利用して体を温める仕組みだ。
マッサージで使用するオイルは、中に含まれる不飽和脂肪酸という成分が非常に酸化しやすいという。
一般的な使い方では、酸化熱がこもって高温になることはほとんどないが、今回の火災では、積み上げられたタオルの中で熱が逃げ場を失い…温度がどんどん上昇、最終的におよそ500℃まで上がり、自然発火が起きたと結論づけられた。
マッサージ用のオイルに限らず、サラダ油や塗料などにも不飽和脂肪酸が含まれており、自然発火の危険性があるという。
ただ、一点不思議なことがある。
店長「当時スタッフが近くのコインランドリーに洗濯と乾燥をしてもらって、それを(店に)持って帰ってきて置いていた」
オーナー「洗濯の時点で水に溶けて(油は)流れているはずだった」
年間、約2000件に及ぶ製品事故の調査・実験を行い、原因究明と再発防止に取り組む行政機関、NITEによると…洗濯をしても、アロマオイル油が落ち切らないケースがあるのだという。
さらに発熱を助長した可能性があるのが、乾燥機。
NITE「乾燥機にかけると(熱が)種火のような状態になり、酸化反応を促進し、最終的には発火してしまう」
アロマオイルが染み込んだタオルを洗濯・乾燥した実験では、乾燥機に放置すると熱がこもり温度が上昇、2時間後、乾燥機内で自然発火した。
今回のケースでは、乾燥機で温まったままのタオルを積み重ねたことで、より熱がこもり、発火したのだ。
油がしみ込んだ物は手洗いでよく油を落とし、風通しのよい場所に干すことで、発火のリスクを抑えることができるという。
続いて、今やなくてはならない、電子レンジ!
だが、使い方を間違えると、火災のリスクが!
ズボラ料理など、レンジだけで調理するレシピも流行っているが、中にはカップ麺に水を入れ、そのまま温める人もいるそう!
実際にやってみると…火花が散り、炎が!
容器にも引火した。
電子レンジは、電磁波で食品内部の水分子を振動させ、その摩擦熱で温める。 問題は、多くのカップ麺のフタに使われているアルミ。 金属の周りには電子と呼ばれる小さな電気の粒が自由に動いている、 水分子のかわりにその電子が激しく揺すられ、時に火花を散らすことがあるのだ。
ところで、そもそも火災の原因として何が一番多いのか?
5番目に多かったのは電気機器。
4番目に多かったのはコンロ。
だが、危険なのはガスコンロだけではなく…IHコンロも!
IHコンロを使い、少量の油で揚げ物調理を行うと…5分後、発火。
一体なぜ発火したのか?
NITE「少量の油で揚げ物調理をすると、温度コントロールをするセンサーの温度が上がるよりも先に油の温度が発火する温度まで上がってしまう。センサーの方が追いつかないんですね」
もちろん、ガスコンロでも油が少ないと同じ危険性があるため要注意。
さらに、カセットコンロも予期せぬ火災の原因に!
本来の使い方ではないが…大きな鉄板をカセットコンロ2台で加熱してしまうと、点火からおよそ13分で…爆発!
ボンベが鉄板の熱で温められてしまい…破裂を起こす危険性があるという。
鍋料理が美味しい季節だが鍋を置く位置にも要注意!
ボンベ側に寄せすぎてしまうと、破裂する危険性があるそう。
昨年の出火原因、3番目に多かったのは、たき火。
そして、2番目はタバコ。
出火原因で、最も多いのは…放火。
放火の疑いも含むと、年間でおよそ3800件。
山根「(放火は)ライターやマッチで火をつけるケースが多い、だけど 確実に火をつけようする場合、灯油が使われる。燃えるものがある所に 灯油をまく、古紙や布などは屋外に置かない、用心のために 消化器を玄関に置いておく」
しかし、家の中でも放火の被害に遭う危険性が!
それは、もふもふプッシュ!
ガスコンロに置かれたピザを食べようとした飼い犬。
コンロに足をかけ、誤ってスイッチを押してしまった。
炎と煙に驚き、逃げ出した犬。
火災報知器が鳴ったことで、間一髪、飼い主が気付き、消火することができた。
そう、もふもふプッシュは、犬や猫などのもふもふなペットがコンロなどのスイッチを誤って押してしまうこと。
オーストラリアで暮らすミックス犬のアーチー。
留守番をしながらソファーの上で遊んでいるが、実はこの時、噛んでいたのはライター。
すると…クッションから発火。
煙に気づいた隣人が通報、消防が20分後に到着し、消火。
部屋の一角が燃え、およそ460万円の損害が出たという。
日本でも、ペットによる火災事故は、10年間で54件、報告されている。